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今週のこの人【この人】

後藤善隆さん(地域医療センター小児科部長)

 ――「熊本方式」と呼ばれる小児救急医療を実践しているそうですが

 開業医と勤務医、熊本大付属病院の小児科医が連携し、休日や夜間の救急医療にあたる手法。原則として午後6時から同8時までは勤務医、午後8時から午前0時までは開業医、午前0時から翌朝までは、熊本大付属病院の小児科医が交代で診察している。

 ――「熊本方式」が始まった背景は

 小児科医が少ないため、開業医が休日や夜間も子供を診察することの負担軽減や、一緒に働くことで互いに腕を磨こうと、81年に始めた。現在は30〜60代の男女39人の開業医が参加しており、それぞれ月に1、2度勤務するペースだ。

 開業医は夜間の急患から解放され、勤務医は当直回数が減るなど負担を分担できている。熊本大付属病院の医師の地域貢献にもつながっている。

 開業医の報酬は通常の医師の時給からみると半額程度なので、報酬目的ではやっていけない。

 ――診察の難しさは

 大人のように病気の症状を話せない子供も多く、経験豊富な小児科医でないと診ることができない。だが、検査を多くすると子供に負担がかかる。また小児救急の9割以上は軽症。残りの重症者をいかに見分けるかが難しい。日々の研鑚(けんさん)が大切だと思っている。

 ――熊本地域医療センターでは、一晩に何人くらいの子供を診察しているのか

 一晩で約50人、年間約2万人を診察している。中には、この程度で連れて来ていいのかどうか迷って連れてくる親もいる。しかし、それを親に判断させるのは酷だ。

 ミルクを飲まないから、と連れてきた乳幼児が実は化膿(かのう)性髄膜炎という病気だったことがわかり、治療で一命を取りとめたというケースもあった。

 心配なら来るのが当然。だが、相談する人がいないケースもあるのではないか。何らかの形で子育て支援をする必要性も感じる。

 ――メリットは

 勉強会を毎月1回開いて、互いに自分が診察した情報や経験を共有している。失敗例も含めて話すことで、ミスを防ぐこともできる。結果的に技術を磨くことにもつながっていると思う。

 ――ほかには

 虐待の早期発見ができること。虐待をする親は人目を気にする場合が多いので、夜の方が連れてきやすい。休日や夜間でも思い立ったらすぐに連れて来られる「かけこみ寺」的な役割もある。「病気だからね」と診察しながら話を聞くなど、医療が介入しやすい面もある。

 ――今後の課題は

 今年から、在宅で人工呼吸器をつけている障害児の緊急受けいれを始めている。今後は、ほかの医療器具をつけている子供たちの受けいれなど、障害児全体の救急医療に本格的に取り組んでいきたい。
   *
 ごとう・よしたか 宮崎県都城市出身。中学時代から医師を目指し、熊本大医学部を卒業。同大付属病院で勤めた後、85年から熊本地域医療センター勤務、96年から小児科部長。今年4月から県小児科医会長を務めている。

 ●「社会で子育て」医師の認識一致
 取材をしながら、自分の娘のことを思い出した。10月、娘が39度8分の熱を3日間出した。週末だったため病院は開いておらず、ぐったりとしている娘を抱いて、熊本地域医療センターに向かった。待合室には、子供連れの親の姿が多くみられた。
 子供はすぐに病気になる。どの段階で病院に連れて行けばいいのか、迷うことが多い。そんな時、子供を連れて来られる場所があるのは本当にありがたかった。
 開業医、勤務医、大学病院の医師。普段はライバルの医師同士の連携は難しくなかったかと尋ねると、「子供を社会で育てるという気持ちが一緒だった」との答え。熊本方式の広がりに期待したい。
 (明楽麻子)

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