メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

06月26日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

今週のこの人【この人】

坂井優さん(行政相手訴訟に取り組む弁護士)

−−弁護士の道を志したきっかけは、出身地沖縄の基地問題が原点ですか?

  弁護士になろうと思ったのは高校の時。当時の復帰運動のリーダーたちは弁護士が多かった。あこがれたんだろうね。

  那覇市の生まれ。中学2年の時(63年2月)、同じ中学生の国場くんという人が青信号で道を渡っていて、米軍トラックにはねられて亡くなった。ところが、はねたほうが無罪になるわけ。人を人と思っていないのかと。

  僕らの同じ年代の人たちも怒った。それが復帰運動に参加していく原因になった。原点と言われれば、それが原点ですね。

  熊本に来たのは大学進学で。当時は「留学生」だ。まだアメリカに占領されている時で、試験を受けて、熊大に配属された。68年から73年までだね。

  −−行政相手の訴訟を戦う上での原動力は?

  僕の一番大きな原動力はやっぱり、行政が国民の権利をね、政策で押しつぶしているということが、我慢できないといった方が正確かな。

  水俣病問題で、政府が政策で被害者を切り捨てるのが許せない。ハンセン病も同じ。国営川辺川利水事業に至っては、事業に同意していないのに「同意している」という。国は政策で抑え込まないで、被害者と位置づけて救済すべき立場だ。

  −−訴訟を続けて、行政の姿勢から何を感じますか

  人権侵害の事実から問題解決をしようとしていない。言ってしまえば、大企業だとか行政の都合を優先して問題解決を図ろうとしている。それでは根本的な問題解決にならない。

  −−勝訴が、問題の解決になりますか

  司法が行政の誤ったところを判決の形で問題にする。でも、それだけでは行政を変えられない。国民世論を変えない限り、変わらないと思う。水俣病にしてもハンセン病にしてもそれぞれ濃淡はあれ、国民世論をどう変えていくか。

  判決はあくまで手段。終着点ではない。そういう意味では、(行政相手の訴訟は)国民世論を変えていくための出発点であって、効果的な道具だろう。結局は、司法によって行政の仕組みを変えるという、ルールの問題だと思う。

  −−行政の方がデータ、資料をたくさん持っている。裁判でそれを突き崩すデータを集めるのは難しいのでは

  これはね、王道は無いんだよね。結局、弁護士だけでは無理なわけ。多くの国民に問題を知らせて、協力を願う以外ない。水俣病の裁判だってそうですよ、国会図書館で調べてきた資料だけでは到底勝てない。内部資料も含め、行政の資料もいろんな形で裁判に出てくる。

  水俣病もね、不思議な裁判だったと言われた。国の側は、国の資料を出さない。原告の方が、国の内部資料を出してくる。この国の行政相手の裁判というのは、逆転してるよね。国は情報を裁判に出して堂々と自分たちにやっていることの是非を問うべきで、そうしていない現状が、問題だと思う。

  水俣病訴訟、ハンセン病訴訟、川辺川利水訴訟……どれも板井さんが直接かかわった、熊本をめぐる裁判だ。行政訴訟や国家賠償請求訴訟など、すべて行政側が敗訴している。

  行政訴訟は「原告になる資格(原告適格)が無い」として門前払いされる例が多いうえ、実体審理に入っても、行政側の方が裁判に使える資料をたくさん持っている。

  原告の勝訴率が極めて低いため、司法制度への批判も多かった。そのため昨年、行政事件訴訟法が改正され、原告適格の拡大など見直しが行われたほどだ。

  「人権が一番侵害されるのは『戦争』の時だと考えると、その対極は『平和』になる。それを維持し、ふくらませるのを手伝うのが、我々の仕事ではないか」

  熊本をめぐる裁判で、行政側が立て続けに敗訴したのは、国民の権利、人権が強く侵害されてきた歴史を物語る。板井さんの言葉を借りれば、熊本の「平和」は小さいことになる。これからも法廷での「戦い」は続きそうだ。   (小堀龍之)

  いたい・まさる 那覇市出身。熊本大法文学部卒。76年に司法試験に合格。79年の県弁護士会登録以降、水俣病訴訟弁護団事務局長、ハンセン病国賠訴訟西日本弁護団事務局長、川辺川利水訴訟弁護団長など、行政を相手取った裁判に数多くかかわってきた。全国公害弁護団連絡会議の幹事長も務める。

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

熊本総局から

「熊本アサヒ・コム」へようこそ! 熊本版に掲載されたトップ記事や話題ものを毎日更新しています。身の回りのニュースや情報、記事の感想を、メールでお寄せください。
メールはこちらから

朝日新聞 熊本総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】TEPPEI×ハマ・オカモト

    自分に合った服装とは?

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ