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今週のこの人【この人】

宮川清喜さん(野菜の特産化に奔走)

  県人事課によると、04年度の知事部局の60歳定年者は93人。終戦の45年か前年に生まれ、戦後を歩んできた。

  宮川さんの初任地は玉名農業改良普及所。岱明町で、ノリ養殖と稲作の半農半漁で暮らす人たちの苦悩ぶりが目についた。ノリの不作が続き、原因は狭い漁場の密植にあった。持ち田も少ない。漁場と田んぼの交換を思いついた。規模拡大と専業化のメリットを説き、農家には冬から春にかけて収穫する春トマトを薦めた。家に上がり込んでの説得術はこの頃身につけた。

  トマト農家になった同町の石橋光也さん(57)は阿蘇に異動した宮川さんを頼って、旧阿蘇町でも約5年間、夏秋トマトを作った。「面倒見がよい。百姓の立場に立ってくれる」と兄貴のように慕う。

  「与えられた仕事を忠実にこなす部署もあれば、農家の生活向上に懸命になる職場もあるし」と宮川さん。公務員像も色々あろうが、枠を思い切って広げた宮川さんに拍手を送りたい。(笠 康治)

  ――県職員38年、定年まで農業改良普及センター一筋でしたね

  そのうち27年間は阿蘇地域でした。20代後半から40歳ころまでは南阿蘇担当の野菜の専門技術員。まず高森町野尻地区にピーマンの導入を働きかけた。標高700〜900メートルの準高冷地で、農家は長年、キャベツ、大根、白菜を作っていた。出荷量に限りがあり、大都市に出荷するような産地ではなかった。

  農家でも進学熱は高まっていて、せめて子供には高校、大学にやりたいとの思いがあった。教育費を工面するためには高収益が望め、台風などの被害に遭った場合も補償単価の高いピーマンを選んだのです。

  ―― 一専門技術員の話を、農家は簡単に受け入れてくれたのですか

  災害や価格暴落時に補償を得るためには15ヘクタールのピーマン指定産地になることが前提になる。野尻地区は当時350戸ほどあった。農協職員に案内してもらい、一軒一軒回った。夜はコップ酒が出る。住んでいた高森町の町営住宅までオートバイで帰れず、よく泊めてもらった。

  66戸が応じてくれ、1年後には出荷態勢が整った。共同の育苗床を作り、種まきと苗作りは当番制。選別機は機械に強い人がベルトコンベヤーを改良した。省力化出来、選果場に主婦を10人ほど採用できた。出荷は運送業者に委託し、熊本、福岡、鹿児島へと市場が広がった。農家収入に350万円は上乗せ出来たのではないか。

  ――県職員の職務をどう考えているのですか

  普及センターにいる私たちは野菜や畜産の専門家。農家に対し、説得力が必要で、技術的にも進んでいなければならない。それ以上に信頼関係が大切です。

  昼となく夜となく農家を回っていて、職場に顔を出すのは月に1、2度。上司からたまには職場に出てこい、と文句を言われたこともあった。それでも知らんぷりしていたら、何も言われなくなって。

  おかげで、岱明町に春トマト、南阿蘇村に夏秋トマト、阿蘇市には夏秋トマトとメロンを特産品として根づかせることが出来た。

  1年間だけ、合併したばかりのJA阿蘇に出向しました。本所の営農指導部長の肩書を与えられ、営農指導員らの教育を任された。指導員の本来の仕事は計画的な生産活動計画を練り、実行に移すことだが、日頃の事務量が多すぎて余裕がない。営農指導は直接的なカネにはならないだろうが、金融、共済、資材・肥料などの物品販売中心の経営主義に走ってはいけません。

  ――最後は所長になったのですね

  最後まで畑を走っていたかったが、後継者を育てないと、と諭されて。

  退職後の就職あっせんは断った。知人は多く、農産物の加工、販売の技術顧問的な仕事をしようと考えている。大切なのは、阿蘇の大地に生まれた農産物の付加価値を高め、販路を広げること。収入を増やさないと後継者は育ちません。

  ピーマンで収益を上げた野尻地区も結局は大学教育を受けた子弟は戻らず、ピーマン産地ではなくなった。勤め人に負けないような利益の上がる農家層を増やす――退職後もこの課題に向かって突き進みます。

  みやがわ・きよき 坂本村生まれ。八代農高卒業後、県農業試験場花卉(かき)研究室で農業の基本を学ぶ。67年、県職員採用、初任地は玉名農業改良普及所。阿蘇南部、上益城、阿蘇農業改良普及センターと回り、02年4月〜05年3月、同センター所長。

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