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今週のこの人【この人】

宮本桂介さん(荒尾市の下水道課職員)

  宮本さんが省エネ・省コストの画期的な汚泥濃縮機を発明。製品を荒尾市と共同開発した下水処理プラントメーカー、クボタが共同で特許を取得した。このニュースを取材して、青色発光ダイオードを発明した中村修二・カリフォルニア大サンタバーバラ校教授が思い出された。教授は発明対価を求める訴訟を起こし、8億円で和解した。宮本さんはどうだろうというのがインタビューの動機だった。

  宮本さんは工業化学が専門で「物事にじっくり取り組むのが趣味」という。「知的財産」についてなどと、下世話な質問をぶつけた己が恥ずかしくなった。

  だが、この発明を機に市は昨年12月「市職員の職務発明等に関する規程」を定めた。市が受けた収入の中から300万円を限度に発明対価(実施補償金)を支払うという。

  「いくらかでも市民のためになればとやったことですから」。愚問は軽くいなされたが、宮本さんに公僕としての覚悟を教えられた。

    (有馬 護宏)

  ――宮本さんが独自に考案した汚泥濃縮装置とは?

  「ベルト型ろ過濃縮機」と呼んでますが、簡単に言うと下水処理場で発生する汚泥を最初の工程でろ過し、容量を減少させ、後段の処理工程の効率を向上させる装置です。

  ――どんな仕組みですか

  市の浄水センターで汚水を処理すると、必然的に汚泥が発生します。この汚泥処理の最初に行われるのが濃縮工程。簡単に言うと、回転するステンレス製のメッシュベルトに汚泥を投入し、水分と固形物に分離させるものです。

  ――研究を始めた経緯を教えてください

  水質問題をやっていた公害対策室から浄水センターに配属され、いやでも汚泥対策に取り組むことになりました。従来の重力式濃縮槽では、汚泥処理の効率が悪くコストもかかりました。「何とか自分たちの手で開発出来ないか」と94年ごろから研究を始めました。いろいろ試した結果、汚泥から水分を抜くには「ろ過式」が一番効果的だということが分かりました。ある時、金属のメッシュを見て「これだ」と思いましたね。

  ――具体的には、どんな手順でしたか

  95年に初めて手回しの実験機を作りました。その後、幅約1メートル、長さ2メートルのメッシュのベルトを装置した1号機が完成。2年後に幅1・5メートルの改良型の2号機を製作。翌年から3年間、試験稼働を行い、短時間に効率よく濃縮でき、コストも縮減されることが確認されました。

  ――苦労したことは?

  最初のころは、1人で実験を繰り返していたのですが、汚泥まみれになり往生しました。あのにおいにも閉口しましたね。手回し実験機でデータをとる単純な作業ですが、実験そのものは非常に快適でした。メッシュの針金は直径0・7ミリの太さが最も効率のいいことがわかったときは、うれしかったですね。このころ、装置を新しい濃縮技術として実用化を目指そうという話が出ました。

  ――そして共同開発ですね

  01年3月、クボタから共同研究の申し出があり、製品化に向けての取り組みが始まりました。03年に実用機を設置して試験稼働。04年12月に装置の性能評価を終え、製品が完成しました。構想から約10年かかりました。

  ――それで、どのくらいの経費節減になるのですか

  97年度に2300トンだった汚泥量が02年度には1600トンに減少。2800万円かかっていた処分費が約800万円削減されました。設置費用も従来の重力式に比べると省スペースですみ、建設コストの削減にもなります。市の財政状況が大変な中で、少しでも経費削減に貢献出来たとすればうれしいです。

  ――特許を取得して何か変わりましたか

  特に変化はありませんが、実用化に向けて一緒に汗をかいた松高昭二建設係長も含めて、職場の同僚が祝福してくれました。家内(妻の和美さん)も「普通はできないことをやったのね」と喜んでくれたのがうれしかったです。

  ――ところで、どんな子どもでしたか

  大工仕事が好きで、板を切って本立てを作ったりしていました。とにかく大勢で騒ぐより1人でいるのが好きな子でした。今でも、職場では「まじめでがんこ」で通っています。

  ――今後の研究は?

  さらに水処理の汚泥を減らす方法を追究し、今以上にきれいな水にする方法を考えていきたいですね。

  みやもと・けいすけ 52年、荒尾市生まれ。74年熊本工大(現崇城大)工業化学科卒。大学では研究サークル「化学研究会」を立ち上げ、各地に出かけて調査活動をした。74年に荒尾市役所入り。公害対策室などを経て03年4月から下水道課長補佐。

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