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06月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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今週のこの人【この人】

大瀬敏克さん

 ――活動の内容は?

 教育環境が整っていないネパールの子供たちのために、学校を建てる資金をほぼ毎年送っています。昨年12月、首都カトマンズ近郊のガシュリ村に12校目が完成しました。12教室、約250人の小学生が学べる施設なんですよ。

 ――支援はどんなきっかけでしたか

 人吉市の第一中学校の校長に着任した90年、ネパールで識字や衛生教育に取り組む民間団体とおつきあいのあるPTA役員から提案を受けました。ちょうど校舎建て替えを計画中で、生徒が校舎や物のありがたさを実感し、国際理解を深めるのにも役立つと思い、92年9月に活動を始めました。生徒が空き缶や古紙の回収に汗を流し、わずか1年余りで資金が集まり、1校目が完成。PTAや教職員から継続を求める声が出たので、団体を作りました。現在の会員は約230人です。

 ――資金はどうやって集めていますか

 書き損じのはがきを集めて郵便局で新品に交換し、金券ショップに売ります。1校あたりの建設資金は100万〜120万円で、約3万枚が必要。はがき集めは小中学校に頼みますが、人吉球磨地区だけでは限界がある。そこで県内全域にお願いしたが、最初は協力校が増えずに困った。「教え子に教材を贈る方がいい」と言われ、活動の趣旨をすぐには理解してもらえなかった。それでも、根気よく説明すると、しだいに輪が広がりました。今では毎年150校前後が協力してくれます。

 ――現地との連携は?

 受け入れ組織の「ネパール青少年赤十字社」に候補地の選定や建設の手配などを依頼します。我々が提供できるのは資金だけ。実際の校舎建設は、現地の人々が無料奉仕で担っているのです。

 校舎をこの目で確認したくて、過去7回訪問しました。カトマンズを離れると、電気も水道も無い地域が多く、本当に貧しい国。でも歓迎はすごく温かい。野山の草花で作った首飾りをかけてくれ、歓迎のアーチを作ってくれる。毎回感激します。日本人が失いつつある「優しさや素直な心」を彼らは持っている。ネパールにこだわる理由です。

 ――難しい点はありますか

 ノートや鉛筆なども送ったが、現地スタッフに「やめてくれ」と言われました。文具は使い切ると、代わりが手に入らない。ある校舎には立派な床板が張られたが、これも失敗。床が土のままならノート代わりに文字が書けるんですよ。日本の感覚を押しつけては、支援も台無し。本当に役に立つ支援ができているのかと悩むこともあります。

 ――活動は10年を超えました。継続の原動力は?

 忘れられない光景がある。駆け出しの教員だった昭和30年代初め。まだ学校給食がない時代で、貧しさから弁当を持参できない児童がいた。その子が昼休みになると、校庭で寂しそうに遊びながら空腹をごまかしていたんです。「同じ子供なのに」と思うと、かわいそうでね。ネパールと当時の日本の子の姿がだぶるんです。手を差しのべないわけにはいかない。

 ――課題はありますか

 今月の総会で13校目の建設が決まりました。今秋完成が目標。でも近年、ネパールは反政府活動が活発で政情不安が続きます。実は、昨年末に12校目の完成式に招かれたが、渡航を控えました。現地との連絡が取りにくくなったのが心配です。色々な支援活動が増えたため、はがきの集まりが年々悪くなっている。条件は厳しくなっていますが、子供たちの笑顔のために何とか続けたいですね。

 おおせ・としかつ 33年球磨村生まれ。人吉球磨地区の小中学校を中心に教員や校長職などを経験し、94年3月に定年退職。02年2月から同村教育長。「ネパールの教育を支援する熊本ナマステの会」は名称を何度か変更したが、ずっと会長を務める。「ナマステ」はネパール語で「こんにちは」の意味。妻と2人暮らし。趣味は旅行。

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