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今週のこの人【この人】

中村勝子さん

  中村さんがSOの普及活動を始めた頃、日本の運動は風前の灯火だった。93年に熊本で組織を設立した後、ボランティアの輪は全国に広がり、現在27都道府県に地区組織ができ、6県で設立準備が進む。06年秋には熊本で全国大会が開かれ、選手団約1500人が参加するまでになった。

  活動を始めて間もなく、うれしくて涙が止まらない出来事があった。高校を中退し、親に暴力をふるうほど荒れていた青年が、誘われて活動に参加し「この人たちは、一生懸命努力する。おれは人のせいにばかりして、甘かった。SOに出会えて本当に良かった」と言った。一人の青年を変えた、これこそSOの目指すものと実感したそうだ。

  中村さんの目標は「SOとあえて言わなくてもよい社会を作ること」。アスリートが住む地区に普通にボランティアコーチや活動場所がそろうのが理想だ。
 自分も、夢や目標を持って歩む人たちを少しでも後押しする記事を書いていきたい。
(近藤郷平)

――スペシャルオリンピックス(SO)との出会いは?

  約20年前、花の個展を見に上京した時、熊本から引っ越した元生徒の家を訪ねた。その時「ステキな人がいる」と紹介されたのが日本の組織の会長でした。「知的障害のある人たちは社会から隠されてしまいがちだが、絵、音楽でも、周りが手助けすると驚くほど力を発揮する。それをスポーツを通して引き上げる運動がSO」と聞いた。もう一つ「この人たちは2%くらいの確率で生まれる。周りの人に優しさを教えるための神様からのプレゼント」と聞いて感激し、ボランティアで参加したいと思った。

 ――参加してどうでした?

  第6回夏季世界大会(83年、米国ルイジアナ州)で、ボランティアが日本のように奉仕の精神ではなく自発的に楽しんでいるのを見て驚いた。その頃、息子は受験勉強の真っ最中なのに、同年代の子供たちは汗水たらして大会を支えていた。自分の領域や器を広げることが大事なんだ、と教育の太さを教わった。

 ――コーチとしても参加していますね。

  体操競技を見て私もと思った。帰国後、ラジオ番組でSOのことを話し、それを聞いたダウン症で難聴の少女の母親が家を訪ねてきた。少女に体操を教え始め、第8回夏季世界大会(91年、米国ミネソタ州)に出場した。難聴の少女は音楽が始まってもポツンと立っていた。様子に気づいた観客が総立ちで応援を始め、少女は手を広げて踊り始めた。飛んで回転したり、前転したりする演技を踊りきった。「よくやったね」と少女を抱きしめていると、歩み寄ってきた海外のコーチから「飛ぶように踊ったステキな天使でしたね」と言われた。

  点数は予選が4点、決勝は4・75点。10点満点なので表彰されるとは思っていなかったのに、「銀メダル」のアナウンス。「なぜ?」と思ったが、予選はグループ分けで、決勝では「あなたの障害でその点を得るには相当な努力を要した」という評価だった。この価値観を日本にもぜひ採り入れたかった。

 ――どう普及活動を?
  運動のリーダーは、私のような普通のおばさんではなく、子育て経験や語学力があり、社会の認知度も高い細川佳代子さん(現在、SO日本理事長)が務めてくれればよいなと考えていた。少女の銀メダル獲得が新聞に掲載され、読んだ人から講演依頼があった。偶然にも講演の主催者が細川さんで、講演後、熱意を伝えると、「私でよければ」と引き受けてもらえ、活動に弾みがついた。94年にはSO日本も設立された。

 ――活動の原動力は?
  夫。「自分の子供が実際に知的障害者ではないから言える話だ」と他人から指摘されショックを受けたこともあった。夫に「10人中、顔を上げた1人と活動を始めればいい。2人、3人と増えたら運動が広がる。そのためには(運動に)夢や光がある、と言い続ける必要がある」と励まされた。コーチと同じで、アスリートが輝きを増すのを見るのもうれしい。
 ――アジア初の世界大会が長野で開催されましたね。
 長野五輪、パラリンピックを経験した人たちがSOを支え楽しさを感じてくれたと思う。海外のアスリートを町ぐるみで受け入れるホストタウンプログラムも良かった。

 ――来年秋には、熊本で全国大会があります。

  アスリートの頑張りをしっかりと評価できる大会にしたい。この機会に熊本の人にはどこかで大会に参加してもらい、SOを感じ理解してもらえるようにしたい。

  なかむら・かつこ44年、山鹿市生まれ。65年から県立高森高校で保健体育科教諭。69年に育児で退職し、フラワーデザイン教室を始める。91年、SO夏季世界大会に体操競技のコーチとして参加したのをきっかけに、普及運動を開始。92年に日本のSO組織は一度解散したが、93年3月に仲間と「スペシャルオリンピックス熊本」を設立。現在、同熊本の常務理事・事務局長。

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