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うちのイチ押し【火の国をゆく】

栖本町「油すましどんの里」

写真:山の中から道路わきに移された石像と、渡辺朝美さん=栖本町河内で 拡大山の中から道路わきに移された石像と、渡辺朝美さん=栖本町河内で

  「油すましどん」と、地元の人に愛称つきで呼ばれる妖怪が、栖本町河内地区にいたという。姿形は、頭の大きな老人のようで、みのを着て現れるとか。墓とされる石像が最近脚光を浴び、山中の人里に移された。町は「油すましどんの里」として、町おこしの起爆剤にしたい考えだ。(園田裕道)

  にわかに注目されるようになったのは2年ほど前。「油すましは栖本町出身ではないか」という町外からの問い合わせがきっかけだった。

  「油すまし」とは−−八代出身で教職の傍ら民俗学の研究を進め、35歳で逝った浜田隆一氏の1932年刊行の著書「天草島民俗誌」は次のように記す。

  「栖本村河内と下浦との境に草隅越(くさずみごえ)と言ふところがある。或(あ)る時、一人の老婆が孫の手を引きながら此處(ここ)を通り、昔、油ずましが出をつたという話を思い出し、『此處にやむかし、油瓶下げたとん出よらいたちゆぞ』と言ふと、『今もー出るーぞー』といつて出て来た」

  同地区には草積峠(くさづみとうげ)があり、越えることを「草積越え」という。字こそ違うが読みは同じ。

  本渡市立歴史民俗資料館の本多康二学芸員によると、油すましを全国に紹介したのは民俗学の故・柳田国男氏。専門誌の連載で「アブラスマシ」に触れている。基になったのは「天草島民俗誌」。「すまし」は天草弁で「搾る」意味だそうだ。それが、妖怪をテーマとする漫画家水木しげるさんの創作で、全国に知れ渡ったらしい。

  石像は両手を体の前で合わせる姿だが、首から上がない。町役場によると、約40年前、道路拡張の支障になると山中に移され、頭はその際なくなったらしい。以来、ほとんど忘れ去られていた。

  栖本町は、水に恵まれた山里の田園地帯。天草上島の中央部にそびえる龍ケ岳と、それに連なる山並みの涵養(かんよう)林に蓄えられた水が町内を貫流して八代海に注ぐ。河内川沿いに開けた河内地区は昔、サザンカの実から採る「かたし油」作りが盛んだったという。油すましの伝説とも無縁ではなさそうだ。

  地元で生まれ育った渡辺朝美さん(65)は「信心深い祖母に連れられて、よく石像にお参りしました」という。

  町おこしの起爆剤に、と町は町文化財に指定すべく町文化財保護審議会に諮ったが、「普通の地蔵と変わらない」とする意見が強く、指定には至らなかった。ただ、県内外からの問い合わせで関心が高まる中、町教委は昨年末、地域づくり支援事業として50万円を予算化した。住民が設置した案内板などの費用を補助する考えだ。

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