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とことんインタビュー

「罠師」 古田洋隆さん(58) 

写真:これまでに仕留めた熊の毛皮のポーチを手にする古田洋隆さん。足元はイノシシの毛皮と鹿の角=津市美杉町下多気 拡大これまでに仕留めた熊の毛皮のポーチを手にする古田洋隆さん。足元はイノシシの毛皮と鹿の角=津市美杉町下多気

◎「罠師」 古田洋隆さん(58)

◇◆獣害深刻、プロ猟師育成を◆◇

 ――県内で鹿や猿が農作物を食い荒らす被害が深刻です。春の田植えや種まきにも影響がありますか。

 私が猟をする津市美杉町の周りでは、特に鹿の害がひどい。稲はもちろん、エンドウ豆や小豆、お茶の新芽も食べてしまう。津市から有害鳥獣駆除の委託を受けて、多い年は年間500〜600頭を駆除している。

 30年ほど前までは、山で見かけるのはイノシシやキツネ、タヌキで、鹿はほとんどいなかった。ところが今は、イノシシ1頭に対して鹿が300〜500頭いるような感じだ。

 ――なぜそんなに増えたのでしょう。

 メスジカの狩猟規制が続き、猟師も減ったことが原因ではないか。逆に、鹿とえさが重なるウサギは減り、ウサギを食べるキツネも減ってしまった。

 ――どんな場所にわなを置くのですか。

 どんな山に出かけても、カーナビで地図を見るように獣道が分かる。獣道は幅10〜20センチしかない。これを見極めて仕掛ける。

 鹿もイノシシも柔らかい土や落ち葉の上を歩く。つまようじくらいの小枝や、人間の小指の先くらいの小石も避けて通る。獣の足跡やふんを基に、大きさや数、子連れなのかを予想する。

 どの方向からわなに向かって来て、左右どちらの足をつくかも計算する。小枝や石を置いて獣道を遮り、わなに誘うこともある。

 ――猟の難しさは。

 体重が100キロを超えるイノシシもいて、わなから逃げようと2メートルもの大穴を掘ったことがあった。ナイフで動脈を切って仕留めるが、鹿が命がけで暴れると、とがった角が危ない。

 ――肉はおいしいですか。

 野生動物の肉は家畜よりも低脂肪・高たんぱくで、ビタミンや鉄分も多い。おりを使ってとると、中で暴れて内出血を起こし、臭みが出る。わなで仕留めてすぐに血抜きをすれば、風味や身の締まりが良く長持ちする。

 旬の12月にとれたイノシシは、脂が乗って臭みがない。塩焼きやすき焼きを勧めている。

 一部の動物が増えすぎたのは、その動物の責任ではない。獣害対策で命をいただく以上、おいしく食べさせてもらおうと思う。毛皮や角は工芸作家に卸しており、ボタンや、毛皮を飾ったポーチなどに生まれ変わっている。

 ――獣害対策には、何が求められますか。

 自治体が獣害に対応する専門の部署をつくり、本腰を入れる必要がある。若い世代で、猟で生計を立てられる「プロの猟師」を育てることが大切だ。

 野生動物の肉を衛生的に流通させる仕組みも大切だ。私は自宅の隣に処理施設を造り、獲物を衛生的に解体できるように工夫している。(聞き手・高木文子)

◎古田洋隆さんの略歴 1955年、津市美杉町生まれ。30代のころに父親と一緒にわな猟を始め、バネ式の独自のわなを考案。10年かけて改良し、知能の高い猿も捕らえられるようになった。今は「罠師(わなし)」と名乗り、わな猟で生計を立てている。獣肉は全国に出荷しており、昨年8月には自宅の隣に獣肉の処理場も造った。県内では津市の県立美術館のレストランなどで食べられる。

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