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10月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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独眼流

目に映るものがすべてではない

 残すべきか。撤去すべきか。津波の傷痕が目に見える震災遺構を残すことで、後世に震災の記憶と教訓を伝えられる。だが、同時に遺族や被災者につらい記憶を呼び起こすことを強いることにもなる。

 議論には原爆ドームが引き合いに出されることがある。私は初任地の広島に着き、真っ先に足を運んだときのことを鮮明に覚えている。

 1996年に世界遺産となったドームにも、戦後は被爆者を中心に取り壊しを求める人が少なくなかった。その中には「原爆の被害がこの程度と思われてしまう」とする懸念もあった。平和記念公園は、かつて中島地区と呼ばれた有数の繁華街。約6500人の営みが一瞬で失われた。堅牢なつくりの産業奨励館以外残らなかった。仮にドームが無かったとしても、そのことに思いをはせれば原子爆弾の悲惨さは伝わるし、理解できたと、私は思う。

 長期休暇は東北を旅してきたが、最近は戦争やホロコーストの記憶をどう伝えているか知りたくて外に出ている。カンボジアで極端な共産主義思想を掲げ、知識人を中心に多数を虐殺したポル・ポト政権時代の処刑場だったプノンペン郊外の「キリングフィールド」をこの冬訪ねた。

 収容者が最期の時を過ごした拘置施設などの遺構はない。議論する間もなく資材不足で取り壊され、別の建物に使われたそうだ。それでも悲惨な歴史の一端は伝わった。

 戦争や虐殺と震災は違うだろう。だが、目に映る物だけがすべてではないと感じた。(山田雄介)

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