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ナガサキノート・35【山本登さん】

あこがれの法王 心躍る

写真:山本登さんの自宅の壁には、法王が写ったカレンダーがかかっている=三重県四日市市 拡大山本登さんの自宅の壁には、法王が写ったカレンダーがかかっている=三重県四日市市

写真:ブルガリアで開かれたミサで参加者の歓迎を受けるフランシスコ・ローマ法王=5月、ソフィア、河原田慎一撮影 拡大ブルガリアで開かれたミサで参加者の歓迎を受けるフランシスコ・ローマ法王=5月、ソフィア、河原田慎一撮影

《山本登さん 1934年生(1)》

 まるで、大スターに会いに行くかのようだ。

 「待ち遠しくて、心がはじけそうです」。ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王の来日が決まった時から、三重県四日市市の山本登(やまもとのぼる)さん(85)は、小さな準備を始めた。体力をつけようと、食事は肉のメニューをいつもより多めに。当日まで体調を崩さないためだ。毎晩の聖母マリアへの祈りの時間には「パパ様がおつとめを、日本で無事に果たせますように」と心の中で語りかける。

 日本のカトリック信者は約44万人(2018年現在)。法王が訪問する長崎、広島、東京には、山本さんのように、日本各地から多くの人が集まる。カトリック中央協議会(東京都)の担当事務局によると、ミサの参加予定者は、東京ドームが約4万人、長崎市の県営野球場が約2万5千人。山本さんが通う教会仲間のほとんどは、地理的に近い東京へ赴く。

 ただ、山本さんの心は、日程が決まった時から長崎の方を向いていた。自身の故郷であり、74年前アメリカによる原爆投下で市民の命や日常が奪われた地。そこで、核廃絶に関心があるといわれている法王がどんなメッセージを発信するのか、聞きたかった。

     □     ■

 山本さんは、父親が平戸市、母親が長崎市の出津生まれの先祖代々カトリック教徒。生まれてすぐに洗礼を受け、生活の中に当たり前のように信仰があった。戦時中は、長崎市稲佐町2丁目(現在の同市稲佐町)の自宅から教会に通い、学校で軍国教育を受けながら神に日本の勝利を祈った。

 1945年8月9日、爆心地から2キロの自宅で被爆。閃光(せんこう)を見た直後に気を失い、爆風でめちゃくちゃになった家の中で気づいた時には、土壁の内側から出た竹がふくらはぎに突き刺さっていた。母は戦後、原爆の影響で入退院を繰り返し、さみしさに耐えた。

 原爆後、日々のつらさに「神様はなぜ『悪の道具』を作る知恵を人間に与えたのか」と考えたこともあった。でも、今はこうとらえる。「神様に自由意志を与えられたのだから、人間が努力して、平和をつくらんといかんじゃないかな」

     ■     □

 転勤で移った四日市市で語り部をするようになったのは、数年前から。通っている教会でも写真展や講演の活動をしている。足が少し不自由で、街頭での署名活動はできないが、講演先に行くときは必ず、核兵器禁止条約の批准を求め核廃絶をめざす「ヒバクシャ国際署名」の紙を持っていく。

 50カ国の批准で可能になる条約の発効に期待を寄せるものの、核保有国も日本も、批准する予定はない。被爆者や市民が一つ一つ積み重ねてきた、核廃絶への努力。そこに、核や平和の問題に関心があり「世界中が認めている」法王の発信が加われば、状況が前に進むのではないか、と山本さんは期待する。

 あこがれの人に会う「わくわく」と、核廃絶前進への願い――。入り交じった心を抱え、当日までの日数を指折り数えている。(田部愛・27歳)

通算3890回目。今シリーズは21回の予定。

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