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人ひと

人ひと/古文書と格闘「時間旅行」

写真:古文書の写しを見せて説明する河田章さん=岡山市北区野田屋町1丁目 拡大古文書の写しを見せて説明する河田章さん=岡山市北区野田屋町1丁目

■郷土の経済史を研究 河田章さん(66)

 関西高校の元教諭。教壇に立ちながら岡山の経済史を研究し、本を出版した。研究に没頭する姿から、同僚や生徒から「博士」と呼ばれた。

 「歴史研究は趣味のようなもの。古文書には未知の世界が広がっています」。30年以上、研究を続ける。

 出版した2冊は、財政難に陥った岡山藩がとった打開策などをまとめた「近世瀬戸内経済史研究」と、池田家が明治時代に行った投資の変遷、戦国時代に故郷の旧御津町周辺を治めた武将の施策などをたどった「岡山の社会経済史研究」(いずれも吉備人出版)だ。

 幼稚園の頃から、父が買ってくれた歴史物の絵本などに親しみ、織田信長や豊臣秀吉ら戦国大名の物語に魅せられた。高校1年の時に父が亡くなり、一時は就職しようと考えたが、母の勧めもあって大学進学を決めた。

 本格的に歴史を学んだのは、奨学金をもらって福岡大大学院に進んでからだ。日本商業史を専攻し、初めて古文書に触れた。当時は全くの素人で、書物の崩し字が全く読めなかった。それどころか、「こもんじょ」を「こぶんしょ」と読み間違えたこともあった。

 「まずは、何とか読めるようになりたい」との思いで勉強に打ち込み、宿舎の天井や共同トイレの壁にまで古文書の写しを貼った。歴史の楽しさに魅入られ、朝から晩まで猛勉強を続けた。

 「幕末の頃の書を読むときは、自分も志士になったような気持ちになった。『たまらんなぁ』と夢中になりました」と当時を振り返る。

 30歳のとき、岡山に戻った。岡山の歴史書は無数にあるが、経済史を体系的にまとめたものは少ないと感じた。「まだ私にも研究する余地があるんじゃないか」。再び、情熱に火が付いた。

 31歳で関西高校の非常勤講師になり、36歳で教諭になった。商業を担当し、生徒にそろばんや簿記を教える合間に古文書を読み解く毎日を送った。

 好きだったビールや日本酒を控え、空いた時間は全て研究に捧げた。柔道教室に通う長男の送り迎えの際も時間を惜しんで、道場の畳の上にはいつくばって崩し字と向き合ってきた。

 退職した今も、時間があれば、食卓でチラシの裏やノートに古文書の訳を書き続けている。

 「古文書を読むと、江戸や明治の情景が頭に浮かんできて、まるで時間旅行をしているよう。研究にゴールはないけれど、死ぬまでやめられません」(小川奈々)

     *

 かわた・あきら 1950年生まれ。旧金川高校(現・岡山御津高校)から岡山商科大商学部に進学した。福岡大大学院で藤本隆士名誉教授に師事し、長州藩の塩業史を研究。30歳のとき、母の求めで岡山に戻った。一男一女の父。愛読書は司馬遼太郎の歴史小説で、好きな食べ物は甘めの卵焼き。

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