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10月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Okayamaでともに

1. 専門学校/留学生を地域の力に

写真:「玉津の市」で母国の料理を販売する留学生たち。用意した料理はすぐに売り切れた 拡大「玉津の市」で母国の料理を販売する留学生たち。用意した料理はすぐに売り切れた

写真:小学校の跡地に昨春開校した日本ITビジネスカレッジ=いずれも瀬戸内市邑久町尻海 拡大小学校の跡地に昨春開校した日本ITビジネスカレッジ=いずれも瀬戸内市邑久町尻海

■瀬戸内市 若者の定住化狙う

 県南東部の瀬戸内市玉津地区。3月中旬、地区内の広場で、特産品のカキや地元産の野菜を販売する「玉津の市」が開かれた。

 約800人の住民らでにぎわう会場の一角で、外国人の留学生たちが母国のグルメを販売していた。ベトナム料理のフォー、スリランカの揚げ餃子(ぎょうざ)・パティス、ココナツジュース。

 「ココナツの中にジュースがあります」。ベトナム人留学生のウェン・トゥ・フォンさん(22)が日本人の男性客に話しかけた。男性が「初めての味。おもしろいね」と驚くと、フォンさんの笑顔がはじけた。

 「ベトナム料理を紹介できて楽しかった。販売の経験は将来、役立つと思う」

 留学生たちは昨春、同地区に開校した専門学校「日本ITビジネスカレッジ」に通う。国際ビジネス学科と外国語学科(ともに2年課程)があり、学生の9割以上が外国人留学生だ。ベトナム、中国、スリランカ、ネパールなど11カ国の約110人が学んでいる。

 玉津地区は錦海塩田とともに栄えたが、1970年代に塩田が廃止され、少子高齢化が進んだ。現在の人口は900人弱。65歳以上の割合を示す高齢化率は3月末現在で52・5%だ。

 年老いていく地域に若者を呼び込めないか――。そんな狙いで持ち上がったのが専門学校の開設計画だ。

 2016年、廃校になった玉津小学校の校舎を活用する事業者を市が公募。手を挙げたのが、外国人の留学支援などに携わる福岡市の会社「アジアマーケティング」だ。田中旬一社長(39)は邑久町出身。衰退する地域に危機感を持ち、「若者が地域で働き、定住することにつながる」と専門学校設立を提案した。

 市は工場誘致などを想定し、「こういうビジネスモデルでの応募は予想していなかった」(市の担当者)という。結局、他の応募はなく、同社が事業者に。市が校舎を年間120万円で貸し出すことになった。

 スリランカ人留学生のスダット・ヴェルナンドさん(25)は市内の古民家に暮らし、市内のホテルでアルバイトしながら学校に通う。「田舎だけどきれいな景色があってとても平和。車もWiFiもあるし、日本の田舎はそんなに不便ではない」。卒業後は岡山に残って就職したいという。

 ただ、ヴェルナンドさんのように市内に住む留学生は30人ほどだ。学生に適した物件が多くないほか、あるベトナム人留学生は「岡山市内の方がアルバイトを探しやすい」と打ち明ける。留学生の多くは市外に住み、最寄りのJR邑久駅からバスで学校まで通っている。

 ■開校、全国でも次々と

 専門学校の開校を地元はどう受け止めているのか。

 玉津地区コミュニティ推進協議会の内田芳男会長(79)は「どないかせないけんと思っていたが、人口が増えんことには難しい。玉津の文化を大事にして外から多くの人が入ってくる町にしたい」と好意的だ。

 別の地元の男性も「言葉は分からんけど、若者の声が聞こえてくるのはありがたい」と話す。地元説明会では、外国人留学生が多く通う学校の開校に不安を感じる声も上がったが、開校から1年間、地元住民からの苦情はないという。武久顕也・瀬戸内市長は「まちづくりの核となる学校ができたのは地域の大きな希望の光」と期待を込める。

 ただ、全国的には外国人留学生が失踪したり不法就労したりする例が後を絶たない。「日本ITビジネスカレッジ」では今春からカウンセラー経験がある教員を配置。学生の学習や生活状況に目を配る。一方、瀬戸内市も定期的に学校側に聞き取り調査を実施。市の担当者は「学生数が増えた今年度が本番。まちおこしの成功事例になるよう見守っていきたい」と話す。

 地域活性化を狙い、外国人が通う学校を誘致する動きは全国的に広がる。

 人口約8千人の北海道東川町は15年、全国初となる公立の日本語学校をつくった。09年から日本語や日本文化の研修で外国人を招くなどの国際交流事業を推進。15年の国勢調査では、道内179市町村で人口増加率は2位となった。

 長崎県の五島列島にも来春、日本語学校が開校する。五島市が使われなくなった学校の寮を改修するなど留学生向けに寄宿舎や校舎を整備。学校法人に無償で提供するという。

                    ◇

 日本で学んだり働いたりする外国人が増えている。法律の改正でさらに外国人の増加が予想される中、岡山で暮らす外国人や、「共生」を模索する地域の人たちの姿を追った。(村上友里)

 ■交流・定着促進へ、仕組み・ビジョンを

 外国人留学生に詳しい佐藤由利子・東京工業大准教授の話 廃校の跡地活用で外国人が通う専門学校を誘致するケースが増えているが、留学生と地域双方にメリットのある学校運営には様々な工夫が必要だ。留学生が多い学校の共通課題として(1)具体的にどのようなスキルを習得させ、どのような就職先を想定しているのか(2)日本語の授業を十分理解できているのか(3)アルバイト中心になりがちな学生に対し、授業に出席させる工夫をどのように設定するか、が挙げられる。

 誘致した市と認可した県がきちんとした教育が行われているかどうかをモニターするとともに、留学生と地域の交流を促進する仕組みが必要だ。北海道東川町では、介護施設と連携し、留学生に奨学金を支給する取り組みを始めた。地域活性化に留学生を生かすのであれば、地域にどれだけ就職できる場があるのか、外国人を雇用するニーズがあるのかが重要。留学生を人材として育て、定着してもらうためのビジョンが必要だ。

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