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なにわ平成食探訪

うまいもん これからも

写真:「次の時代に残る食文化を新たに生み出してほしい」と語る林裕人シェフ 拡大「次の時代に残る食文化を新たに生み出してほしい」と語る林裕人シェフ

写真:道頓堀周辺には思い出がいっぱいあるというタージンさん 拡大道頓堀周辺には思い出がいっぱいあるというタージンさん

写真:「ぐるなび」エディトリアルプロデューサーの松尾大さん 拡大「ぐるなび」エディトリアルプロデューサーの松尾大さん

 「平成」最後の年がスタートしました。バブル景気とその崩壊、阪神・淡路大震災、東日本大震災。インターネットやSNSの普及は人と人との関係にも大きな影響を及ぼしました。そんな激動の世にあっても、「食」は私たちに笑顔を与え、命をつないでくれました。大阪を彩ってきた様々な食を通し、平成という時代を振り返ります。

 まずは序章として、食のプロフェッショナルに、大阪の食文化と未来について語ってもらいました。

 ■百年先も残る料理を パティシエ・林裕人さん

 大阪の料理はフランス料理と一緒。これは僕がいっつも言うてることです。

 江戸時代、大阪には日本各地のおいしい食材が集まってきた。ここに住むせっかちな商人や職人に食べてもらうため、作り手はちゃっちゃと作りつつ遊び心を持って創意工夫を重ねてきた。各国のおいしいものを取り入れたフランス料理と似てるでしょ。

 例えばバッテラ。おぼろ昆布を削った後に残った芯の部分を上手におすしに使った。大阪の「もったいない文化」の象徴や。

 串カツは戦後の材料がない中でも工夫された。小さい具にメリケン粉をどぼっとつけてボリュームをつける。回転ずしやきつねうどんもせっかちな大阪人の気質が生んだものちゃうかな。

 そこには客を見て、この人に合わせたものを作ろうとする努力がある。それが大阪の食文化の原点。

 平成は情報の時代。珍しいものを食べたいという人が増えた。おいしいものより新しいものに飛びつくのって、料理人的にはちょっとさびしいけどね。そんな時代を経て大阪らしさはどうなったか。この30年、後世に残るような食べ物が生まれたかな?

 お母ちゃんのことも応援したい。家事も育児も大変やと思う。時短も大事やけど、レンジでチンやなくて湯がくとか炊くのには理由がある。便利はいいけど、便利すぎると文化をなくしてしまうかもね。

 人間の体は食べるもので作られる。料理を作る人は食べる人のことを考えるという大阪の原点に立ち返ってほしい。食を取り巻く環境は時代とともに変わる。百年先に残る食べ物、大阪の若い人に作ってほしいな。(聞き手・坂東慎一郎 写真・矢木隆晴)

     *

 1954年、大阪市旭区出身。大阪・中之島の辻学園調理製菓専門学校の元教授(製菓・製パン)。ABCテレビ「探偵! ナイトスクープ」などに出演。

 ■「本物の店」自分の足で タレント・タージンさん

 食べ歩きが大好きな僕なりの、おいしい中華料理店の見分け方があります。換気扇から油が垂れているお店、床がヌルヌルのお店、メニューが張ってある裏の壁が変色しているお店は大概おいしい。もちろん外れもありますけど、それで良いんです。良いお店を見つけるには経験が大事やからね。

 食べ歩いてて感じるのはここ数年、海外のお客さんが増えたことです。黒門市場は顕著。2年前にロケでお邪魔した時は、お店の人が「海外からの観光客が多すぎて常連さんが来られへん。商売あがったりや」。それが昨年9月の台風の時には「外国人観光客が来ない。商売あがったりや」。

 これこそが大阪商人の柔軟性。もともと大阪の飲食店が仕入れに来る市場が、今は店先で刺し身を引き、高級肉を焼いて食べさせてくれる。その工夫が、市場の魅力を海外の人に伝えたんとちゃうかな。

 その海外のお客さんも、何度も大阪を訪ねるうちに、本物の大阪の味を求め始めるだろうと僕はみてます。今は老舗のうどん屋さんや人気のおでん屋さんに外国人のお客さんいてへんし。地元の人が本当においしいと思うものを食べたいという人はきっと増えます。そうなるには、我々自身も本物の大阪の食文化を見つめ直し、発信していく必要があると思います。

 最近の子はネットで評判とか行列ができる店でないと安心しないでしょ。そこはほんまに、大阪の味を大事にしたお店なんかな。

 我々世代の責任もあるかも。僕らは先輩から良いお店を教えてもらったけど、最近はプライベートを重視する風潮もあって、誘っても若い人がついてきてくれないことも増えたんちゃうかな。こっちも誘わなくなったんですけど、僕は寂しい思いがあります。

 ネット情報もSNS映えもええねんけど、僕はいろんな店にたくさん行って大阪の味を知ってほしい。世界に誇る大阪の食を食べて支えるのは若い人たち。それにちゃんと自分なりのうまい店知ってる方がモテるんとちゃうかな。(聞き手・古田寛也 写真・矢木隆晴)

     *

 1962年、大阪市旭区出身。本名・石川雄三。関西を中心に主にリポーターとして活躍。「ロケの神様」の異名も。ABCテレビ「おはよう朝日です」など出演多数。

 ■追求 ストレートに、自由に ぐるなびエディトリアルプロデューサー・松尾大さん

 はり重のコールビーフ(ローストビーフ)を熱々のご飯に巻いて食べる。松茸(まつたけ)の土瓶蒸しを松茸ごはんにぶっかける。正しいかどうかは知らん、うまいからいい。大阪の人はうまいもんにどストレート。ある意味みんなが職人です。

 幼い頃、親に明治軒や丸万寿司に連れて行ってもらいました。平成を迎えた高校生の頃は、よく遊んでいた道頓堀でたこ焼きやうどんを食べた。「大阪ってどこで何食べてもおいしい」という僕の原体験です。

 振り返ると、平成になって大阪は大阪らしさを失い「スペック」を食べるようになっていました。

 大学卒業後、京阪神の情報誌「Meets Regional」の編集部で働き始めました。駆け出しの頃に担当した焼き肉特集で「この店の肉はA5ランクだから良い」と書きましたが、我ながら大阪らしくなかった。東京は説明も含めて味わうけど、食べて「うまい、どこの肉?」となるのが大阪ですよね。

 今は飲食店情報サイト「ぐるなび」で編集案件のプロデューサーをしていますが、最近大阪が大阪らしさを取り戻そうとしているのを感じます。

 例えばスパイスカレー。東京やとカレーの本場で勉強した人が正解。でも大阪は「こうしたらうまいかも」とカレーに平気で豆腐を入れる。実際うまい。

 うまいは正義。大阪の人が自分の感覚を信じ、自由にうまさを追求していけば、大阪はもっと面白くなる。豊かな食文化が世界に広がると思います。(聞き手・山根久美子)

     *

 1972年、奈良県生まれ。96年に京阪神エルマガジン社(大阪市)入社。「Meets Regional」元副編集長。出版社などを経て現在ぐるなび勤務。

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