メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

10月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

なにわ平成食探訪

menu:1 スパイスカレー

写真:オギミ〜ル☆こと荻野善弘さん 拡大オギミ〜ル☆こと荻野善弘さん

写真:旧ヤム邸中之島洋館の「選べる混ぜカレー」。右上から時計回りに鶏キーマ、サトイモと白ネギの野菜カレー、黒カレー 拡大旧ヤム邸中之島洋館の「選べる混ぜカレー」。右上から時計回りに鶏キーマ、サトイモと白ネギの野菜カレー、黒カレー

写真:谷口カレーの麻辣豚バラキーマカレー。花椒のしびれを感じながら、和風のダシで炊いた大根や豆腐をかみしめると、不思議な安心感が 拡大谷口カレーの麻辣豚バラキーマカレー。花椒のしびれを感じながら、和風のダシで炊いた大根や豆腐をかみしめると、不思議な安心感が

 ■工夫ぎっしり、ひとすくい

 大阪スパイスカレー。誰が最初に言い始めたのかわからないが、ここ数年大阪を中心に爆発的なブームを巻き起こしている。見た目も味も、従来のカレーライスとはまったく違う。多様なスパイスが体をほてらせ、脳を刺激し、なぜかどんどんスプーンが進む。

     *

 「左手にシシトウ、右手にスプーン。スイカに塩的な対比効果で、シシトウの苦みを感じてからカレーをどうぞ。グレープフルーツジュースで舌をリセットして、最後までスパイスの香りを楽しんでください」

 大阪市内で4店舗を展開する「Columbia(コロンビア)8」の北浜本店(中央区)。代表のオギミ〜ル☆さんこと荻野善弘さん(40)は、初めての客には必ず丁寧に食べ方を説明する。

 キーマカレーはスパイスと炊いた麦飯にバジルなどを振りかけ、30種類以上のスパイスを使ったカレーソースを注ぐ。後で加えた塩漬けインゲンやレーズンをかむ度に、味が変化する。

 独創的で計算され尽くした味が食べた人を驚かせ、客がまた客を呼んだ。オフィス街にありながら、平日の昼時も、ビジネスマン以外の客も含め混み合う。2018年版ミシュランガイドでビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理)の店として紹介された。

 兵庫県の会社員だった20代前半、荻野さんは大阪であるカレーに出合った。「自分にしか作れないものを作る職人になりたかった。それがカレーだと確信した」

 6年間、イタリアンや和食など飲食店で働いて料理の基本を学び、調理師の資格を取得。08年5月に1号店をオープンさせた。「カレーというポピュラーな食べ物をこの人が作るとこうなるのか、と驚かせてくれる。アートですよね」

     *

 大阪スパイスカレーとは何なのか。カレー好きが高じて、ターメリックの歯周病菌に及ぼす抑制効果を研究している歯科医の泉井秀介さん(41)=大阪市=によると、「カレー粉やルーを使わずスパイスだけで作るのがいわゆるスパイスカレー。そこに作り手たちの創意工夫で、ダシや具材を自由に組み合わせたのが、大阪スパイスカレーと言われています」と説明する。

 泉井さんによると、うどんに七味をかけ、お好み焼きやたこ焼きにスパイスたっぷりのソースを使う関西人は「昔からスパイスのエリート教育を受けてきた」という。更に枠にとらわれない感性が相まって、「大阪で独創的なカレー文化が花開いたのでは」とみる。

 その味は大阪にとどまらない。市内で3店舗を展開する「旧ヤム邸」は17年、東京・下北沢に支店をオープン。代表の植竹大介さん(46)は「遊び心満載のカレーが東京で受け入れられるか不安だったけど、想像以上に反応が良くてびっくりした」。スパイスや具材の配合に試行錯誤を重ねる日々が続く。

 営業スタイルも自由。4年前から書店の一角を間借りしてカレーを出す「谷口カレー」(大阪市中央区)の谷口智康さん(36)は、「面白い人、いろんな文化が集まる書店でカレーを作れて幸せです」。飲食店で働きつつ20代半ばからカレーを作り始め、8年前から知人の店やイベントでカレーを提供している。

 食品業界も注目する。大阪の薬種問屋が前身の「ハウス食品」(本社・東大阪市)は昨夏、「スパイスフルカレー」を発売。開発担当者が大阪のカレー店を徹底的に食べ歩き、スパイスの使い方を学んだという。

 同社の広報課長、前澤壮太郎さん(39)は初めて大阪でスパイスカレーを食べた時の衝撃が忘れられない。「一口ごとに味が違う。自由で個性的」。東京勤務だが、出張のたびに大阪のカレー店を巡る。「伝統を大事にしながら、伝統に縛られない。日本の食文化は大阪に鍛えられている」(山根久美子)

 ■「言うてもカレー。好きなように作って」 92年開店「カシミール」後藤さん

 作り手たちに大きな影響を与え続けてきた店が、現在同市中央区にある1992年開店の「カシミール」だ。注文が入るたび、店主の後藤明人さん(55)がひとりでカウンターでスパイスを調合し、カレーを作り上げる。昨今の盛り上がりをどう見ているのだろう。

 「スパイスカレーって言うけど、カレーにスパイス使うのは当たり前じゃないですか。それも含めて最近のブームには正直ちょっと違和感あるんです。言葉は変化していくものだから別にいいんですけどね」

 かつて音楽ユニット「EGO―WRAPPIN’」(エゴラッピン)のベーシストとして初期の活動を支えた。フライパンにスパイスを振りかける真剣な表情はアーティスト、まさに職人だ。

 「僕も昔からカレーが大好きで、憧れの店のカレーをよく食べにいきました。若い人が僕のカレーに影響を受けたと言ってくれるのは、本当にうれしいですね」

 「言うてもカレー。僕はただお客さんにおいしいものを食べてもらいたい。みんな好きなように作っていったらいいと思う。開店してから僕もずっと、試行錯誤を続けています」

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

社会部大阪版から

ご愛読、ありがとうございます。大阪府内の主なニュースや連載記事など、多彩な話題を提供します。情報提供やご意見もお寄せ下さい。
メールはこちらから

朝日新聞 社会部大阪版 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】TEPPEI×ハマ・オカモト

    自分に合った服装とは?

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ