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なにわ平成食探訪

menu:5 回転ずし 

写真:スシローの厨房では「シャリロボ」と呼ばれる機械が一定のペースで2貫のシャリを調理用レーンに流していく(写真の一部を加工しています) 拡大スシローの厨房では「シャリロボ」と呼ばれる機械が一定のペースで2貫のシャリを調理用レーンに流していく(写真の一部を加工しています)

写真:スシローで回転ずしを食べる子どもたち 拡大スシローで回転ずしを食べる子どもたち

写真:現在は持ち株会社「スシローグローバルホールディングス」内部監査室長を務める宮塚巧さん 拡大現在は持ち株会社「スシローグローバルホールディングス」内部監査室長を務める宮塚巧さん

■レーンが運ぶ、家族の笑顔

 家族の外食先として不動の地位を築いた回転ずし。発祥は東大阪市の「元禄寿司(ずし)」。1958年、布施市(現東大阪市)に「廻(まわ)る元禄寿司」1号店がオープンした。78年に、創業者が持っていた「コンベア旋回式食事台」の特許が切れたことで、新規参入が相次いだ。

     *

 「何もかもびっくりした。これがすしかいな、と」。宮塚巧さん(54)は82年に初めて「廻る元禄寿司」を訪れたときのことをそう振り返る。ツナマヨなど斬新なネタ、客の回転率の高さ、そして安さ。「回転ずしって、かっこええなと思った」

 宮塚さんはそのころ、大阪市阿倍野区のすし店「鯛(たい)すし」に職人として入店したばかり。すし店と言えば、鯛すしのようにカウンター席で、高級なイメージが一般的だった。

 世はバブル前夜。鯛すしの経営も堅調だったが、創業者の清水義雄さんと弟の豊さんの兄弟は回転ずし業界への参入を決意する。「より多くの人に安くてうまいすしを提供したい」というすし職人としての思いからだった。人気回転ずしチェーン「あきんどスシロー」(本社・吹田市)の前身の誕生だ。

 84年、豊中市の住宅街に「すし太郎」(のちのスシロー)の1号店を出店。従来のすし屋には縁遠かったファミリー層向けに、軍艦巻きやコーン、エビサラダなど、子どもでも食べやすいメニューを多く採用。狙いは当たり、厨房(ちゅうぼう)に立つ宮塚さんも多忙を極めた。

 平成に入ると、業界に機械化の波が押し寄せる。94年、宮塚さんの厨房に、シャリを握るロボットが試験導入された。「職人が機械に負けるはずないやろ」と懐疑的だった宮塚さんも、ほどなく導入に賛成した。「何時間握らせても文句一つ言わんからね」

 バブル崩壊後も、客足は鈍らなかった。96年には「全皿100円均一」とし、デフレ時代に対応した。99年、経営強化のため、豊さんが別に立ち上げた回転ずしチェーン「あきんど」と合併し、翌2000年にあきんどスシローに社名を変えた。

 17年9月決算で売上高は約1560億円に上り、業界トップ。宮塚さんは「大阪の人が求める、安い、うまい、早いを実現するために努力を続けてきたからこそ、みなさんに受け入れてもらえたのでは」と話す。

     *

 家族連れでにぎわうスシロー南吹田店(吹田市)。長男(9)、次女(5)と訪れた主婦の松下玲美さん(37)は、「子どもも70代の母も外で何が食べたいかと聞いたら、いつもおすしと答える」。月2回ほど通う。「おいしくて気軽に入れる。料理が出るまで待たなくていいのも回転ずしの良さ」

 調査会社「富士経済」の上田周作さん(49)によると、外食産業全体の売り上げは1997年をピークにほぼ横ばいが続くなか、回転ずしはほぼ一貫して市場を伸ばしてきた。

 平成の時代、機械化と店舗の大型化で大量生産・大量消費による低価格化を実現した回転ずし業界について、「外食産業であるのと同時に、機械に支えられた装置産業でもある」と読み解く。

 スシローの厨房では、高さ1メートルほどの箱形の機械「シャリロボ」が皿にシャリを次々とのせていく。それが調理用レーンを流れて従業員の手元に運ばれていく。店内の200席に、休日には1時間に約1400皿のすしが流れていく。

 どのネタをいつ流すべきかはビッグデータが教えてくれる。過去4年間に消費された約40億皿の季節や時間帯、数などのデータをコンピューターが分析し、顧客の注文に先んじて次に提供すべきネタを厨房の端末上に「提案」する。

 「でも、最後は人のノウハウがサービス精度と質を高める」。そう話すのは店長として厨房にも立つ、あきんどスシロー営業課長の高橋堂真(たかまさ)さん(43)。ビッグデータに客の性別や年齢などの情報は入っていない。この人はこのネタを待っているんじゃないか。子どもさんの多いあのテーブルには、このネタが喜ばれるんじゃないか。そんな職人の勘、気遣いは、まだまだ機械ではカバーできないと思っている。

 機械化が進んでも、「みんなに、安くてうまいすしを」という職人たちの思いはしっかりと息づいている。(古田寛也)

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