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技キラリ

今岳窯 溝上良博さん(50)

写真:ろくろで菓子鉢を作る溝上良博さん=伊万里市大坪町甲 拡大ろくろで菓子鉢を作る溝上良博さん=伊万里市大坪町甲

写真:唐津当麻釉イッチン文鉢(からつとうまゆういっちんもんはち) 拡大唐津当麻釉イッチン文鉢(からつとうまゆういっちんもんはち)

 父親は、松浦系唐津焼を基本とし、焼締(やきしめ)の技法で有明の朝焼け、玄海の夕焼けを表現している日展会友の藻風(そうふう)さん(76)。その長男として生まれ、好むと好まざるとにかかわらず、陶芸家への道は定まっていたのかもしれない。

 伊万里高校卒業後、大学受験に失敗したため、京都府宇治市の故河島浩三氏に師事した。河島氏は、京焼の伝統工芸士で前衛工芸団体の走泥社に参加し、オブジェや花器を出品するなど精力的に作陶活動をした。

 「浪人はダメということで、本当は京都市の工業試験場で釉薬(ゆうやく)の勉強をしたかったんですが、試験場に入るために、その前にまず、河島先生の所に弟子入りすることになったんです」

 そこで3年間、修業した。「下働きのとき、土もみをして、先生に渡すと、ろくろが手早くて、急須にしろ菓子鉢にしろ、どんどん形になってました……」

 この後、京都の伝統産業である京焼・清水焼の伝統的作陶技術を学ぶ京都府陶工職業訓練校(現京都府立陶工高等技術専門校)図案科に1年間通って上絵や下絵、山水画などを学んだ。

 そして、念願だった京都市工業試験場(現京都市産業技術研究所)に入り本科・研究科で3年間、釉薬の研究に明け暮れた。約3センチ四方のテストピースにモミ灰や松灰、カシ灰などの釉薬をかけ酸化焼成、還元焼成を繰り返して発色や焼き上がり具合などを調べた。

 その頃の研究が、今の焼き物作りの原点になっている。1991年に伊万里市に戻り、父親の下で作陶を始めた。すべて郷土の釉石や陶土を採取して使い、釉薬も自分で調合するなど、手作りにこだわっている。

 2002年には、九州電力の若手工芸家国内外派遣研修制度で、米国・ニューメキシコ州アルバカーキに約3カ月間滞在し、大陸の鉱物や粘土を採取してニューメキシコ州立大学などで素地の作成から釉薬の調合・調整を行い、テストピースを焼成して釉薬の溶け具合などの研究を重ねた。

 また、11年には独立行政法人国際協力機構(JICA)の草の根プロジェクトでベトナムへ窯業(ようぎょう)支援に出かけるなど国際交流にも一役買っている。「日本とは全然違う環境の中で、焼き物を通じて現地の人たちと交流し、なにがしかの貢献ができたのであればうれしい」と話した。

 白化粧で文様を盛り上がらせるイッチン描きの技法を駆使し、西日本陶芸美術展や日本伝統工芸展などで入選するなど、その技も高く評価されている。

 「一楽二萩三唐津」などと称される茶陶を作るのに役立てば、と30年ほど前から茶道も続け、作陶に生かしている。「手によくなじみ、飲みやすく、使いやすい茶碗(ちゃわん)を作りたいですね」

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【略歴・作陶歴】

1965年 伊万里市生まれ

1984年 京都府宇治市の河島浩三氏に師事

1987年 京都府陶工職業訓練校図案科に入る

1991年 京都市工業試験場本科・研究科を経て伊万里市に戻り作陶を始める

1998年 西日本陶芸美術展奨励賞佐賀県知事賞受賞

2000年 日本伝統工芸展入選

2005年 一水会展佳作賞受賞

2011年 JICA草の根プロジェクトでベトナムにて窯業支援

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 ■今岳窯

所在地 伊万里市大坪町甲

電話  0955・23・3583

交通  JR伊万里駅から車で10分。十三塚バス停から徒歩5分。

駐車場 10台

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