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柴田先生の経済コラム

技能継続あっての伝統

写真:仏壇店が多い「七曲がり通り」=aimaiworks提供 拡大仏壇店が多い「七曲がり通り」=aimaiworks提供

「老舗企業大国」である日本には全国各地に多くの長寿企業が存在します。なぜ多いのでしょうか。

 このような素朴な疑問に、経営学の視点から学術的に答えようとする研究があります。その代表例のひとつが、「伝統産業のビジネスシステムに関する研究」です。

 私の研究室では、日本だけでなく、中国、タイ、ベトナムにある様々な伝統工芸産地を分析対象として、その秘訣(ひけつ)を探るべく、日夜研究しています。道半ばの研究ですが、ここからはその一端についてお話しできればと思います。

 まずは最も身近な例から。私が居住する滋賀県彦根市には、彦根仏壇と呼ばれる伝統工芸産地があります。彦根市やその近隣市域に広く分布していますが、その中心地は、彦根城下町の南に位置する「七曲(ななま)がり通り」と呼ばれる街道筋にあります。

 彦根仏壇産業の起源については諸説ありますが、寛永年間(1624〜44)に漆器業者が京都地方の仏壇に倣って製造を始めたことにあるとされています。地元では、戦国期に武具生産に従事していた職人たちが、平和産業である仏壇生産にくら替えしたことが契機だとも考えられています。

 気の遠くなるような年月にわたって存続してきたことになるのですが、このわずかな史実の中にも、伝統工芸産地の本質を理解する上で注目すべきことが含まれています。

 我々現代人は、彦根仏壇という伝統工芸品の生産が400年弱も継続してきたことから、「仏壇という製品の生産」=「伝統」と理解します。しかし彦根では、武具生産から仏壇生産へという形で主力製品のイノベーション(革新)が行われていたわけです。

 つまり、伝統工芸産地が長期にわたって存続できるのは、製品の継続性よりも、イノベーションを可能とする職人たちの技能の継続性にあるとみることができるのです。この本質に注目する必要があります。

 次のコラムからは、彦根仏壇産業のビジネスシステムの詳細を紹介し、長期存続の秘訣をお話ししていきたいと思います。

 柴田淳郎(あつろう) 大阪府出身。神戸大大学院経営学研究科博士課程を2006年に修了し、09年から滋賀大に。専門は経営戦略や産業集積。日本経営学会や組織学会、日本地域学会、日本ベンチャー学会に所属。共著に「日本のビジネスシステム」。

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