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柴田先生の経済コラム

垂直分業 技能を後押し

写真:彫刻の作業=彦根仏壇事業協同組合提供 拡大彫刻の作業=彦根仏壇事業協同組合提供

 彦根仏壇産業は、仏壇の生産・販売・補修を主たる事業としています。彦根を代表する伝統産業のひとつです。

 彦根仏壇産業の技術力の高さは、第1回(1978年)の全国伝統的工芸品仏壇仏具展で永樂屋が最高賞の「通商産業大臣賞」、第22回(2015年)の仏壇仏具展で宮川仏壇が「経済産業大臣賞」の栄誉に浴したことからも証明されています。

 このような高度な技能は、彦根仏壇のどのようなビジネスシステム(ビジネス上の仕組み)に支えられているのでしょうか。

 その一つは産地全体の「垂直分業体制」です。垂直分業とは、製品やサービスが生産されるプロセスで、必要とされる職能が分業化されていることを意味します。

 彦根仏壇では、工部七職(こうぶななしょく)と呼ばれる(1)木地(きじ)(2)宮殿(くうでん)(3)彫刻(ちょうこく)(4)漆塗(うるしぬり)(5)金箔押(きんぱくおし)(6)錺金具(かざりかなぐ)(7)蒔絵(まきえ)という七つの職能が、産地内で分業することで生産されています。

 垂直分業体制によって熟練の職人の育成が容易になります。なぜなら、一人前の職人になるためには工部七職すべての職能に習熟する必要はなく、どれか一つの職能に習熟すれば良いからです。

 もう一つは、「経営と技能の分離」です。七職に分業化された仏壇の生産プロセス全体をまとめ、市場に合わせる仕事をするのが、商部と呼ばれる問屋です。

 問屋は顧客ニーズを把握し、工部七職の職人たちに仕事を指示し、最終製品の組み立ても行います。完成品の品質についても問屋が責任を持ちます。

 つまり、経営全般については商部である問屋が受け持ち、生産は工部である職人が担当するという形で分業化されているのです。結果、彦根仏壇の職人たちは自らの技能の研鑽(けんさん)に集中することができるのです。

 伝統工芸産地を支える中核的経営資源は、職人の伝統的技能です。しかし、これらが長く継承されるには、産地のビジネスシステムの合理性に注目する必要があります。次のコラムでは、彦根仏壇産業の問屋の役割について、より詳細にお話ししたいと思います。

 柴田淳郎(あつろう) 滋賀大経済学部准教授。大阪府出身で、神戸大大学院経営学研究科博士課程を2006年に修了し、09年から滋賀大に。専門は経営戦略や産業集積。日本経営学会や組織学会、日本地域学会、日本ベンチャー学会に所属。共著に「日本のビジネスシステム」。

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