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柴田先生の経済コラム

需要に合わせ 職人を増減

 前回のコラム(12月5日付)では、彦根仏壇伝統工芸産地の職人たちが「職人家族」と呼ばれる家族を中心とした徒弟関係の下で、基礎的技能を修得していることをお話ししました。今回は、職人を育成する経営システムの合理性についてお話ししたいと思います。

 彦根仏壇は芸術的価値の高い伝統工芸品で、宗教用具ですが、市場で売買される商品です。商品が合理的に生産・消費されなければ、市場原理によって淘汰(とうた)され、伝統技能の継承も途絶えます。

 伝統工芸品は手工芸ですので、職人の人数に生産量が比例します。つまり、生産量の調整は、究極的には職人の人数を調整することなのです。

 需要が少ない時、多くの職人を抱えていれば、人件費が高くなりすぎ、職人家族の経営を圧迫します。一方で、需要が多い時、機会損失(需要に対して生産量が少なく、利益を得る機会を失ってしまうこと)を回避するため、多くの職人を育成し、生産量を拡大する必要があります。

 具体的には、仏壇需要が少ない場合、職人家族は徒弟を独立させることで、人件費を軽減することができます。あるじの自分と後継ぎ以外を減らして2人だけにします。家族が食べていくだけの稼ぎがあれば、ビジネスを継続していけるからです。

 一方、仏壇需要が多い時は、徒弟を迎えて育成することで、生産量の拡大を行います。一度育てた徒弟は、年季奉公を終えて独立した後にも、徒弟関係は継続しています。職人家族内で生産が追いつかない場合、この独立した職人たちが親方の仕事を代行するのです。

 このように、独立後も徒弟関係の延長として継続する取引関係を、岐阜大学社会システム経営学環の加藤厚海教授は、「仲間型取引ネットワーク」と呼びました。このネットワークは、彦根仏壇産業だけではなく、東大阪の金型産業においても存在します。

 仲間型取引ネットワークは、産地全体が需要の量的変動に合理的に対応することを可能とします。結果として、彦根仏壇伝統工芸産地の存続や技能継承に大きく寄与しているのです。

 柴田淳郎(あつろう) 滋賀大経済学部准教授。大阪府出身で、神戸大大学院経営学研究科博士課程を2006年に修了し、09年から滋賀大に。専門は経営戦略や産業集積。日本経営学会や組織学会、日本地域学会、日本ベンチャー学会に所属。共著に「日本のビジネスシステム」。

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