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しまねの人

演劇人として「怒り」発信

写真: 拡大

写真:「自分が好きだと思える世界を見つけることができたのは幸せ」と話す清原眞さん=松江市千鳥町 拡大「自分が好きだと思える世界を見つけることができたのは幸せ」と話す清原眞さん=松江市千鳥町

◆劇団幻影舞台主宰 清原 眞さん(70)◆

 「そこは、もっと感情を込めて!」「その言い方は違うだろう!」

 主宰する劇団幻影舞台の練習場所、松江市千鳥町のホールに声が響く。12人の劇団員を束ねながら、自らも演じて手本を示す。

 大学の卒業論文のテーマはマスコミュニケーションだったという全共闘世代だけに、権力への反抗心もある。社会の小さな出来事にも関心をもつ姿勢は、新聞の切り抜きを作って芝居の着想を得る今に続く。

 もともとは小説家になりたかったという。地方で劇団をつくっている人たちのことを知る機会があり、演劇をめぐる青年群像を書くために材料を集めようと、松江に戻って劇団あしぶえに入団。同劇団が10周年記念に上演した「アンネの日記」で、アンネの恋人役を務めた。26歳にして、「自分では体験し得ないことも、役者でできるという、人の前で演じることの喜びを知った」と言う。以降、多くの芝居を見るようになった。

 そんな中で見た劇団文化座(東京)の演劇は、人間の根底にあるものや、貧しさの中に現れる人間の本質を描いていて、清原さんの心をとらえた。「台本を書きたい」という思いが強くなり、プロの劇団で学ぼうと、上京して文化座の門をたたいた。

 演出部の部員として3年間を過ごしたが、まだ「角のある自分」であるうちに、松江で劇団を立ち上げようと決めた。あしぶえ時代に知り合った演劇仲間など5〜6人で幻影舞台を旗揚げした。演劇は一瞬にして消え、演じるたびに違うというはかなさを思い名付けた。

 たびたび演じる演目がある。原爆投下前後の広島を描いた中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」。これは演劇人としての「怒り」が発端になった。

 きっかけは、2013年8月に発覚した松江市教育委員会の対応だ。「表現が暴力的だ」として、漫画を市立小中学校の図書室で閉架図書扱いにしていた。「松江の演劇人として怒りをぶつけたい」と、すぐさま朗読劇に仕立てて上演した。

 昨年9月に開催された第2回しまね演劇コンクールで、新たに演劇にした「はだしのゲン」は100人の観客による審査の結果、最優秀の「しまね演劇大賞」に選ばれた。「作品を閉架にした松江に良い感情をもっていなかった中沢さんの遺族にも、松江の観客が最高の評価をしたことで喜んでもらえた」と言う。

 次の芝居は、9月に上演予定の「奇跡の邂逅(かいこう)」。フィリピンで収監された日本人戦犯の特赦を、同国の大統領に求めて実現させた安来市出身の画家、加納莞蕾(かんらい)の少年期からの物語を描く。今後は、ITの介護ロボットと老人との情愛を書いてみたいという。2年後に迎える劇団結成40周年に向けては、松江の「橋北と橋南」や出雲の「平田と大社」など、地域で対比される話をテーマにした構想なども浮かんでいる。

 「はだしのゲン」は28日午後2時から松江市殿町の県民会館中ホールで上演される。観覧料は千円(高校生以下無料)。 (木脇みのり)

■きよはら・しん 

1949年、松江市生まれ。早稲田大学卒業後、松江市のアマチュア劇団「あしぶえ」を経て、劇団文化座に3年間所属。81年に松江市で劇団幻影舞台を結成。オリジナル作品を基本に、脚本・演出を担当し、自らも出演する。

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