メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

02月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

しまねの人

引かれ続けた異国を描く

写真: 拡大

写真:自身が描いた絵画の前に立つ堀晄さん=松江市奥谷町の島根大旧奥谷宿舎 拡大自身が描いた絵画の前に立つ堀晄さん=松江市奥谷町の島根大旧奥谷宿舎

◆古代オリエントに魅せられた研究者 堀 晄さん(71)◆ 

 「農業も武器も文字も、古代オリエント地域で生まれ世界に広がった。そこに触れる面白さがある」

 現在の中東地域を中心に、紀元前3200年から約3千年間にわたり花開いた文明「古代オリエント」について研究し30年余り。古代オリエント博物館(東京都)で研究部長まで務め、海外で発掘調査を繰り返し、考古学上の謎に数々の新説を提唱してきた。

 現在は松江市鹿島町に住み、研究で訪れた地域の風景画や歴史画などを描き、市内で個展を開く。

 富山県立山町生まれ。母の病気療養のため小学1年で松江に移った。島根大付属中、松江南高、東京大文学部に進学。専攻を日本史にしようか迷ったが、「当時考古学は人気がなく、少人数でじっくりと勉強ができそう」と考古学にした。

 英語ができたので、国内ではなく海外文明を研究対象にした。修士課程では、中央アジアでの農業の始まりについて研究。「競争が少なそうな分野を何となく選んできた」と冗談っぽく笑うが、博士課程まで進んだ時、一つの転機があった。

 東京大がイランやイラクでの遺跡調査団を組むことになった。教授に誘われて調査団に入り、イラン北部のコーカサス山脈で発掘調査をした。これまで資料を元にした研究ばかりだったが、初めて海外での発掘調査を経験。現地の調査員と議論したり、お互いの故郷のことを語り合ったり。異国での活動に心が躍った。

 30歳で博士課程を単位取得退学。調査団の縁で、新しく出来る古代オリエント博物館で、研究員として働くことになった。その後、年3回ほどのペースでシリアやトルコ、イラン、イラク、ウズベキスタンなどに行き、遺跡などを調査。研究部長になり、東海大の非常勤講師も務めた。

 「古代オリエントはヨーロッパ、アフリカ、東洋などの文明の集約点。そこから世界のダイナミックな動きが見えてくる」と研究の面白さを語る。出土品の年代などから、文字や農業、印鑑、戦車まで様々なものが古代オリエントから世界中に伝播(でんぱ)していくことが裏付けられ、そのたびに、ロマンを感じた。

 特に思い出に残るのは、2003年ごろから始めた分銅の研究。日本に持ち込まれた古代の分銅を調べているうちに、使用されていた地域ごとに規則性があるのではないかと思い至った。

 世界各地で発見された26種類の分銅の保管先の博物館や研究所に連絡。中央アジアのほか米国や英国にも足を運び、分銅の重さや材質などを調査した。分銅は商品の測量に使用したため、交易圏が同じならば、基準となる分銅の重さなどが同じになると証明した。発表した論文は、国際計量史委員会で話題を呼んだ。

 今は当時のような研究はしていないが、新聞もテレビもない生活の中で絵画に力を入れる。研究対象だった中東や中央アジアの街並みなどを描く。「自分が引かれ続けた異国で、何を見て、どんなことを考えて、感じたのかを生きているうちに残したい」。かつて没頭したオリエント世界の風景を思い出しながら筆をとる。(市野塊)

■ほり・あきら 

1947年富山県立山町生まれ。東京大人文科学研究科考古学専攻博士課程単位取得退学。現在、松江市鹿島町に居を構え、庭ではヤギを飼う。「陶芸、絵画、彫刻を遊びの3本柱にして暮らしています」

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

朝日新聞 松江総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】TEPPEI×ハマ・オカモト

    自分に合った服装とは?

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ