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しまねの人

不昧公極めた武術 後世に

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◆松江藩伝承の居合の団体代表 重吉 伸一さん(61)◆

 「大名茶人として知られる不昧公に、幕府や藩を守ろうとした武人としての面があったことをもっと知って欲しい」。松江藩に伝わり、松平治郷(不昧公)も極めたとされる不伝流居相(いあい)の再興を目指し、居合の団体「不伝流居相道松江支部」の代表を務める。

 福岡県出身で、15歳で空手をはじめた。日体大に進学後も空手を続け、空手部の卒業生からの誘いで島根県の中学校の教員となった。以来、空手の普及に尽力。武術への情熱は尽きず、競技者として空手を引退した後も、太極拳、柔術、居合など多くの武道・武術に学んだ。

 松江藩の伝統武術にも関心を持ち、巻物や伝書、武器などを集めたが、そのほとんどが明治以降に廃れてしまっていることが分かった。そんな折、松江藩士の子孫で札幌市在住の戸田基治さん(62)が2011年に口伝書などから不伝流を復元したと知り、すぐに連絡を取った。戸田さんを訪ねたり稽古のDVDを送りあったりするなどして研究を重ね、12年、松江市で支部を立ち上げた。「武道はその土地や風土、風習が育んだもの。地域の歴史に埋もれさせてはいけない」という思いがあった。

 松平家が編纂(へんさん)した「松平不昧傳」などによると、松江藩に伝わる武術には不伝流のほか、新当流兵法(剣術)、一指(いっし)流管槍(くだやり)、柏原流鍵槍(かぎやり)(ともに槍術(そうじゅつ))、直信(じきしん)流(柔道)の「五流」があり、中でも不伝流と一指流は「御流儀」として特別視された。不昧公は藩に武術の奨励をはかり、自身も不伝流の達人だったとされている。

 不伝流の特徴はその実戦的な動きにあると考える。気配を消し、水が流れるように相手の間合いに入り込む。四方の敵を想定し、一歩踏み出す間に2度切り込む。相手を幻惑するため、逆手で刀を抜き仕留める……。「体の使い方も複雑で、稽古の度に発見がある」という。

 現在松江支部には10代の高校生から60代まで、約15人が所属する。週1回の稽古には重吉さんを慕い、空手や柔術、少林寺拳法などの高段者が集うが、中には不昧流の茶道をきっかけに門をたたいた人もいる。鳥取県大山町の造園業、土山敏宏さん(39)と妻直子さん(25)は2年ほど前、不昧流を学ぶうちに居相術の存在を知った。土山さんは「茶道と武道は一見正反対のようだが、相手と全力で向き合う点が共通している」と話す。

 昨年の不昧公200年祭では、松江支部は松江城で演武を披露し、観客を魅了した。「はじめて不昧公が武術をしていたと知る人も多く、うれしかった」。札幌から戸田さんも駆けつけた。

 現在、不伝流をはじめ、今まで学んできた古武道を体系化して継承しようと武道団体「大和会」も主催する。「武道が持つ精神性は礼節が失われている今だからこそ必要なもの。先人が培ってきた宝を大切に守り広めていきたい」と笑顔で語った。(清水優志)

■しげよし・しんいち 

1957年、福岡県出身。日本体育大学卒業後、島根県の中学校の体育教員に。2012年に不伝流居相の支部を立ち上げ、不伝流の研究と普及に取り組む。

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