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しまねの人

歴史に埋もれた活躍 拾う

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◆「石州口の戦い」の本出版 伊藤 義照さん(88)◆

 幕末に益田市を舞台に、幕府軍と長州藩が激突した「石州口の戦い」について、自費出版の本「石州口の戦い」にまとめた。

 石州口の戦いは1866(慶応2)年6月、四境戦争の最終局面の戦いとして展開された。明治維新への道筋をつけ、「日本の夜明け」とも称される。

 日本陸軍の創始者、長州藩士の大村益次郎率いる約1500人の軍勢の猛攻に、益田市多田町の旧山陰道・扇原関門の関守として立ちはだかったのは浜田藩士の岸静江。やりの名手として知られた岸は、部下を逃がした後、31歳で壮絶な戦死を遂げた。

 岸の位牌(いはい)が残る西禅寺(同市本俣賀町)は、大村が岸の武勇をたたえ、手厚く葬った場所といわれる。また萬福寺(同市東町)は幕府軍が戦闘の際に陣取った場所だ。戦闘があった同市多田町には岸の記念碑も残っている。

 著書は、こうした場所を丹念にすくい上げ、岸の人物像、戦いの様子などを、自ら歩いて撮影した約200枚の写真や地図、文章とともに解き明かす。

 本業は1級建築士。地元の学校や文化ホール、企業のビルなどの建築にかかわってきた。仕事柄、パソコンが得意だ。さらに趣味は写真撮影。約20台のカメラを所有し、愛用するのは、ドイツ製のライカのデジタルカメラ。パソコンソフトを巧みに操り、撮影した写真をきちんと整理して保存している。

 戦争も体験した。終戦の年、1945(昭和20)年1月、14歳で山口県防府市の海軍通信学校に入学。「本土決戦という時代。同じ年代の若者が工場などに動員された。命の心配より、海軍に入りたいという一心だった」と振り返る。同学校を卒業後、海軍飛行予科練習生となり、8月15日の終戦を迎えた。多くの同年代の若者が山口県周南市の大津島にある人間魚雷「回天」の訓練基地に配属されたという。

 時代は異なるが、戦争の先に新たな時代を垣間見たであろう岸をどう思うのか。

 「わずかな手勢で1500人もの軍勢と向かい合った。そして、その手勢も逃がして、1人で敵に向かい合った。そこが武士としての素晴らしい判断だった」

 完成した本はA5判232ページ。文字をできるだけ大きくし、撮影してきた写真や地図などもふんだんに盛り込んだ。「年配の方にも読みやすいように」と気を配った。

 今回の作品は10冊目。2012年から、益田市や津和野町ゆかりの人物を紹介する本などをすべて自費出版で書いている。「歴史の中に埋もれている地元ゆかりの人たちを紹介していきたい」。今も月に1回程度、山口市の山口県立図書館を訪ね、歴史書を読みあさっている。図書館周辺で開かれるフリーマーケットには、貴重な古本がたくさん出てくるという。それも楽しみの一つだ。

 「石州口の戦い」は500部を印刷し、島根、山口の両県立図書館などに寄贈した。希望者には1冊2千円(税込み)で販売する。申し込みは書籍出版の博史館(0856・25・2409)へ。(水田道雄)

■いとう・よしてる 

1931年、益田市生まれで市内在住。54年、津和野町の建築士事務所の門下生となり、68年に伊藤建築事務所を設立した。裁判所の調停委員などを長く務めた。

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