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しまねの人

県工芸に新たな技と魅力

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写真:丸山達也知事にも見せた桜の彫り皿を手にする福田利浩さん=松江市北堀町 拡大丸山達也知事にも見せた桜の彫り皿を手にする福田利浩さん=松江市北堀町

◆松江彫の木彫り職人 福田 利浩さん(59)◆

 島根県が指定する「ふるさと伝統工芸品」。出西焼、雲州そろばん、広瀬絣(がすり)、石見神楽面、石州和紙など、島根の風土が育む著名な伝統工芸に、このほど松江の木彫「松江彫(ぼり)」が仲間入りした。北海道での8年間の修業を経て約30年前に独立。松江市北堀町の「工房とんぼ」で、アイヌの伝統を基にした独自の作風を持つ木彫りに育て上げた。

 工房とんぼは松江城のすぐ北側、小泉八雲記念館や武家屋敷などが並ぶ塩見縄手から延びる通りにたたずむ。作品を販売する約30平方メートルの小さなお店には、福田さんが手がけた器、手鏡、お盆、ペンダントなどが所狭しと並ぶ。すべてが手作りだ。

 作業場は店内にある。客によく見える位置に座り、黙々と彫刻刀を使う。風が店内に入り、時折、堀川遊覧船の船頭の歌声が聞こえてくる。

 県ふるさと伝統工芸品は、主として日常生活に使われる▽伝統的な技術や技法によって製造されている――など、五つの要件に該当する伝統工芸を県が指定する。今回の松江彫で指定品目は66品目になった。

 工房近くで生まれ育った。サラリーマン家庭で、特に物作りと縁があるわけではなかった。高校卒業後、銀行に就職。しかし、違う道を探そうと退職し、23歳の時に旅行で訪ねた北海道で、偶然、土産物屋の店先で、アイヌ彫刻の熊を作っている職人を見た。

 丸太をチェーンソーで荒取りし、ノミでじっくり彫り上げていく。「無から有を生み出すような光景。ただの丸太が、徐々に形ある熊になっていく姿に魅せられた」。そのままアルバイトとして住み込んだ。木を削る下仕事を手伝い、見よう見まねで技を覚えた。

 3、4年経つと自分で作ったものも少しずつ売れるようになっていった。「生業にしよう」と、徐々に決意を固めていった。

 30歳で故郷に戻り工房をつくった。松江を中心に民芸運動に取り組んだ染織工芸家、金津滋氏(1923〜96)と出会った。茶道にも通じた金津氏のすすめで茶しゃくなど茶道具を作るように。金津氏から「松江彫」と命名された。

 皿や置物などをこつこつと作り続けた。所有する彫刻刀は大小約100本。電動のものも買ったが「一度も使っていない。使い勝手が悪くて」。茶しゃくで1万数千円など価格は高めだが、場所にも恵まれ観光客に好評という。

 7月10日、県庁で県ふるさと伝統工芸品指定書の交付式があった。その際、丸山達也知事に見せたのが桜の彫り皿だ。皿の表面にピンクの桜の花びらがびっしり敷き詰められているようなデザインだ。ホオノキを素材に、一枚の板から約1カ月かけ彫り上げた。

 今後は「今まで通り、地道に仕事をしていきます。彫りたいものを彫っていきたい」と、静かに話した。(奥平真也)

■ふくだ・としひろ 

1960年、松江市生まれ。工房とんぼ(0852・24・6568)は午前9時〜午後6時、不定休。後継者も探しており「やりたい人がいれば歓迎します」。

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