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しまねの人

作る楽しみ 子どもたちに

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◆ベニヤ模型 堀江 美樹さん(81)◆

 老舗商店が立ち並ぶ松江市末次本町の京店商店街の一角、「ベニヤ模型」の2代目。店のガラス戸を開けると、プラモデルやラジコン、鉄道模型に工作用のエナメル塗料やモーターまで所狭しと並ぶ。「見ているだけで楽しいと言われます。買ってもらわないと商売にならないけど」と言って笑う。

 「ベニヤ模型」は父・春敏さんが1937年に創業した。模型やゴム動力のライトプレーンに囲まれて育った。子どもの頃から手先が器用で、小学6年生で作った本立ては松江市長賞をとるほど。店を継ぐのも自然なことだったという。

 高校卒業後、当時百貨店内にあった店舗を任された。夏休みやお正月、目を輝かせた子どもがお小遣いを握りしめてプラモデルを買いに来る姿が忘れられない。「今は逆だけど、当時は客の8割が子ども。仕入れれば飛ぶように売れました」

 売れ筋の商品は時代によって変わるが、幅広い品ぞろえが自慢のひとつだ。いまはドローンも並ぶ。

 店を訪れるのは子どもや模型ファンだけではない。ある日、男性客から漁船の模型はないか尋ねられた。イカ釣り漁船の転覆事故で亡くなった知人を弔うため、3日後の葬儀までに模型を作って欲しいのだという。事情をくみ、店内から転覆した漁船と似た型の商品を取り出し、大急ぎで製作。3日目の朝に完成品を受け取った男性からは「棺(ひつぎ)に入れます」と心から感謝された。その他にも「故人の乗っていたデコトラを再現して欲しい」「3日経ったら沈むシャーラ船ができないか」など、多岐にわたる要望に豊富な在庫と確かな製作技術で応えてきた。「うちでしかできないできない仕事で喜ばれるのだから、うれしい」

 2014年に長男の秀樹さん(45)に経営を委ねたが、今も変わらず店に立つ。「縮尺があって実物を正確に再現したのが模型。ただのおもちゃじゃないんです」と語る言葉に熱がこもる。そこには、模型作りを通じて育まれる知的好奇心や手仕事の喜びが「モノ作り大国」としての日本を支えてきたという自負がある。

 子どもたちの遊びが多様化する中、「模型ばなれ」を肌で感じる。現在、ベニヤ模型は、県内各地で親子向けの模型作りの体験会を開いている。「自分で工夫して何かを作る楽しみを子どもたちに教えてあげたい」。小学6年生の孫は今から店を継ぎたいと話している。「4代目」のためにも、模型文化が続いて欲しい。そう願っている。(清水優志)

■ほりえ・みき 

1938年、松江市生まれ。松江工業高校を卒業。「仕事での模型作りが何よりの楽しみ」。同市寺町にも支店を構える。

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