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しまねの人

脳の可能性 解き明かす

写真: 拡大

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◆神経科学者 田渕 理史さん (34)◆

 米国の大学を拠点に、脳機能の解明を目指す神経科学者として日夜研究にいそしむ。朝に目が覚め、夜に眠くなるといった体内時計の構造についての論文を2年前に学術誌「セル」に発表し注目を集める。米国睡眠学会の最優秀奨励賞にも選ばれ、若手研究者として活躍に期待がかかる。

 筆頭著者としてセルに載せた論文のタイトルは「時計遺伝子に依存的な神経活動の発火パターンのゆらぎによる睡眠の質の決定」。ショウジョウバエが睡眠する際の行動に注目し、光の明暗によって、睡眠と覚醒を制御する脳波のゆらぎが変化する構造を明らかにした。

 体内時計をコントロールする「時計遺伝子」が、たんぱく質の生成と分解を通じて、脳波のゆらぎに影響。光を浴びると、脳波のゆらぎが活発になって脳が覚醒。逆に暗くなると、脳波のゆらぎが小さくなり、眠くなるという。

 そんな仕組みを「寝る前にスマートフォンの光を見過ぎると、睡眠の質が悪くなることを科学的に裏付けるような話」と解説する。睡眠障害の治療への応用が期待されるという。

 浜田市生まれ。小学生のころは、「色んなことを試すのが楽しかった」と、クワガタを卵から育て、エサなどの飼育環境を変えることでどう成長するかを調べていた。

 浜田高校から研究者を志して筑波大生物学類に進学し、本格的に神経科学の研究に打ち込んだ。神経科学を選んだ理由は「自分の中で起きていることを知れるのが面白いと思ったから」。在学中に英国のマンチェスター大に留学。そこで出会った最高峰の研究者たちから刺激を受け、研究の道に進む「覚悟」が出来た。

 大学卒業後は、2013年に東京大で工学の博士号を取得。その後、米国に渡り、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究員に。そこでまとめたのが体内時計の論文だった。

 華やかな成果の裏には努力家な性格がある。大学入学時、数学が苦手だと自覚していたことから、半年ほどは大学に通いながら予備校に入って数学の授業を受けた。「恥ずかしいよりも、苦手なものを放っておくのが嫌だった」と振り返る。

 日々、研究者たちと成果を競い合う環境で重圧があると言うが、「現象を注意深く検証することに絶対に手を抜かない」。何度も検証し、見落としや思い込みがないか、吟味することを大切にしている。「研究スピードと信頼性を両立させることは難しいことだが、根本が崩れたら研究全体がまずくなる。そこだけは焦らないよう自分に言い聞かせている」

 昨年11月からは米オハイオ州のケース・ウェスタン・リザーブ大学に移り、准教授に次ぐ「アシスタントプロフェッサー」に就任。自身の研究室も与えられた。「まだまだ隠れた脳の構造があるかもしれない。これを自在に制御できるようにして、人間の可能性を広げられれば」 (市野塊)

■たぶち・まさし

1985年生まれ、浜田市原井町出身。五大湖の一つエリー湖のほとりの街クリーブランド(米国)で暮らす。「自然豊かな素晴らしい環境で研究しています」

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