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池袋…城北の副都心の街(3)

写真:池袋西口公園で8日に開かれた食のイベント「ぶくろマルシェ」=豊島区 拡大池袋西口公園で8日に開かれた食のイベント「ぶくろマルシェ」=豊島区

写真:「サンシャイン60」前でコスプレを楽しむ人たち。10月31日のハロウィーンのイベントでも多くの人が集まった=豊島区 拡大「サンシャイン60」前でコスプレを楽しむ人たち。10月31日のハロウィーンのイベントでも多くの人が集まった=豊島区

写真: 拡大

 ◇脱「エキブクロ」催しで集客

 池袋駅東口から徒歩約8分。高さ240メートルのサンシャイン60が開業したのは1978年4月6日だった。

 《池袋が、大きく変わります。》。開業を告げるポスターに文字が躍った。

 高層ビルと下に広がる街区「サンシャインシティ」の宮下昌久常務(63)は開業2年前に入社した。当時の社名は「新都市開発センター」。大学時代、アルバイトの納品先への経路で工事現場のそばを通り、歩道橋の上から中をのぞいた。「えらいことやってるな」と興味がわいた。

 ただ、地元は歓迎一色ではなかった。200を超える専門店が集まる商業施設に客を取られる警戒感。巨大ビルの誕生でテレビの電波障害も起き、先輩社員は頭を下げてまわった。「飲み屋で社名を出すのはやめよう」。同期社員で言い合った。

 「20世紀の墓標」。ぽつんとそびえる白いビルを、そう表現した記事のことが忘れられない。駅から離れた立地を理由にオフィス入居の苦戦を報じていた。実際、入居率100%の達成には4年近くを要した。

 駅の東口に西武、西口に東武の両百貨店。地下街もある。池袋は「徒歩0分」の駅から外へ出る人の流れが乏しく、こう言われた。

 「エキブクロ」

 ◆東口はサンシャイン 西口は一体で

 昨年退職したサンシャインシティ元常務の河野誠一さん(66)は、開業時の商業施設の運営を担当した。いかにして駅から人を引っ張り出すか。東洋一の高さという話題性で開業初年こそにぎわったが、翌年の客足は落ちた。ビルが立つのは「巣鴨プリズン」の跡地。絞首刑になったA級戦犯の幽霊が出るとうわさされ、薄暗いイメージを覆す必要もあった。

 松田優作、松本伊代、とんねるず……。噴水広場をイベント会場にして、旬のタレントを次々に呼んだ。テレビの公開放送も誘致した。客が誰もいない。そんな光景が夢に出て、眠れないこともあった。それでも数年がたった頃、河野さんにも安らかな夜が訪れた。

 サンシャイン60通りで映画館を営む佐々木伸一社長(49)は「東口に人の流れが生まれた」。85年に建て直した映画館を「シネマサンシャイン池袋」と名付けた。6スクリーンを備えるシネコンの先駆けだ。「サンシャインなかりせば、再開発はしていなかった」と振り返る。

 サンシャインシティには年間約3千万人が訪れる。その集客力は今も、噴水広場だけで年間300というイベントが支えている。

 一方――。

 ふくろ祭りと東京よさこい、フォーク&カントリー、ジャズフェス、フラフェスタ、回遊美術館……。すべて西口側で地元の人々が催すイベントだ。

 「西口には目玉となるスポットがない」。斉木勝好・豊島区観光協会長(77)は嘆く。「エキブクロ」への対抗策が催事の数々だ。

 斉木さんは父親の代から西口で商売をしてきた。敗戦後、疎開先の広島県から戻ったのは小学3年生のとき。駅前には無数のバラック小屋が建ち、ヤミ市が広がっていた。

 50年代早々にヤミ市が取り払われ、再開発が始まった東口。一方、西口では斉木さんが立教大を卒業した61年ごろから、ようやくバラックの撤去が本格化した。「怖い」「汚い」。ヤミ市時代の負のイメージを長く引きずった。副都心開発で東口側にサンシャインができると、イメージの差はますます広がった。

 バブル崩壊後の90年代、西口の繁華街では外国人女性が通りで男性に声をかけ、黒服の客引きも横行した。92年11月、街の材木屋の呼びかけで地域の人々が見回りを始め、96年からは六つの商店街が一体となって取り組んだ。

 少年ギャングを描いた石田衣良の小説「池袋ウエストゲートパーク」の舞台、池袋西口公園。「ナンパ広場」と呼ばれ、2000年にドラマ化されたころは若者のたまり場だった。見回り中の斉木さんが帰宅を促すと、「じじい、帰れ!」の合唱が起こった。

 繁華街が落ち着きを取り戻してからも、月3回の見回りは続いている。「西口は結束力が違う」。それが斉木さんの誇りだ。

 (井上恵一郎)

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