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06月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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大久保…多文化の街(2)

写真:日本語学校の学生らが行き交うJR新大久保駅 拡大日本語学校の学生らが行き交うJR新大久保駅

写真:多言語放送に協力したカイ日本語スクールの学生ら。右から2人目が呂志雄さん=いずれも新宿区 拡大多言語放送に協力したカイ日本語スクールの学生ら。右から2人目が呂志雄さん=いずれも新宿区

写真:ファム・タイ・ホアさん 拡大ファム・タイ・ホアさん

 ◇駅・街頭の放送 20超す言語で

 平日の午後0時45分、JR新大久保駅。

 待ち合わせの人が通りに立ち、客引きが道行く人に声を掛ける。そんな駅前を、さまざまな肌の色や顔立ちの若者が急ぎ足で行き交う。街に点在する日本語学校の学生たちだ。

 日本語学校は半日のカリキュラムが多い。午前と午後の学生たちが入れ替わるこの時間、駅に混雑のピークが訪れる。

 ホームで聞き慣れない外国語の放送が流れてきた。中国語やタイ語、スウェーデン語、ロシア語……。駅は24言語でこう呼びかけている。「階段や通路は右側を歩いてください」

 多国籍の人が住む街。階段などで右側通行が守られず、「混雑時に危険だ」との苦情が多く寄せられた。「案内表示が理解できない外国人も、母語の放送があれば聞いてくれる」。約1年前、駅長だった阿部久志さん(57)はそう考えた。

 出前授業などでつながりのあった「カイ日本語スクール」に協力を求めると、快諾してくれた。対応できる24言語の翻訳やアナウンスを学生たちが担当。職員が自前の機材で録音した。

 今年6月から放送を開始。「何語?」「母語を日本で聞けてうれしい」。ツイッターで話題になった。韓国語を担当した呂志雄(ロ・ジ・ウン)さん(29)は、知人から「駅で韓国語放送を聞いた」と言われた。「それ、僕です」。照れながら声の主だと打ち明けた。

 同校は新大久保商店街にも協力し、22言語で「ようこそ」という放送を街頭で流している。山本弘子代表(57)は「生徒が地域に貢献し、街の一員という感覚を持てれば、災害時にも地域の人と協力できるのでは」と期待する。

 再び新大久保駅。

 「駅は街の変化の最前線。人の移り変わりがよく見える」。阿部さんは今年6月まで約2年半、駅長を務めた。「2013年の夏ごろから、ベトナム人の姿が目立つようになった」

 ◆日本語学校が集中、目立つベトナム人

 新宿区の統計によると、13年の区内のベトナム人の人口(1月1日現在)は418人で、12年の222人から倍増。15年12月1日現在は3251人で、3年前の15倍近くに増えた。

 日本語学校の学生が増加したことが主な理由だ。日本語教育振興協会(渋谷区)によると、協会が認定する全国の日本語学校に通うベトナム人は、12年度が2039人、13年度は8436人、14年度は1万3758人と急増。14年度に最も多かった中国人(1万6118人)に迫る勢いだ。日本とベトナムの経済関係が親密になり、日系企業のベトナム進出の増加などが背景にあるとみられる。

 協会認定校335校(15年11月現在)のうち新宿区に36校が集まり、中でも大久保1、2丁目と百人町1、2丁目に11校がある。その一つ、「友(ゆう)ランゲージアカデミー」には4年前、初のベトナム人となる2人が入学。それから年々増え続け、現在は生徒約200人の2割強をベトナム人が占める。

 ファム・タイ・ホアさん(26)は昨年7月に来日。いとこ(19)と2人で、この街の家賃月8万円の1Kのマンションで暮らす。ベトナム中部の小さな町で生まれた。5人きょうだいの末っ子。幼い頃、テレビアニメの「ドラえもん」や「ポケモン」に親しんだ。

 大学を中退し、自営業の長姉(40)の手伝いをしていた時、日本から帰国した知人に留学を勧められた。資源が乏しいのに経済発展した日本。日本人の仕事を間近で見たくなった。ベトナムの日系企業の初任給は国内企業の2〜3倍。学費は高いが「将来、役に立つから」と、長姉が出してくれることになった。

 漢字は難しい。だけど、日本での生活は楽しい。生活費を稼ぐためレストランでアルバイト。みな仕事熱心で礼儀正しい――。

 来春、日本の大学に進学予定。「卒業後は日本で仕事の経験を積み、ベトナムの日系企業に就職したい」。学費は長姉に出世払いするつもりだ。

 (斉藤純江)

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