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こどもの未来へ

こどもの未来へ/足立はばたき塾

写真:英語の授業の様子。講師が受験対策のコツを解説していた=足立区梅島3丁目のこども支援センターげんき 拡大英語の授業の様子。講師が受験対策のコツを解説していた=足立区梅島3丁目のこども支援センターげんき

写真:足立区教育委員会学力定着推進課の矢神功義係長 拡大足立区教育委員会学力定着推進課の矢神功義係長

◆困窮家庭の子 区が受験対策塾

 本格的な入試シーズンまであと2カ月に迫った、11月下旬の土曜夕。足立区の施設に集まった約100人の中学3年生が、塾講師による英語、数学の授業を受けていた。

「答えの根拠はどこ?」「なぜAを選んだ?」。入試で合格点を取るためのテクニックを教える講師を、生徒たちが真剣なまなざしで見つめていた。

 ■業界大手が運営

 「足立はばたき塾」は、経済的な理由などで民間塾に通えない区内中3生の高校受験を支援する区の事業だ。世帯の所得や生活状況、入塾テストで選ばれた約100人が、入試までの1年間、毎週土曜と夏季、冬季の集中講座に参加する。塾の運営は、大手学習塾・栄光ゼミナールと同じグループ会社の「エデュケーショナルネットワーク」(千代田区)が受託。公立校では扱わない応用問題など、入試対策を手厚くフォローする。

 「高校受験に向けてもっと勉強したいけど、家にお金がない。進学塾の体験講座を回って勉強している」

 過去、区の奨学金を申し込んだ中3生がそう漏らしたのが、塾の始まりだ。2012年度に塾はスタート。当時、区は学力水準の底上げを図る事業は進めていたが上位生向けの支援は少なかったという。

 ■目標は難関高校

 学びたい、という一心で集う塾生の志は高い。目指すのは日比谷高や西高などの都立の進学指導重点校。開設以来5年で、そうした都立最難関校の合格者は計16人になった。近年は私立校の特待生を狙う生徒も少なくない。

 成績順に4クラスあり、入れ替えテストや成績上位者の発表が意欲をさらに刺激する。春から塾に通う女子生徒(15)は「親に負担を掛けたくないのもあったけど、自主的に勉強する仲間が集まった塾に通った方が自分のためになると思った」。将来の夢は医師で、医学部進学に力を入れる戸山高が第一志望だ。

 昨春、高校を卒業した第1期生100人のうち68人がアンケートに回答。8割が大学進学を選んだ。「目的が分からなかった勉強を、将来の夢をかなえるための手段として、自分の人生を豊かにするためのものとして気付かせてもらった」。塾での学びを、こんな言葉で記す元塾生もいた。

 各家庭との向き合い方も丁寧だ。足が遠のきがちな塾生には、在籍する中学校を通して連絡を取ったり、塾に復帰できるよう個別指導をしたり。年3回の保護者会もある。

 名称は「塾」だが、民間との最大の違いは、税金から組まれる予算約3千万円で運営されている点だ。同社の現場責任者の伊藤克行さん(33)は「子どもたちが無理に意識することはないが、『税金で買ったテキストは最後まで大事に使おう』と説く講師もいます」と笑う。

 現在は区の就学援助を受給する際に基準とする年収の1・4倍の世帯までを状況に応じて受け入れる。大学入試の必要がない難関の私立大の付属校など、私立校を望む生徒も増え、志望校は多様になった。

 区は塾の目標を改めることも検討しており、区教育委員会・学力定着推進課の矢神功義係長(46)は「学力と意欲が高い生徒を受け入れるベースは変えず、『行きたい志望校』に進学できるような支援を続けていきたい」と話す。

 ■支援の形様々、個別指導も

 学習支援は様々な形で広がっている。

 都によると、生活困窮者自立支援法に基づいて国から費用の補助を受ける学習支援事業は、都内では50の区市町村で実施されている。新宿区は生活保護世帯や母子家庭などの中学1〜3年生(定員50人)を対象に、高校受験に向けた個別指導を行っている。

 一方で「足立はばたき塾」のような自治体独自の事業や、民間の取り組みも盛んだ。豊島区で子ども食堂を開くNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」は、子どもの居場所づくりの一環として学生や地域住民のボランティアが無料で学習支援を週1回行っている。

(横川結香)

 ■私の理想図 「経済力で学力格差」変える 足立区教委学力定着推進課・矢神功義係長

 どんな形でもよいので、区の将来に貢献してくれる大人になることを願います。足立はばたき塾に通う生徒たちが希望の高校に合格し、その先にある将来の夢をかなえることは、学びを支える区民への恩返しになる。塾を通じて、一般的に言われる「経済格差は学力格差につながる」現状を変えていきたい。

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