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変わる進学

都立進学校 独自問題を復活

写真:「都立自校作成問題特訓講座」を受ける中3生。人気が高い講座という=千代田区のZ会進学教室御茶ノ水教室 拡大「都立自校作成問題特訓講座」を受ける中3生。人気が高い講座という=千代田区のZ会進学教室御茶ノ水教室

 ■記述で思考力・表現力問う

 大学入試センター試験に代わる新しい「大学入学共通テスト」の試行問題が今週、発表された。知識の重視から思考力・判断力・表現力への転換――。年明けに高校入試を迎える今の中学3年生が、2021年1月に最初の新テストの受験生になる。「大学入試新時代」に向け、高校、中学はどう変わるのか。まずは、年明けの入試で「自校作成問題」を復活させる都立高の進学校から。

 「今回から国語と英語の記述問題を増やします」

 日比谷高校の武内彰校長(56)は、今年の学校説明会でそう明言した。

 「大学入学共通テスト」でも、記述問題が新しく導入される。グローバル社会のリーダー育成をめざし、0から1を生み出す創造力や答えのない課題を見つけ、チームで解決する力を育てたいという日比谷高。「そのためには選択問題では限界がある。記述問題で思考を整理して表現できる生徒を取りたい」と説明する。

 日比谷高は学校群制度の導入が転機となり、ピークには200人近かった東大合格者数が1桁台まで減った。2001年に進学指導重点校に指定されると、先んじてオリジナルの「自校作成問題」を導入し、「復活」をめざした。

 だが14年の入試改革で、進学指導重点校、進学重視型単位制高校、併設型中高一貫教育校は、各グループで作成した共通問題を使う形に転じた。自校作成の問題は、国語、数学、英語に限り大問1題程度を差し替えられるだけだった。

 当時、武内校長はこの改革に反対した。

 「教師が自分の学校の生徒像を描いて問題を作り解いてもらうところから、すでに教育は始まっている」

 Z会進学教室によると、日比谷高と、同じ進学指導重点校の西高の受験生の過去2年の平均正答率はグループ作成問題では8、9割が多かった。一方で、両校が差し替えた問題は、正答率が低くなる傾向だったという。同教室の尾田哲也代表(51)は「平均正答率6割前後が良問とされるが、特に過去2年のグループ作成問題は、国語で記述が少なくなり、英語も出題が易しくなりすぎていた。実力が測れなかった」と話す。

 来年2月の学力検査では進学指導重点校7校と、進学重視型単位制の3校は、国数英を全問「自校作成問題」に戻すことになった。

 日比谷高1年の男子生徒はいう。「僕の時はケアレスミスが許されなかった。問題は難しくなるだろうけれど、実力で勝負できるし、入学後や大学入試の準備にもなると思う」

 日比谷高では、今年4月に「自校作成問題作成委員会」を立ち上げ、国数英の3教科各3〜4人の教師で問題作成に取り組んでいる。各教科チームには、あえて若手教師も入れ、週に何日も話し合いを重ねる。毎月1回、校長、副校長も交えた会議で、全員で作成中の問題を解いて精査を繰り返しており、年明けに完成する。「練り上げた出題に受験生がどう答えてくるか。それがまた、今後の教師の指導力アップにつながる」と武内校長は言う。

 ■正確・公平性、採点の悩み 限られた時間、高3指導も大詰め

 西高も「記述問題をより重視する形の出題を考えている」としている。数学も書かせ、英語は大問を一つ増やし多様な英文を読める生徒獲得をめざすという。宮本久也校長(60)は、文部科学省高大接続システム改革会議などの委員も務める。「いたずらに難しくするのではない。今回の受験生から新しい大学入試を受ける。これまで以上に大学入試の流れを意識した出題にしなければ」と話す。

 都立高入試の委員も務める平松享・安田教育研究所副代表(69)も「都立人気は高まっている。各校の特色をより鮮明にするような良問が広がれば、生徒も学校も未来につながる」。

 一方で、記述問題が増えると悩ましいのが採点だ。

 都立高の場合、学力検査から合格発表日まで、土日を含め中5日しかない。しかも高3の大学受験指導も大詰め。国立高の岸田裕二校長(61)は「選択から記述に変える問題もあるが、うちはそんなに大きくは変えない。限られた時間と人手で採点ミスを出さないためには、出したくても挑戦的な記述問題を多くは出せない実情もある」と話す。

 千葉県では、02年の県立高校入試から自校作成問題を採用。千葉高や船橋高など進学校に広がったが、10年の改革で大半がやめ、今はどこもやっていない。駿台中学生テストセンターの吉田直史部長(58)は「作問に加え、問題管理や採点ミス防止など学校の負担が重すぎたのでは」とみる。

 こうした課題は「大学入学共通テスト」も同様だ。

 例えば今回、発表された試行問題の国語の記述には、会話文中の発言を類推して書かせる出題がある。

 (1)2文構成で、80〜120字で書くこと。会話体にしなくてよい。

 (2)1文目は「確かに」という書き出しで、具体的な根拠を2点挙げて、部活動の終了時間の延長を提案することに対する基本的な立場を示すこと。

 (3)2文目は「しかし」という書き出しで……。

 採点では、約10項目の基準を満たしているか、複数でチェックして、公平性とミス防止を保つという。

 進学塾の模試担当者は「120字でこれだけ条件づけされては思考や表現の余地がな

い」「(情報を正確に処理する)プログラミングのようだ」。日比谷高の武内校長も「これでどんな思考力を問うのか。採点にぶれがないようにするには仕方ないのだろうか」。

 思考力や表現力を求める新学習指導要領で学んだ生徒が受験する日も近い。西高の宮本校長は言う。「どこまで入試に完璧性を求めるか。高校も大学入試も理想との兼ね合いが悩ましい」

 (宮坂麻子)

 ■進学指導重点校

 日比谷、西、戸山、八王子東、青山、国立、立川の7校。進学対策を組織的・計画的に行う高校。選定基準はおおむね、(1)3年生の6割以上が大学入試センター試験で5教科7科目を受験、1割以上が8割以上を得点(2)東大、京大、一橋大、東工大、国公立大医学部医学科への現役合格15人、の2点。

 ■進学重視型単位制高校

 新宿、墨田川、国分寺の3校。進学に力を入れる単位制高校。大学進学に対応した選択科目、補習授業、進路指導がある。

 ■都立高校入試改革の変遷

 1948年 学制改革で新制高校誕生

   52年 「学区合同選抜制」導入

   67年 「学校群制」導入

   82年 「グループ合同選抜制」導入

   94年 「単独選抜制」導入

   96年 「推薦選抜制度」全日制全学科に

   98年 分割募集(A、B)を実施

 2000年 分割募集(前期・後期)に変更。学力検査のみで合否を決めるなどの「特別選考」実施

   01年 進学指導重点校を初指定(日比谷、西、戸山、八王子東の4校)。全日制学力検査の自校作成問題を実施(日比谷)

   03年 学区制の廃止、絶対評価の導入、小論文と自己PRカードの導入

   04年 文化・スポーツなど「特別推薦」導入

   05年 公立中高一貫教育校の設置

   13年 推薦選抜に集団討論など導入

   14年 進学指導重点校、進学重視型単位制高校など15校の学力検査を「グループ作成問題」に

   16年 「特別選考」廃止。マークシート導入

   18年 進学指導重点校など10校が国数英を「自校作成問題」に。理社は共通問題。都外からの応募資格を拡大。結果開示日程を変更(不合格者は合格発表日〜、合格者は5月1日〜)

 

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