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変わる進学

「英語4技能」 中高でも取り組み

写真:チームで考えたオリンピック・パラリンピックの選手村構想を発表する生徒ら=台東区の都立白鴎高校 拡大チームで考えたオリンピック・パラリンピックの選手村構想を発表する生徒ら=台東区の都立白鴎高校

写真:英検とGTECの過去5年の推移 拡大英検とGTECの過去5年の推移

写真:「オンライン英会話」の授業で、タブレットに映るフィリピンの講師と話す生徒たち=多摩市立和田中学校 拡大「オンライン英会話」の授業で、タブレットに映るフィリピンの講師と話す生徒たち=多摩市立和田中学校

 英語を読む、書く、聞く、話す力――。大学入試センター試験に代わる新しい「大学入学共通テスト」では、「英語4技能」を、英検などの民間の外部検定試験で問う。今の中3が受ける2021年1月から4年間は併用だが、小5が大学入試に臨む年にはすべて外部化する計画だ。都立高校入試でもスピーキング試験を導入する方針。中学、高校で、すでに4技能を高める取り組みが進んでいる。

 ■都立高入試 授業でスピーキング

 11月、都教育委員会が発表した「東京グローバル人材育成計画’20」(素案)。その中に、都立高校の英語入試について、こんな記載がある。「今後は、『話すこと』を評価するためのスピーキングテストの実現可能性を含め、具体的な内容(問題や実施方法等)についての考察を加えていく」

 14日の都教育委員会では、19年度以降に、都立高校の入試にスピーキングテストを導入する方針が決まった。

 併設型の都立中高一貫教育校の白鴎高で12日、東京オリンピック・パラリンピックに向けた英語教育の授業が開かれた。民間教育機関の外国人講師らが来校し、都教委の交流事業で来日した留学生らも交えて、高1の全生徒を対象に授業をした。

 生徒代表が、白鴎高の特色でもある和太鼓や三味線といった日本の伝統文化や学校について英語で紹介。さらに数人のチームに分かれて「理想の選手村」の構想を議論し、まとめた理想図を模造紙に描き、英語で発表した。短文をつないで一生懸命話す生徒から、流暢(りゅうちょう)な英語で話す生徒までいるが、みんな英語で話すことには慣れている様子だ。

 高校から入学した男子生徒(16)は「最初はみんな英語がうまくて驚いた。でも、海外に住んだことのない子も普通に英語で話しているし、自分もやればできるかなと思った」という。

 現在の高1約240人のうち、付属中から進学してきた約160人の9割は、高校入学前に英検準2級以上を取得している。2級以上も3割を超える。高校から入学した生徒も追いつくという。善本久子校長(57)は「大学入試の英語と英語活動は二律背反のように言う教員もいますが、そんな時代ではない。正しい文法もしっかり学ばせる。その上で、流暢(りゅうちょう)でなくてもいいから、論理的で中身のある議論が英語でできる生徒に育てたい」と話す。

 高1では週1コマの「英語でのディベート」、週1回約30分間の「オンライン英会話」を実施。高2、高3は、決められたテーマについて調べて英語で発表する「プレゼンテーション イン イングリッシュ」を毎週行い、世界史など他教科をすべて英語で行う授業も導入している。付属中入試で新設する帰国生枠では英語と日本語の面接を科す。「どちらもできる子が欲しい」と善本校長。

 都教委では15年度に、日比谷、深川、西、小平などの都立10校をグローバルな人材を育成する「東京グローバル10」に指定。さらに16年度、白鴎も含め、戸山、青山、立川、富士など40校を「英語教育推進校」とし、4技能の外部検定試験の受験支援もしてきた。

 来年度から白鴎で国際的なリーダー育成の教育を本格実施するほか、今後、立川国際を都立小中高一貫校にする計画や、港区の白金地区に新国際高校を作る構想もある。

 都教委は「学校教育も入試も改革し、英語でコミュニケーションできるグローバルな人材に育てることは時代のニーズだ」と話す。

 ■オンライン英会話、中学も導入

 「英語4技能」への取り組みを進めているのは、都立高校だけではない。

 多摩市立和田中学校では11月、中2の全クラスでタブレット端末を使い、フィリピンの講師とマンツーマンで話す「オンライン英会話」の授業を始めた。市はベネッセコーポレーションと包括連携協定を結び、来年度から市立の全9中学校で「オンライン英会話」の実施をめざしている。

 狛江市や品川区など一部のモデル校や希望者への導入例はあるが、全中学での取り組みは全国的にも珍しい。試行実践校になった和田中は、コミュニケーション力を高める英語教育に熱心に取り組んでいる。

 給食から昼休みにかけて年180回、中央大の留学生が来校し、生徒と英語で話す。放課後にはインターナショナルスクールの生徒や海外在住の大学生とオンラインでの交流も。朝7時半から40分間勉強する「朝プロジェクト」では、地域の人たちを講師に、英検2〜5級の対策授業を行う。英検は年2回、学校を会場に実施し、今年度からGTECも試行で導入した。

 福田洋一校長(54)は「小学校でも英語が教科化される。小学生のころから保護者の英語への関心は高まっており、英検を取得した子も入学してくる。うちの中学では英語力を高めて、コミュニケーションできるようにすることを目指したい」と言う。

 日本英語検定協会によると、英検の志願者数はこの5年間で、小学生以下が1・2倍、中学・高校・高専生は1・4倍に増加した。英検以外の外部検定試験、GTECやTEAPなどの受検者数も増加の一途だ。

 日本人の苦手な「話す」「聞く」の力を高める「オンライン英会話」は日比谷高、西高など都立の進学校でも22校で導入されている。とはいえ、和田中からそうした都立高に進学できる子は多くない。福田校長はいう。「新しい大学入試も大切だが、めざすのはその先です。将来的に、英語ができれば仕事でも活用し、いろんな人ともつながっていける。英語を通じて世界へ視野を広げてほしい」

 (宮坂麻子)

 ■TEAPの志願者数(人)

          2015年度  16年度 

 4技能        5308 10600 

 3技能(話す以外)   158   239 

 2技能(読み、書き) 7660  3011 

 総志願者数     13126 13850

  (日本英語検定協会資料より)

 ◆英語力伸ばす鍵は? 教育シンポで調査報告

 英語のスピーキング力が伸びた学校に共通しているのは、生徒が即興の英語で発信する機会をより多く持ち、継続的に話す活動をしていること――。そんな調査結果が、10日、上智大学で開かれた「スピーキング力を伸ばしながら、どう4技能の英語力を身につけていくのか?」と題した英語教育シンポジウムで発表された。

 ベネッセ教育総合研究所と東京外語大の根岸雅史教授(58、英語教育学)の共同調査。GTECを学校単位で受検した全国の高校の中から、同規模で受検者数の増減が少ない28校を選び、高1〜高2のスピーキングテストの結果を調査した。

 その結果、英語の授業時間数とスピーキングスコアの伸びは一致せず、中には高1の時よりも高2の結果の方が、スピーキング力が落ちている学校もみられた。一方で、英語の授業のたびに毎時間毎回、英語で話す活動を継続的に採り入れている学校は、授業時間数に関係なく、スピーキング力を伸ばしていたという。

 また、スピーキング力やリスニング力が伸びている学校でも、読み、書きの結果が伸びていない学校も見受けられた。

 「スピーチやディベート大会のような行事を学期に1回行うより、短い文でも毎時間その場で考えて発信させる方が力が伸びる。近年の教育改革で、話す・聞く活動に配分を増やし過ぎた学校は、一時的に読み書きの力が落ちた学校もある」と根岸教授は分析する。

 大学や短大への進学が約6割という高校で、4技能をバランス良く伸ばした公立高校の教諭は「教師同士が授業を研究しあって、外部テストの結果を分析し、一貫性のある発言重視の英語活動に変えたことが大きかった」と発表した。

 音読の際も、聞き手は教科書を閉じて耳だけに頼り、読む側に伝わる話し方を意識させた。結果、生徒の意識が「英語は相手に伝えるためのもの」と変わり、自分の言葉で話す活動につなげられたという。

 根岸教授は「基礎基本が定着しないままディスカッションなどを導入しても効果的ではない」と語る。「中学で音声言語の基本ができていない生徒もまだ多い。生徒の『読む、書く、聞く、話す』のレベルを見極め、レベルに合った定着と発信の活動を採り入れた質の良い授業が伸びにつながる」としている。

 (宮坂麻子)

 

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