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08月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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変わる進学

不登校、中退からの挑戦

写真:保護者らを前に職業調べの成果を発表する1年生=中野区の稔ケ丘高校 拡大保護者らを前に職業調べの成果を発表する1年生=中野区の稔ケ丘高校

写真:授業の一環で、地元の店の担当者(右)にインタビューする新宿山吹高校の生徒 拡大授業の一環で、地元の店の担当者(右)にインタビューする新宿山吹高校の生徒

 ■自分のペースで勉強 稔ケ丘高

 「新入生へのメッセージ 3年間で自分は変われます!」。スクリーンに映し出されたのは、都立稔ケ丘(みのりがおか)高校(中野区)3年、萩原芳洋さん(18)のプレゼンテーションのタイトルだ。今月開かれた授業発表会で、保護者らを前に自らの経験を語った。

 小中学校時代、人間関係が苦手で友人がなかなかできなかったこと。高校の授業で会話のスキルを学び、実践したところ友達ができ、仲間の大切さを知ったこと。自信が芽生え、合唱部の部長や委員会活動に積極的に挑戦したこと……。

 萩原さんは4月から、AO入試で合格した玉川大農学部環境農学科で学ぶ。「いつも友達と過ごせたことが一番の思い出。この学校を選んで本当に良かった」と話す。

 2年の高沢飛翔(つばさ)さん(17)は学校の推薦を受けて参加した都教委主催の事業「東京グローバル・ユース・キャンプ」での体験などを発表した。他校生に負けられないと積極的に意見を出し、チャレンジスクールを知らない生徒には学校の説明もした。友人関係のトラブルなどから中学時代、不登校になったが、高校では遅刻も欠席もほとんどない。「自分がすごく変わった。学校って楽しいと、ようやく実感できた」

 同校は都内に5校ある「チャレンジスクール」の一つ。不登校や高校中退の経験者らが目標を見つけ、それに向かって挑戦することを目的に設置された。2000年度に始まり、同校は07年度に5校目として開校した。

 チャレンジスクールは入試に学力検査や調査書の提出はなく、志願申告書や作文、面接で合否が決まる。浦部利明・統括校長は「生徒の約3分の2は不登校経験者。入試では過去のことは問わず、入学後どうしたいかを重視する。中学でうまくいかなかった生徒がやり直せる学校」と話す。

 いずれも定時制、単位制、総合学科の高校で、午前、午後、夜間の3部制。生徒は自分の生活スタイルや学習ペースに合わせて登校時間帯を選べる。単位制のため留年がなく、4年間で学ぶのが基本だが、3年で卒業も可能だ。同校には漢字検定や英語検定、ボランティア活動などを単位認定する学校独自の制度もある。「生徒が自分のペースで勉強し、卒業しやすいよう、生徒のニーズに学校が合わせている」と浦部校長は説明する。

 稔ケ丘高の卒業後の進路は、昨年度は大学・短大への進学が35%、専門学校などが25%、就職が8%、進学準備が15%、その他が17%だった。浦部校長は「一番大事なことは生徒が自信をつけること。進路を決めて巣立っていくのを支援したい」と話す。

 ■得意分野伸ばし進学 新宿山吹高

 チャレンジスクール開校の10年近く前、1991年に開校した都立新宿山吹高校(新宿区)。単位制の昼夜間定時制高校として、不登校や中退経験者らを含む多様な生徒を受け入れてきた。学年がなく、制服や体育祭もない。2年に1度の修学旅行は希望制。委員会は文化祭実行委員会と修学旅行委員会のみだ。

 梶山隆・統括校長は「勉強も部活動も行事もすべて頑張るのはしんどかったり、人間関係に束縛されるのが苦手だったり。でも『勉強は頑張りたい』という子もいる。そんな子たちを受け入れる学校があってもいい」と話す。

 将棋や囲碁が得意で自由に時間割を組みたい生徒や、数学が得意で日本数学オリンピックに挑戦する生徒もいるという。進路指導部の城野郷司教諭は「数学や物理は大好きだけど英語は苦手だったり、人より繊細だったりする子が、自分の好きなことを安心して学べる場所」と説明する。

 昨年度は半数近くの生徒が大学や短大に進学。今春の卒業生は千葉大や首都大学東京など国公立大に7人が合格した。3年前には東大合格者も出ている。同校の開校以来、不登校や中退の経験者らの同校合格を支援してきたNPO法人「高卒支援会」(新宿区)の杉浦孝宣代表は「何らかの事情でつまずいた学力の高い子が国公立大や難関私立大進学を目指してやり直せる数少ない学校」と評する。

 ところが、昨年から都立高校の入試制度が変わり、同校はそれまで学力検査と調査書の比が「20対3」だったのが「7対3」に変わった。同校は「入学してくる生徒の層に大きな変化はない」とするが、杉浦代表は「まったく学校に行けていない子などにとって、調査書の比率が上がったことはやはり厳しい。同校に限らず、大学進学を目指す子がやり直せる受け皿がもっとあっていい」と話している。

 ■チャレンジスクール都内に5校、新設予定も

 チャレンジスクールは2000年度から順次開校した都立高校で、現在は桐ケ丘(北区)、世田谷泉(世田谷区)、大江戸(江東区)、六本木(港区)、稔ケ丘(中野区)の5校がある。22年度に足立区、23年度には立川市に新設が予定されている。チャレンジスクールは定時制だが、都内に5校ある学び直しを目的とした「エンカレッジスクール」は全日制高校。

 チャレンジスクールは全校で、1学年相当に10人の9月転入学の枠を設けている。入学した高校になじめない生徒が早めに再挑戦できるようにすることなどが目的で、都内在住・在勤などの高校在籍者に受験資格がある。問い合わせは各高校か、都立高校入試相談コーナー(03・5320・6755)。

 (斉藤純江)

  ◇

 「こどもの未来へ」の特別編「変わる進学」シリーズはこれで終わります。次回からは「大学の挑戦」を掲載します。

 

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