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変わる進学

個性探る都立高

写真:白鳥靖校長 拡大白鳥靖校長

写真:もみ殻を熱分解する実験をする生徒たち=小金井市本町6丁目の都立多摩科学技術高校 拡大もみ殻を熱分解する実験をする生徒たち=小金井市本町6丁目の都立多摩科学技術高校

 ◆オタク歓迎、スペシャリスト育成 実習・研究中心に

 都立多摩科学技術高校(小金井市)は、未来の科学技術のスペシャリスト育成に特化し、2010年に開校した。

 「東南アジアの環境問題を調べて、大量のもみ殻をゴミとして燃やしていることを知った。それならエネルギーにできないかと思った」と、2年生の笹川珠希さん(17)。実験機器が並ぶ部屋で、もみ殻を熱分解し、エネルギーに変える方法を研究している。

 同校の前身は、敷地内の都立小金井工業高校(現在は定時制のみ)の全日制だ。

 授業の大半が20人弱の少人数。「バイオ」「エコ」「ナノ」「IT」の4領域を大学や企業の研究施設から支援を受けて教育する。実習や研究が中心だ。

 開校から7年。卒業生の半数近くが就職した工業高校時代と様変わりし、今年は東大に推薦で合格する生徒も出た。昨年の合格実績は国公立大35人、東京農大23人、東京理科大8人、明治大7人……。約7割が四年制大学で大半が現役。高校の研究成果をアピールする推薦やAO入試の合格者が約半数いる。

 東大に推薦合格した生徒は、枯れ葉で金属イオンを吸着させる研究に夢中になった。鳥取大に昨年合格した生徒は、小学生のころから「キノコ博士」で新種のキノコを発見し、キノコ研究を続けた。「『優秀生』じゃなくても『オタク』でいい。探究心が旺盛な生徒に来て欲しい。そういう子が、大学に劣らぬ環境で研究することで力を伸ばす」と白鳥靖校長はいう。

 だが「進学校化」したことで、内申点の高い生徒や5教科満遍なくできる受験生が増え、科学に突出した能力のある生徒が入学しづらい傾向が出てきた。文系を志望する生徒もいて、卒業研究をまとめながらの文系入試対策で苦労する。

 一般入試は多くの都立高と同じく内申点と学力検査の割合が「3対7」。学力検査は数学と理科の得点が1・5倍されるが、共通問題のため、大きな差が出にくいという。

 もう一つの課題は、教師の確保だ。工業高校や農業高校の経験者が多い中で、理系国立大の進学につながる研究指導ができる人材をどう集めるか。「学校も成長過程。模索しながら独自のカラーを確立したい」と白鳥校長は話す。

 一方、横浜市には、工業高校の再編から全く新しい理数科高校として2009年に誕生した、市立横浜サイエンスフロンティア高校がある。サイエンスとグローバルの両方を掲げた先端の科学教育を行う。昨年は、東大に6人、東京工業大に12人合格した。4月には付属中学も開校する予定で、3分の1は中高一貫で育てる。

 高校入試も都立とは事情が違う。1次は、内申点は数理英を2倍、学力検査も数理を2倍。共通問題のほか、数理英など教科横断的に資料などを読み取って意見を書かせる独自の「特色検査」もしている。「特色検査で逆転する子もいる。コツコツ勉強してきた生徒も入れたいが、バランスが悪くても理数の能力が高くて探究心の旺盛な生徒も欲しい」と栗原峰夫校長は話す。

 都内では、都立科学技術高校(江東区)も科学技術に特化した教育をしている。また、都立富士高校と付属中は昨年4月に「理数アカデミー校」に、八王子東高や国分寺高、南多摩中等教育学校も「理数イノベーション校」に指定され、理数教育に力を入れる。

 理系の国立大教授は、科学や理数系に特化する高校を歓迎しつつ、こう注文する。「与えられた課題をうまくこなす力ではなく、オリジナルの発想ができる子をどう育てるかにも目を向けてほしい」

 ■特色化進め多様な進路

 都立高校の特色化は、青島幸男知事だった1997年度に策定した「都立高校改革推進計画」で始まった。生徒減少や多様化に伴い、生徒のニーズに合う高校に再編し、学区撤廃とともに新しいタイプの高校づくりをめざした。

 進学校としては、日比谷など国立大トップを狙う「進学指導重点校」、国公立や難関私大を狙う「進学指導特別推進校」、進学の裾野を広げる「進学指導推進校」を指定。一方

で、不登校や高校中退生向けの「チャレンジスクール」、基礎基本から復習できる「エンカレッジスクール」などもつくった。

 リーダー育成に向け中高一貫校(中等教育5校、併設型5校)を開設したほか、工業・商業・農業科などを、普通教育と専門教育を総合的に行う「総合学科高校」などに変更した。

 2012年度からは新しい推進計画(〜21年度)に従い、国際高に国際バカロレアコース、戸山高に医学部をめざす「チーム・メディカル」、富士高・付属中に理数アカデミーなどが導入された。今後も、立川国際中等教育学校を小中高一貫教育校にすることや、赤羽商業高を家庭・福祉の専門高校にする計画などもある。

 (宮坂麻子)

     ◇

 「変わる進学」シリーズは、今週から3回、特色ある都立高校の取り組みを紹介します。

 ■都立高校の特色あるタイプ

 【中高一貫教育校】10校 桜修館、小石川、立川国際、南多摩、三鷹(以上、中等教育学校)▽白鴎、両国、武蔵、富士、大泉(以上、併設型)

 【総合学科高校】10校 晴海、つばさ、杉並、若葉、青梅、葛飾、東久留米、世田谷、町田、王子・各総合高校

 【単位制高校】12校 飛鳥、芦花、上水、美原、大泉桜、翔陽、忍岡、板橋有徳(以上、多様な学習型)▽新宿、国分寺、墨田川(以上、進学重視型)▽六郷工科(専門型)

 【科学技術高校】科学技術科2校 科学技術、多摩科学技術

 【産業高校】産業科2校 橘、八王子桑志

 【進学型専門高校】ビジネスコミュニケーション科2校 千早、大田桜台

 【総合芸術高校】1校 総合芸術

 【チャレンジスクール】定時制・総合学科5校 桐ケ丘、世田谷泉、大江戸、六本木、稔ケ丘

 【昼夜間定時制高校】単位制6校 一橋、浅草、荻窪、八王子拓真、新宿山吹、砂川

 【進学指導重点校】7校 日比谷、戸山、西、八王子東、青山、立川、国立

 【進学指導特別推進校】6校 小山台、駒場、新宿、町田、国分寺、国際

 【進学指導推進校】13校 三田、豊多摩、竹早、北園、墨田川、城東、小松川、武蔵野北、小金井北、江北、江戸川、調布北、日野台

 【エンカレッジスクール】5校 足立東、秋留台、練馬工業、蒲田、東村山

 ※都教委「都立高校改革推進計画・新実施計画」資料より

 

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