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変わる進学

英語入試 進学校どう動く

写真:共立女子中のサイトで紹介されている「英語インタラクティブ入試」の説明動画 拡大共立女子中のサイトで紹介されている「英語インタラクティブ入試」の説明動画

 中学受験を考えるなら英語も必要――という時代が近づきつつある。英語は、2020年度から全面実施される新学習指導要領で正式な教科になり、現在の小5が受けることになる「大学入学共通テスト」からすべて外部検定試験に変わる。首都圏では、今年も「英語入試」を導入する私立中が増えている。英検2級、準1級レベルを求める学校もあるが、進学校まで「英語入試」は広がるのか。

 ●「検討中」「今は考えず」 開成中・武蔵中・豊島岡女子学園

 昨年11月、都内で開かれた大手進学塾主催のシンポジウム。国公私立の高校の校長らが登壇し、新しい大学入試への取り組みなどを議論する中、開成中(荒川区)が「英語入試」について学内で検討していることが、話題にのぼった。

 柳沢幸雄校長は「中学入試に英語を入れると決めたわけではない。導入するとしたらどんな形が考えられるかを、学内で研究している段階だ」と言う。

 新指導要領によって小3から外国語活動、小5から正式な教科として学んだ子が、4年後には中学受験の時期を迎える。とはいえ、小学校の英語教育は、地域や学校、外国人講師の配置、教師、授業の形態などでかなり差が出る。

 「帰国生など十分な英語力を持って入学してくる生徒の力の維持もある。入試に入れるとしたら授業を成立させる目的で最低限のものにするか、合否に反映させるかどうかなど位置づけから考えなければならない」と柳沢校長。

 英ロンドン大などと連携している武蔵学園。武蔵中(練馬区)の梶取弘昌校長は「入試導入の是非はまだ検討段階で、現時点では考えていない」と話す。今後、他校の状況も見ながら判断するという。「海外で1、2年暮らせば英語で話すことはできるが、英語で文章を書くのは難しい。書くことも重視しつつ、書く中身や話す中身を問い、育てたい」

 海外大学への進学者も多い渋谷教育学園渋谷中(渋谷区)の高際伊都子副校長も「教科化後について検討は始めている。入試に導入するかは、慎重に考えたい」。同学園幕張中(千葉市)の永井久昭・入試対策室長は「海外大の合格者数で非帰国生が帰国生を今年度初めて上回った。ゼロから教えても結果にはつながる。今後については小学校英語や受験者の動向などをみて考えるが、英語を入れることで他教科の優れた力を持つ生徒が入学できなくなることは避けたい」。

 英語の配点を他教科の1・5倍にする帰国生向け高校入試を今回から始める豊島岡女子学園(豊島区)。中学入試では現在、要件を満たした帰国生に5点を加えている。竹鼻志乃校長は「英語力は教育環境による格差が大きい。今は入試への導入は考えていないが、入学者の英語レベルの調査を今後予定している」。オンライン英会話を導入している聖光学院中(横浜市)の工藤誠一校長は「入試では抽象的な思考力の有無を問いたい。帰国生と同じような高いレベルの英語入試ができるなら別だが、現状の小学校英語では、易しすぎて思考力まで問えないのでは」と話す。

 帰国生が多く受験する私立中では、これまでも、英語で受験できる帰国生入試などを実施してきたが、少しずつ進学校にも広がり、高いレベルが求められる。英語選択入試を導入している市川中(千葉県)も、英検2級程度の問題と英作文で問う。英語の参考テストをしてきた慶応義塾湘南藤沢中等部(神奈川県)も19年度から、聞く、読む、エッセイなどによる英検2級から準1級程度の英語入試を始める予定だ。

 ●「聞く話す」に重点おく 導入校、活性化へ入試も多様化

 中堅校では多様な形で「英語入試」が広がる。森上教育研究所の調査では、今回から英語を必須とする入試を導入する私立中は、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の1都4県で17校。昨年から必須だった中学を含むと55校を超える。必須でなく何らかの形で入試に英語を課す学校まで含めば140校以上になる。

 今回から導入する私立中の一つ、共立女子中(千代田区)は、英語でのコミュニケーション能力を問う「英語インタラクティブ入試」を始める。6人の生徒と外国人教師1人でグループになり、英語で自己紹介などをし合った後、ゲームなど2種類の活動の説明を受け、生徒同士で行う。その様子を採点して選抜する入試だ。基礎力は、同時に課す算数で問うという。

 同校には帰国生の入試もある。だが、海外在住期間などが要件に達しない生徒は一般入試で受験する。「幼いころから英語を学んでも、進学塾に通い始めて英語をやめざるを得なくなる。大学入試では4技能が問われるのに、中学受験で英語学習にブランクができるという声で、この入試を設けた」と児島博之校長は説明する。読み書きではなく、聞く話すに重点をおく。

 すでに教科の枠を超えた合科型論述の入試も始めている。児島校長は「多様で柔軟性のある生徒が集まり刺激しあうことで、学校を活性化させたい。そのためには入り口の入試も多様な形が必要だ」という。

 ほかの中学でも、「英語コミュニケーションスキル」など、英語の読み書き以外の力も、様々な形の入試で問う。

 森上教育研究所の森上展安代表は「大学入試では理系文系を問わず英語の配点が高く、AO入試などでも英語が重視される。都立高校でもスピーキングが始まり、大学入試で4技能が問われるようになれば、今以上に英語の得意な生徒を集めた方が進学実績が伸びる流れになる」とみる。

 一方で、英語は保護者の海外赴任など、幼いころから英語学習ができる環境にある家庭の子どもが有利になる。「英検○級以上」などと出願条件に外部検定を使う私立中もあり、その受験費用も安価ではない。

 森上代表は「やがて、多くの中学で一般入試まで英語を入れる時代が来るだろう。ただ、高い能力を競わせ、富裕層の子どもに有利になるような序列化につながらない入試、合格する生徒の多様性を確保できる入試になることを望みたい」

 (宮坂麻子)

 

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