メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

08月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

変わる進学

国立高 底力養成 

写真:生物の教科書やプリントを見ながら、班ごとに議論して課題を進める1年生=国立市東4丁目 拡大生物の教科書やプリントを見ながら、班ごとに議論して課題を進める1年生=国立市東4丁目

 ◆自ら考え、語る 底力養成

 国立高校(国立市)は昨年日比谷高校に5人抜かれたものの、ここ数年、国公立大合格者数で都立高トップの実績を続けてきた。

 1980年夏の甲子園出場の歴史があり、部活は今も盛んだ。約1万人を集客し「日本一の文化祭」ともいわれる9月の国高祭。3年生クラス対抗演劇は早朝から入場抽選の列ができ、そろいのTシャツで応援する保護者も。終わると生徒は気持ちを切り替えて、一気に受験へ向かう。

 「4年前に赴任した時は短期決戦のパワーに驚きました」と、進路指導部主任の佐々木昭一教諭(53)。3年生11月の模試で合格率最低のE判定だった生徒が、年明けには志望の国公立大に見事合格していく。もう一つ驚いたのは、支えるベテラン教師陣。平均年齢51歳。ベテランとともに教官室で授業内容の議論に参加するのは新鮮だった。校長が「いい教育には経験豊富で質のいい授業のできる教員が欠かせない」とアンテナを高くして集めた結果という。

 大学の先を見据えた底力を育てる授業も始めた。

 昨年、生徒の能動的な取り組みを重視するアクティブラーニング型の「生物」を始めた。評判を聞き、年間200人以上が見学に訪れる。

 1年生の授業では冒頭、4人1組の班を作った。配布されたプリントには、分野名と10問程度の問題、何を理解する目的なのか、などが書かれている。あとは生徒同士、資料を手に班で議論して問題を解いていく。教師は巡回して助言するだけだ。生徒の多くは「自分でしゃべって説明するから先生の授業より深まる」と言う。

 定期試験もユニークだ。解答用紙はケイ線が引かれているだけ。教師に分かるように整理して解答を書き、記述問題は読みやすい内容と分量で答えをまとめる工夫が必要だ。1問ずつに解答の目安時間が示され、合計では50分の試験時間を超える。全部解かなくても「ここまではできる」という問題を選ぶ力もつけるため、全問正解なら100点を超える配点にしている。事前に前年の問題を渡し、毎回、新出問題に挑戦する訓練もする。

 「高校教育は、大学に合格することが最終目的じゃない。社会に出て、仲間といかに自分の考えを深め、表現し、生きづらさを感じることなく他人を認めて食っていける人間に育てるかです」と生物担当の大野智久教諭(36)。ベテランの板山裕教諭(59)とコンビで新たな授業に挑戦する。授業を見学していた日本IBMやドコモの中堅幹部も「企業が求めているのはまさにそういう人材です」とうなずいた。

 1月の大学入試センター試験。昨年に比べ「生物」の学校平均点が全国平均よりもさらに向上した。それだけではない。100点満点中70点未満の生徒はゼロ。確実に底上げができている。どの教科も2次試験前日まで個別指導するほか、「論述対策」を生徒同士で計画して行う姿もある。午後8時まで開いている自習室は、浪人生も利用し、教員に質問できる。

 学校群制度で多摩を代表する進学校になった国立高。学区が撤廃され、高まる都心志向に危機感もある。岸田裕二校長(60)は「東京の田舎の公立の良さも知ってほしい」と話す。

 (宮坂麻子)

    *

 「変わる進学〜名門都立高の挑戦」はこれで終わり、次週から「変わる進学」で私立高校の現状を取り上げます。

 

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

東京総局からのお知らせ

東京総局では、都内の最新のニュース、企画、特集などをお届けしています。
身の回りで起きたちょっといい話をメールで「東京取材班」あてにお寄せください。メールはこちらから

朝日新聞 東京総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ