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変わる進学

日比谷高 進学実績復活

写真:土曜日の朝、古文の授業を受ける1年生=千代田区の都立日比谷高校 拡大土曜日の朝、古文の授業を受ける1年生=千代田区の都立日比谷高校

写真: 拡大

 ◇土曜日・夏期講習■独自問題入試 再び来年から

 東大合格者53人――。昨年の都立日比谷高校(千代田区)の進学実績だ。明治時代の東京府第一中から続く伝統校。かつて現役浪人合わせ200人近い東大合格者を出していたが、学校群制度の導入後に1桁台まで減り、50人を超えたのは44年ぶり。麻布、灘など有名私立高、国立付属高に続く合格者を出したことで「完全復活か」と話題になった。

 武内彰校長(56)は「入ってくる生徒の意識が変わった。日比谷の理念を理解した、意識の高い生徒たちを教員がきめ細かく面倒をみた結果でしょう」という。

 1月、大学入試センター試験の翌週。1年生の希望者向けの土曜講習の国語(古文)の授業があった。

 「センター試験自己採点の結果、本校の英語の平均は180点。比べて(国語は)……。日本人かと言いたくなる」と、保戸塚朗教諭(58)が冗談まじりに言う。英語は比較的主語がはっきりしているが、古文は省略されることが多いと説明し、「枕草子」の文から主語を探す授業を進めた。

 生徒が興味を示すよう芸能人の話を交え、文法などのポイントを丁寧に教える。文中に「扇の骨」が出てくると、各自のスマートフォンで画像検索させ、形を確かめさせた。以前に比べ、語彙(ごい)力は低下しており、日常使わない言葉や物、季節の言葉を知らないという。「漢字も現代文の単語も丁寧にやらないといけない」と、13年間同校で教える保戸塚教諭は話す。

 「復活」への取り組みは2001年、都の進学指導重点校に指定され、本格化した。現在は土曜講習に加え、約100講座(90分授業×5回で1講座)の夏期講習と手厚い指導をする。生徒の模試成績をデータベース化して、教員間で共有。面談も年3、4回行う。

 勉強以外の講座や行事、部活にも力を入れる。文部科学省スーパーサイエンスハイスクールや、国際理解教育推進の都の「東京グローバル10」にも選ばれ、海外研修もある。講演会などに参加すると点数が与えられ、卒業時に点数の高い生徒を表彰する制度がある。

 「学校は忙しくて大変。でも先生との距離の近さがいい」と1年の女子生徒。中学受験したが志望校に入れなかった。入学者には中学受験経験者も多く、1割以上は国立や私立中から。1年男子の約1割は開成高校の合格辞退者だ。校長は年20回近く進学塾などを回り、中学生に「文武両道」や「自主・自律の精神」など同校の理念を訴える。

 進学塾の担当者は現状をこう分析する。「日比谷に限らずトップ校にいく子は、小さいころから塾に通い、生徒会をやるような『いい子』。保護者も学校に面倒見のよさを求めるし、子どもも面倒をみられるのに慣れている」

 2001年、日比谷は先駆けて「独自問題入試」を導入した。制度が変わった14年以降も、入試問題の研究を続けてきた。入学してほしい生徒を想定し、問題を考えることは教員の力を高めるという。

 来年、念願だった独自問題入試が復活する。どんな生徒を日比谷でどう育てるか。模索する活動は続く。

     ◇

 「こどもの未来へ」特別編として、東京の進学事情を伝える「変わる進学」シリーズを土曜日に掲載します。まずは名門といわれる都立高の取り組みから。

 ■進学指導重点校

 都が2001年から指定を始めた進学対策を組織的、計画的に行う学校。選定基準は(1)3年生の約6割以上がセンター試験で5教科7科目を受験、約1割以上が約8割以上を得点(2)東大、京大、一橋大、東工大、国公立大医学部医学科への現役合格15人、の2点。

 ■2016年度 進学指導重点校7校の最終志願倍率と国公立大合格者数

高校名 最終志願倍率 国公立大合格者数(うち現役) 16年3月卒業者数

日比谷  2.38倍     215人(131人)      320人

国立   1.82倍     210人(115人)      312人

西    1.84倍     200人 (93人)      309人

八王子東 1.48倍     171人(111人)      323人

戸山   2.14倍     144人(104人)      312人

立川   1.55倍     127人 (81人)      318人

青山   2.39倍     124人(103人)      283人

 ※合格者数は、各校ホームページより

 【都立高校入試の変遷】

1948年 学制改革で新制高校誕生

  52年 全日制普通科に学区合同選抜制導入。学区で入学候補者を決め、各校が候補者から合格者を決定。学力検査は英語を除く8教科、56年から9教科に

  67年 学校群制導入。学区内に2〜4校の「群」を設け、受験生は群を志望。合格者を群内の各校に均等振り分け。学力検査は国数英のみ

  82年 グループ合同選抜制導入。学区内に2グループを編成。グループ内の入学候補者から各校が合格を決定。学力検査は5教科。専門学科の一部に「推薦選抜制度」導入

  94年 単独選抜制導入。各校の単独選抜にし、隣接学区からの志願も認める(2割以内)。各校は調査書と学力検査の比を「4:6」「5:5」「6:4」から選択

  96年 「推薦選抜制度」全日制全学科に

  97年 英語学力検査にリスニング導入

  98年 入学定員を分けて募集する分割募集(A、B)を実施

2000年 前期(1次)・後期(2次)の分割募集に変更。学力検査のみで合否を決めるなど特別選考を実施、男女別定員枠の緩和

  01年 進学指導重点校を初指定(日比谷、西、戸山、八王子東の4校)。全日制学力検査の自校問題作成を実施(日比谷)

  03年 学区制廃止、絶対評価の導入、小論文と自己PRカードの導入

  04年 文化・スポーツなどの特別推薦導入

  05年 公立中高一貫教育校の設置

  13年 推薦選抜に集団討論など導入

  14年 進学指導重点校などの学力検査問題を複数校のグループ作成に

  16年 特別選考の廃止。学力検査をしない教科(5教科受験なら、音楽、美術、家庭、体育の各教科)の評定を2倍換算に。調査書と学力検査の比を、全日制前期は「3:7」、後期は「4:6」に統一。マークシート導入

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