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変わる進学

国立大附属高 人気に陰

写真:付属中生の内部進学の合格発表=今月8日、世田谷区の東京学芸大付属高 拡大付属中生の内部進学の合格発表=今月8日、世田谷区の東京学芸大付属高

写真:東京学芸大付属高の大野弘校長 拡大東京学芸大付属高の大野弘校長

 大学入試の大改革が始まろうとしている中、これまで東大など難関大学への進学で注目されてきた都内の国立大付属高=キーワード=の人気に陰りが出ている。昨春、入学者が定員に満たなかった東京学芸大付属高(世田谷区)は、都立戸山高の元校長を迎えて「改革」に乗りだした。

大学入試対応「不安広がる」

 今月8日、学芸大付属高で、内部進学者の入試の合格発表があった。同大付属の小金井中(小金井市)、世田谷中(世田谷区)、竹早中(文京区)の在籍生500人弱の4割程度しか合格できない。

 ある女子生徒の母親は「女子は、中高一貫校が多くて高校から受験する選択肢が少ないので、ほっとしました」。別の母親は「行事も盛んで自由な良い学校。ただ、大学受験対策は期待できない。本人も自覚して、塾にも通ってもらわないと」と話す。

 だが、内部進学に限らず外部からの人気も高かった学芸大付属高で、異変が起きている。昨年、一般入試の受験者が当日に約80人欠席し、前年の835人より171人減った。合格後の入学辞退も相次ぎ、最終的に定員割れという異例の事態になった。

 2016年11月、生徒がいじめられて骨折や脳振盪(しんとう)を起こしたにもかかわらず適切な対応がされず、文部科学省への報告も遅れたことが公表され、校長らが処分を受けた。その後、ネット上に校内の様々な問題が投稿され、「一連の問題が入試に影響したのでは」とみる声もあった。今年の一般入試の志願者も、昨年より18人増えただけだ。

 安田教育研究所の安田理代表は「いじめや自殺で一時的に志願者が減る学校はあるが、それだけが要因ではない」とみる。学芸大付属に限らず国立大学の付属高を第一志望とせず、都立の日比谷や神奈川県立の横浜翠嵐などの面倒見がいいとされる公立高や難関私立高を選ぶ生徒も珍しくないという。「背景には国立の動きの鈍さがある。英語の4技能など大学入試が新しく変わり、大学や社会が求める力も変わっているのに対応してくれないのではないかという不安が広がっている」

 駿台中学生テストセンターによると、17年11月模試の志望者総数は、15年同月と比べ筑波大付属は27人増えたが、筑波大付属駒場、お茶の水女子大付属を含めた国立大付属の4高校の合計は、135人減ったという。同センターの山口勇課長は「現役合格の指導に力を入れる高校に受験生は流れる傾向がある。国立大付属は、新しい大学入試につながるようなきめ細かい指導内容を、説明会などでアピールする機会が少ないことが影響しているのではないか」と話す。

 ■外部から新校長、立て直しへ

 立て直しが必須となった学芸大付属高は、昨年4月、外部から新しい校長を招いた。これまで大学教授の兼任による非常勤だったが、今回は常勤にした。就任したのは、都教委の課長を務め、昨年3月まで5年間、都立戸山高で校長として医学部進学の特色化などの教育改革を進めた大野弘さん(61)だ。

 いじめ対策としては、スマートフォンなどから匿名で画像などを送り通報や相談できる外部アプリを導入、スクールカウンセラーを週3日配置し、いじめ防止対策委員会も毎週、校長も交えて開く。

 一方、入試では、今年から面接を廃止、中学3年間の内申点も点数化し、英語のリスニング試験導入、繰り上げ合格候補も出す。来年度から英語の外部検定も各学年で複数回実施する予定で、教員の入れ替えや公募も進め、アクティブラーニングの授業もこれまで以上に充実させるという。

 「これまでたくさんのリポートを書かせてきた伝統がある。探究力や書く力は、新しい大学入試にも生かされるはず。良いところは継続し、生徒の将来を見据えた本当の教育改革で勝負したい」と大野校長。

 今月21日には、医師やその卵の卒業生らを学校に招き、交流する会を開いた。マスコミや法曹界の同窓生とも交流。今後は在学生への授業を依頼するなどし、キャリア教育にも力を入れるという。

 大野校長が「付属高校ルネサンス」を掲げて様々な改革に乗り出す一方、文科省の有識者会議は昨夏、国立大学の付属校が「エリート化」し、本来の役割を十分に果たせていないとして、抽選で選ぶことなどを求める報告書をまとめた。本来の役割とは、大学入試対策ではなく、実験的な学校教育や、教員養成への研究協力など。大学進学が様変わりする中、国立大付属はどこに進んでいくのか――。

(宮坂麻子)

 ■「伝統残しつつ挑戦、魅力取り戻す」 東京学芸大付属高・大野弘校長

 小手先の入試改革ではなく、教育内容を充実させる本道の改革で、学校の魅力を取り戻していきたい。

 いじめに対応する態勢もきちんと整えました。私が週5日いることで、これまで以上に目配りできる。規律は厳しくしていません。部活も行事も活発にやってもらって構わない。ただ、隙間時間があれば1時間でも勉強し、切り替えられる生徒であって欲しい。

 都立戸山高の校長時代、特色を出すための生徒の進路希望調査をし、「チーム・メディカル」という医学部進学希望者を対象にしたキャリア教育を始めました。地道に努力するだけでは、東大の2次試験に対応するのは難しい。でも、地方の医学部医学科は、高1から勉強を始め、高2で中だるみせず、大学入試センター試験で9割近く取れるように指導すれば、成果につながります。

 国立の教育実験校といえども、塾にせっせと通う生徒を横目に、関係ない授業ばかりするわけにはいかない。進路への意識もしっかり持ち、社会や人に役立つ人間になって欲しい。

 芸術科目まで徹底的にリポートを書かせる伝統の教育は、大学入学後に教授に認められたり、社会で生きたりしています。その力を大学入学時にも役立てたい。大学入試が変わることは、むしろこれまでの付属高校の教育が生かされるチャンスと期待しています。

 都立高以上に予算の壁も高いですが、「付属高校ルネサンス」のために来たのだから、伝統は残しつつ、挑戦していきます。

(聞き手・宮坂麻子)

 ◆キーワード <都内の国立大付属高> 

都内には、国立大学の付属高校が8校ある。生徒募集する普通科は、東京学芸大付属(共学・106人)のほか、筑波大付属(同・帰国生含み80人)、同大付属駒場(男子のみ・帰国生含み40人)、お茶の水女子大付属(女子のみ・外部は約60人)。いずれも付属中からの内部進学者もおり、外部生の定員は少なめだ。

 専門学科では、東京芸大音楽学部付属音楽高、東工大付属科学技術高が募集。ほかに、東京学芸大付属大泉中と同大付属高大泉校舎を統合して国際バカロレア教育をする同大付属国際中等教育学校、双生児研究で知られる東大教育学部付属中等教育学校があるが、いずれも高校では若干名しか募集しない。

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