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変わる進学

第二外国語 学校間に温度差

写真:都立北園高で行われた独語の授業。ネイティブの外国語指導助手を相手に、レストランでの注文を想定した会話練習をした=板橋区板橋4丁目 拡大都立北園高で行われた独語の授業。ネイティブの外国語指導助手を相手に、レストランでの注文を想定した会話練習をした=板橋区板橋4丁目

 グローバル化に伴い、熱を帯び続けている外国語教育。国際理解を育む教材として、英語以外の外国語の授業も行う学校がある一方、そうした学校は増えてはいない。英語一辺倒の大学入試が依然として続いているからだ。

 ■独・仏・中…「教養幅広く」 都立北園高、1・2年の半数受講

 金曜の7・8時限目。第二外国語教育がさかんな都立北園高(板橋区)で、週1回のドイツ語の授業が始まった。

 この日のテーマは「レストランでの会話」。給仕役の外国語指導助手を相手に、生徒たちが手ぶりを交えながら食事の注文をする。言葉に詰まった時は、他の生徒がすかさず助け舟を出す。質問も多く飛び、教室には活気があふれた。

 今年で創立90周年の北園高は戦後まもなく独語、フランス語、中国語、ロシア語を開講。幅広い教養を育むことを目的とした伝統は続く。履修は自由にもかかわらず1、2年次とも生徒の半分以上が受講している。

 中でも一番人気は独語だ。8年前、独外務省が学生間の国際交流を目的に立ち上げたプロジェクト「PASCH(パッシュ)」のパートナー校に選ばれ、短期の語学留学や日本の中高校にあたるギムナジウムとの交流なども盛ん。3年次には英語の代わりに独語を学ぶ専修クラスもあり、3年間を通じて学べる高校は珍しいという。「色んな言語を学ぶと見方が広がりそう。勉強というよりは趣味のような楽しさがある」。独語を目当てに入学した男子生徒(16)は、外部の教室にも通うほど熱が入る。

 「今年も北園は上昇気流!」――。学校案内の冊子でそううたうほど、進学実績も好調だ。2011年に都教委から進学指導推進校の指定を受け、公募制で選ばれた教員も含めた学校づくりがスタート。5年前までは10人強で推移していた国公立大学の現役合格者は、17年入試では37人に増えた。近年、一般入試の倍率は2倍前後が続き、今月6、7日の出願では男女合わせて2・28倍と都立全日制普通科の中で3番目の人気ぶりだった。

 杉本悦郎校長は「結果としていい循環が生まれている。本来の学びとは、他者との違いを測る自分の物差しをもつこと。外国語教育もその延長だと考えている」と語る。

 都教委は、22年度に都立立川国際中等教育学校(立川市)に小学校を開設し、都内の公立初の小中高一貫校とする計画だ。中学から第二外国語を必修にし、英語が必修の小学1〜6年生でも希望する児童には授業外で他の外国語に触れる機会を設けるという。

 シンガポールで入試を行うなど海外からの帰国生の受け入れに積極的な大妻中野中・高(中野区)が昨年度新設した「グローバルリーダーズコース」では、仏語を必修科目として扱う。高3までの6年間で、仏語検定の3級程度の習熟度を目指す。国際的に活躍できる人材を育てる取り組みの一つだ。

 同校では20年ほど前から仏語を選択科目に取り入れてきた。その目的は「異文化理解」「多様な価値観を持つ」ことにあり、知識に偏りがちな現行の受験制度に沿った学習とは離れている。授業の教材も、フランスの祝日や習慣など現地の生活を感じさせる事柄を盛り込んでいる。宮沢雅子校長は「うわべだけのグローバル教育は通用しない。生徒たちには、世界の一市民という意識を抱いてほしい」。

 筑波大学の臼山利信教授(外国語教育)は「第二外国語を学ぶことで、英語だけが外国語ではないと気づく。それが国際社会で生きる上で必要な複眼的な見方、感じ方の出発点になる。多様性に触れることでしかその大切さに気付けない」と述べる。

 ■受験、英語一辺倒の影響 高校の授業では広がらず

 ただ、英語以外の語学を教える学校は増えていない。文部科学省の統計によると、英語以外の外国語を教える高校・中等教育学校は16年5月現在、全国で計677校。全体の13%程度で、実際に学ぶ生徒数では1%ほどだ。首都圏でも一部に限られる。

 第二外国語教育が広がらない大きな要因は、入試で利用できる大学が少ないためだ。

 早稲田大、慶応大の文系学部などの一般入試は仏語や独語などでも受けられるが、一部にとどまる。今年の大学入試センター試験で外国語を受験した54万7650人のうち、英語以外に用意されている独・仏・中・韓のいずれかを選んだのは千人にも満たなかった。

 大妻中野中・高の宮沢校長も「主要な受験科目でない仏語を必修とするのは大きな決断だった」という。

 こうした現状に、臼山教授は「入試の際に多様な外国語能力を積極的に評価する大学が増えると、授業を行う高校も増える可能性がある。入試制度を見直すことで英語以外の外国語教育が広がるはずだ」と指摘している。

(横川結香)

 ■さまざまな言語が学べる首都圏の主な高校

 <東京> 都立国際(中韓仏独スペイン)、都立小平(同)、都立日比谷(中韓仏独)、武蔵(同)、早稲田大学高等学院(中仏独露)

 <千葉> 渋谷教育学園幕張(中韓仏独スペイン)、千葉英和(中仏独スペイン)、県立成田国際(中韓仏)、県立松戸国際(同)、県立幕張総合(中仏)

 <埼玉> 慶応志木(中仏独伊、タイ、トルコ、アラビアなど24言語)、県立和光国際(中仏独スペイン)、埼玉栄(同)、県立蕨(中仏独)、県立伊奈学園総合(同)

 <神奈川> 県立横浜国際(中独アラビアなど6言語)、県立弥栄(中独伊など6言語)、県立神奈川総合(中仏独など5言語)、旭丘(中韓伊モンゴル)、栄光学園(中韓仏スペイン)

 ※特定の学科のみ履修できる学校も記載

 ※選択科目、放課後講座などを含む。来年度の開講が未定の学校もある

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