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変わる進学

考える力、大学入試を意識?

写真:「思考力」を問う中学入試問題の一部 拡大「思考力」を問う中学入試問題の一部

 ◆今年の中学入試を振り返る

 首都圏の小学6年生の6人に1人が受験するとされる「中学入試」が、今年も終わった。森上教育研究所の推計では、1都3県の受験者は前年より約1千人増えて約3万8千人に。プログラミング入試や思考力入試など、思考力、判断力、記述力を問う新しい大学入試や新学習指導要領を意識したような出題が目立った。

 ■プログラミングやAI題材 大妻中野中・聖学院中

 米タイム誌が、毎年表紙にしている「その年を代表する人」。2004年はジョージ・ブッシュ大統領、05年はマイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏らだったが、ユーチューブやツイッターなど多くのSNSが誕生、普及し始めた06年は、パソコン画面に「You」という文字がある表紙だった。「Youを選出した理由や意味、これに関わる他の例、そしてあなたの考えを400〜600字で書きなさい」――。

 大妻中野中(中野区)では今年、「新思考力入試」でこんな問題を出した。新大学入試につながる思考力、記述力と、社会の変化に対する意識も問う。

 27人が初挑戦した算数1科目の「算数入試」では、ロボットを動かす手順や進み方などプログラミングを意識した出題があった。今後力を入れる理数教育の試みの一つとして、新入生は放課後にプログラミング講座を優先的に受けられる。諸橋隆男教頭は「大きく変動する世間で、主体的に生きるなら必要になる力を入試に反映させた」と話す。

 大妻嵐山中(埼玉県嵐山町)も学科試験とは異なる「ORみらい力プレゼン入試」を実施。今年から導入した「プログラミング入試」では、受験生は事前にスクラッチやピョンキーなどのプログラミング言語で製作した作品を持参した。試験官の前で動かして、意図や工夫した点などをプレゼンテーション。質疑に答える試験だ。担当者は「自分で調べて考え、まとめる能力をみるために、プログラミングを採り入れた」と述べる。

 聖学院中(北区)が今年から始めた「難関思考力入試」。高齢化時代における医療現場の問題を解決するために、どのように人工知能(AI)を使えばいいか、レゴブロックで作品を作る出題をした。

 受験生には、高齢者の外出場所、AIやロボットなどによる代替可能性が高い職業や低い職業の例、ディープラーニング導入が進んでいる分野・技術例など、約20種の資料が配られる。

 資料の読み解きや音声による聞き取りで情報を抽出・整理させ、発見した課題を解決するための作品づくりと説明、医療現場でのAIの使い方に対して人間の果たすべき役割に関する意見も書かせる。

 清水広幸副校長は「国語のような記述力だけでなく、課題発見や創造性などの総合的な力を持った優秀な生徒を獲得したい。公立中高一貫校の受験者層も取り込みたい」。

 昨年から4コマ漫画を題材にした適性検査型入試(可能性発見型テスト)を始めた鎌倉女子大中等部(神奈川県)では、今年は朝日新聞で1971年に掲載された「サザエさん」を引用。その漫画に関連した新聞記事も問題にした。

 森上教育研究所の森上展安代表は「大学入試改革だけでなく、様々な受験生を多様な入試で受け入れたいという私立中側の事情もある。当面はもっと多様化するのではないか」とみる。

 ■出題傾向の根本変わらず 難関校

 難関とされる私立中でも新しい大学入試につながるような出題が見られた。

 10年ごとに問題傾向を変える渋谷教育学園渋谷中(渋谷区)。今年は、国算理社とも、知識量だけでなく判断力や思考力をみる問題が目立った。

 社会科では、津田塾大を創設した津田梅子ら著名な3人の肖像画を並べ、選んだ1人の功績について記述させた。問うのは功績そのものだけでなく、「その道に尽力した経緯」などの背景を加えた上で論理的に説明する力だ。また、国語の読解では、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下で」を引用し、用意された五つの作品の解釈から明らかな間違いを含むものを一つ選ばせる問題もあった。

 高際伊都子副校長は「小学生として定着すべき基礎知識と、類推力を組み合わせて解答させる問題。考えることを面白がれる人を求める本校らしさが出た」と話す。

 開成中(荒川区)の国語では、商社の社員が社長に弁当販売の報告をする文章や売れ行き総数のグラフなどが提示され、客観性を欠く報告と感じた点などを問う出題があった。早稲田アカデミー開成クラス総責任者の相沢好寛さんは「新しい大学入試とリンクするような問題」。ただ、新しいタイプの出題が増える可能性には懐疑的だ。「難関校は、時代が追いついてきたという程度にしか感じていない。根本的に変わることはないだろう。基本をおろそかにして思いつきに頼っては、入学後に苦労する」

 サピックス教育情報センターの広野雅明さんも「難関校は以前から思考力を問うてきた。今年は大学入試を意識した問題が様々な学校で1、2題見えたが、各教科をきちんと勉強する必要性は変わらない」としている。

 (横川結香、宮坂麻子)

 <今年の特色ある出題例>

 ■大妻中野(中野区)―算数入試

 果物の名前を呼ぶと規則的に動くロボットが、1マス10センチの方眼紙の上を動いたと仮定。果物の名前を三つ呼んで命令した時の動きを4回分例示し、ロボットの動きと命令の関係や、2台のロボットをゴムでつないで命令した時のゴムが通った部分の面積などを問う。

 ■大妻嵐山(埼玉県)―プログラミング入試

 事前にプログラミングした作品を持参して試験官の前で動かし、2〜3分でプレゼンテーションする。作品の意図や狙いなどの質疑応答もある。

 ■かえつ有明(江東区)―思考力入試

 人間の知能を百とした時、様々な動物の知能がいくつになるかという大学生のアンケート「動物の知能に対する評定値の平均と順位」を提示。オウムならどこに位置づけるかとその理由、人間らしい知能とは何かを選択させ、理由も問う。

 ■鎌倉女子大中等部(神奈川県)―適性検査型入試(Poditテスト)

 1971年に朝日新聞に掲載されたサザエさんの4コマまんがを1コマずつバラバラにしたものと、関連で2016年6月に同新聞別刷りbeに掲載された「サザエさんをさがして」の記事を提示。4コマの順の並べ替え、登場人物の吹き出しの言葉を考え、理由を問う。関連記事の読み解きや、記事中の「ほめること」「叱ること」のバランスについての受験生の意見を記述させる。

 ■聖学院(北区)―難関思考力入試

 高齢者と医療、AIなどの先端技術について、20種以上の資料を提示。高齢化や医療について資料から読み取れる内容を記入させ(箇条書き可)、患者・家族側と、病院側のそれぞれの問題点を記述させる。人工知能の進化に関する音声解説を聞いて、人工知能の可能性や注意点も記述。高齢化時代における医療現場の問題を解決するための人工知能の使い方をレゴ作品で表現させ、作品の説明も文章で書かせる。

 

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