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変わる進学

「自校作成問題」に手応え

写真:都立日比谷高校の武内彰校長 拡大都立日比谷高校の武内彰校長

写真:都立西高校の宮本久也校長 拡大都立西高校の宮本久也校長

写真:Z会進学教室の尾田哲也代表 拡大Z会進学教室の尾田哲也代表

 ◇都立高入試に5年ぶり復活

 都立高校の合格発表が、1日にあった。5年ぶりに復活した「自校作成問題」。自校作成は日比谷、西などの進学指導重点校7校と、新宿など進学重視型単位制高校3校の国語、数学、英語に限られるものの、新しい大学入試を前に変化も見えた。

 ■英・国とも記述問題増 日比谷・武内彰校長

 「やはり自校作成に戻してよかった」。合格発表日、日比谷の武内彰校長(57)は振り返った。

 グループ作成問題だった昨年、一昨年の入試の受験者平均は国語が73点、76点、英語は76点、67点と高かった。今年は英語も国語も記述問題を増やし、やや難しくした。

 英語ではこんな記述問題が出た。英語を上手に話せるために何が重要かを討論する授業風景の対話文。男子の意見に女子が異論を述べた。発言内容を類推し、各20語以上の英語の対話文を完成させる――。

 「相対する意見を類推させることで、受験者の考えに加え、論理的な思考力、表現力を見たかった。文法やスペルより中身重視で採点した」と説明する。

 国語も文章理解だけでなく、受験生自身が吸収した様々な知識を日常生活や社会とつなげて表現させる出題に。漢字も、日ごろから教養ある文章に親しんでいるかを問う難問だった。結果、今年の受験者平均点は、国語、英語は60点台、数学は50点に下がった。

 「未知の状況に対応できる思考力や判断力、表現力を持った人を育てていくという国の方向性がある。新しい大学入試も難関国立大の2次試験で求められる力も、結局そこにつながる。来年以降の高校入試でも、0から1を創造できる人間になれる生徒かを見たい」

 ■英語長文、1題増える 西・宮本久也校長

 西の宮本久也校長(60)も「ほぼ思い通りの選抜になった」と満足そうだ。

 昨年の受験者平均点は国語が71点、英語が74点、数学が58点。今年は国語52点、英語62点、数学57点に下がった。都教育委員会の入学者選抜担当も経験した宮本校長は「55〜60点程度の平均点になる出題が能力を適正に問える」と話す。

 受験生を驚かせたのは、英語だった。学校説明会などで大問を一つ増やすという事前説明はあったが、かなりの長文が1題増えた。合計3千語を超える文章を40分間に読んで答えなければならない。

 西は昨今、海外在住経験のある生徒や英語の得意な生徒が受験する傾向も出てきた。「今後の大学入試では、限られた時間でこのくらい読める力が求められる。対話、説明文、物語など、様々なタイプの英文を読めるか、その上で自分の意見を表現できるかを問いたい」と宮本校長は話す。

 一方、数学は多少易しくした。昨年までの独自の差し替え問題は難問だったため、難問に手をつけず、確実に取れる問題で得点する受験テクニックに偏った受験生がかなりいたという。「入試問題は、影の教育カリキュラム。西に来るならこれくらいやって来いというメッセージでもある。来年以降も全問挑戦の精神で来てほしい」

 ■思考力の確認を重視 国立・岸田裕二校長/チャレンジ精神求む 八王子東・榎茂喜副校長

 多摩地域の難関都立高でも、社会で求められる様々な能力や新たな大学入試を意識した作問が目立った。

 国立は思考力の確認を重視した。象徴的だったのが国語の記述式問題。本文を踏まえ、現代社会で求められる人々の連帯のあり方を、具体例を挙げながら200字以内で書くよう求めた。問題ときちんと向き合った上での思考力や、表現力を問うたという。英語でも自分の考えを15〜20語で表現するよう求める英文の穴埋め問題を出した。

 受験者平均点は、3教科とも50点程度。国語の記述式問題には空欄も目立った。岸田裕二校長(61)は「今後の大学入試では記述力も重要。回答にかかる時間を考えての判断だったのかもしれないが、意図を理解してほしかった」。

 八王子東も思考力や表現力の確認を重視した。加えて特徴的だったのが、チャレンジ精神あふれる生徒がほしいとの狙いを込めた出題。英語では、将来実現してほしい科学技術を一つ挙げた上で、その理由を40〜50語程度の英文で書くように求めた。アイデアそのものは評価の対象とはしないが、学校側が求める人物像を感じてほしいとの考えから、出題した。受験者の平均点は国語56点、数学55点、英語が69点だった。

 八王子東では今春から、文学などの題材を元に生徒各自が問いを立て、自分なりの答えを求めていく「国語探究」という独自の科目を始める。榎茂喜副校長は「変化し続ける社会に応じて、自らも変わろうとする意欲を持つことが大事だと考えている。学校が進める改革についても、意欲的に取り組んでくれるような生徒がほしい」と話した。

 (宮坂麻子、川見能人)

 ■目立つ英語の変化、日ごろの努力重要 Z会進学教室・尾田哲也代表

 自校作成問題が復活する今年は、進学実績を伸ばす高校、特に日比谷がかなり難しくなる予想もありましたが、全般的にそれほど難しくはなりませんでした。

 変化が目立ったのは、英語です。西では、かなりの分量の長文が丸々一つ分増え、一般の中3生は、時間内に読むのも厳しかったでしょう。日比谷も、最も変化したのは英語です。英作文が独立し、記述問題も増えました。英作文は昨年から対話文を自分で考えて完成させる形式に変わりましたが、これは東大の出題を意識しているのかもしれません。国立も過去の自校作成同様に理系的な内容の英文が出題され、難しくなりました。単に英語ができるだけではなく、幅広い教養が求められています。

 グローバル化が叫ばれる中、今後もますます英語は重要になるでしょう。英文を音読する、英会話番組を欠かさず聞く、中3の後半は英英辞典を使うなど、中学校の学習以上の日ごろの努力が重要になります。

 一方で数学はやや易しくなった学校もありました。今年は、筑波大付や開成なども易しくなりました。東大の数学入試が易しくなっている影響ではという見方もありますが、都立の数学は難しくしすぎると差がつきにくくなることを意識したのかもしれません。

 久々の自校作成で、若干こなれていない出題も見受けられましたが、来年以降は改善していくでしょう。入試改革で生徒も我々教える立場の者も、日ごろからより本格的な勉強が求められる時代になっています。

 (聞き手・宮坂麻子)

 ■進学指導重点校の自校作成問題と都立共通問題の特徴

 ※サピックス中学部分析資料より

 【高校名】《国語》説明的文章、文学的文章と各著者

 《英語》長文総語数/《英語》英作文語数

 【日比谷】西谷修「世界史の臨界」、宮下奈都「羊と鋼の森」

 2620語/20語以上×3問、30語以上

     *

 【西】佐伯啓思「経済成長主義への訣別」、小嶋陽太郎「ぼくのとなりにきみ」

 3090語/40〜50語程度

     *

 【国立】久保田裕之「社会を『共有』する」、米澤穂信「いまさら翼といわれても」

 2205語/15〜20語以内×2

     *

 【八王子東】田口茂「〈交差〉としての時間」、原田マハ「リーチ先生」

 2560語/40〜50語程度

     *

 【戸山】鷲田清一「哲学の使い方」、三浦哲郎「影」

 2645語/40〜50語程度

     *

 【青山】長谷川宏「高校生のための哲学入門」、市原麻里子「木骨記」

 2320語/40〜50語以内

     *

 【立川】好井裕明「違和感から始まる社会学」、木内昇「よこまち余話」

 2330語/40〜50語程度

     *

 【共通問題】國分功一郎「中動態の世界」、沢西祐典「辞書に描かれたもの」

 1390語/3文

 ■進学指導重点校の今年の漢字出題の例

 【日比谷】ハチクの勢いで勝ち進む▽社会の風潮についてケイクを吐く▽カシャクない追及に音を上げる【西】有段者に剣道のシナンを受ける▽リーダーのエイダンに敬意を表する▽最後の最後にキシカイセイの逆転劇を起こした【戸山】《読み》本を貪り読む▽厳しい学問を通して人格を陶冶する▽お心遣いに衷心より感謝申し上げます

 (答え)日比谷▽破竹、警句、仮借 西▽指南、英断、起死回生 戸山▽むさぼ、とうや、ちゅうしん

 

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