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東京150年

大学生/(4)社会に向き合い 議論 行動

写真:大学運営臨時措置法の成立に抗議し、ジグザグデモをする学生たち=1969年、港区 拡大大学運営臨時措置法の成立に抗議し、ジグザグデモをする学生たち=1969年、港区

写真:国会議員と語りあう学生たち=千代田区の衆議院第1議員会館 拡大国会議員と語りあう学生たち=千代田区の衆議院第1議員会館

写真:大正時代に開かれた「擬国会」の様子。内閣総理大臣などの肩書も見える=専修大学提供 拡大大正時代に開かれた「擬国会」の様子。内閣総理大臣などの肩書も見える=専修大学提供

 この150年。学生の政治への関心は、潮の満ち引きのように変化し続けてきた。ここしばらくは若年層の投票率低迷に目が向けられがち。ただ、いまは引き潮と言っていいのだろうか。

 「現場で働く人をもっと尊重する社会が必要では」

 「大事なのはとにかく戦争をしないことだと思う」

 2月、永田町の議員会館で国会議員と学生計約140人が議論する催しがあった。「年金」「憲法」などテーマ別に約2時間。東京理科大1年の白木龍之介さん(19)は「普段はできない話ができてよかった」。

 主催したNPO「ドットジェイピー」の佐藤大吾理事長(44)は「話せばきちんと意見はあるし、社会のことも考えています」。若者の投票率向上を目指して議員事務所などに学生インターンを派遣してきた。その数は20年で計2万人を超えたという。

 政治的意欲の表現には控えめに映る現代の学生たち。一方、富国強兵の時代、政治への関わりに貪欲(どんよく)な学生は少なくなかった。

 ◇大正「擬国会」昭和「全共闘」そして今

 外相を務めた小村寿太郎(1855〜1911)は明治初期の学生時代、机に当時の参議、大隈重信(1838〜1922)の写真を飾っていた。その裏には「呈小村君 大隈重信」の文字。「小村寿太郎伝」によると、驚いた友人が関係を尋ねたという。小村は「参議が僕に写真を送ったと思えばそれでよい。僕は自分がそう思うために自分で書いたまでだ」。以後のあだ名は「参議小村」。政治家への憧れと立身出世の夢を隠さなかった。

 大正期にかけてはやったのは、当時の帝国議会をまねた「擬国会」。弁論部も人気で、明治大では学生の半数近くが雄弁部に籍を置き、各地で催した弁論大会は常に大入り満員だった――こんな回想を、31年卒の岡本昌智氏が「明治大学百年の顔」に残している。「全日本の大会で、優勝する度に、女子学生からのファンレターを随分とたくさんもらった」

 戦後も、復興から高度成長の時代、全学連(全日本学生自治会総連合)に全共闘(全学共闘会議)と、政治に関わろうとする学生は少なくなかった。学生と社会の歴史に詳しい竹内洋・関西大東京センター長(76)は「エリート意識が政治への関心を喚起した」と指摘する。貧困をはじめとした社会の矛盾が目に見えた時代が長く、「恵まれた自分たちが社会を良くせずにどうする、と考えた」。

 18歳の半数が大学に進むようになったいま、「エリート意識」は遠のいた。だが、社会は少子高齢化や子どもの貧困など新たな課題にも直面している。

 いまの学生たちも、黙っているわけではない。慶応大4年の古井康介さん(22)らが立ち上げ、昨年末に会社にした「POTETO」。ニュースを分かりやすく加工し、ネットで発信する。「セーフティーネットとしての公を強固にするには、今ある困窮への共感と将来への危機意識が大事。政治への関心を学生から高めたい」と古井さん。

 安全保障関連法案の審議が大詰めを迎えた2015年、国会周辺での反対デモをリードしたのも学生団体「SEALDs(シールズ)」だった。

 教育史家の故・唐沢富太郎は著書「学生の歴史」をこう結んでいる。「青年は明日に生き、未来の可能性を信じ生き抜かなければならない。絶望と苦悩のどん底からこそ、廿(にじゅう)世紀後半の新しい学生像は誕生させられなければならない」。1955年の出版から既に半世紀。学生像は更新され続けている。

 (川見能人)

 ■政治と学生 150年の主な動き

 1874年 自由民権運動が始まる

 1910年 雑誌「雄弁」が創刊。学生らに人気を博す

 18年 東大新人会が結成。昭和初期まで学生運動をリード

 30年 翌31年にかけ、教育環境改善などを巡って学生ストが多発

 45年 終戦

 48年 全学連(全日本学生自治会総連合)結成

 60年 安保闘争で東大生の樺美智子さんが死亡

 68年 翌69年にかけ、各大学で全共闘(全学共闘会議)運動が広がる

 69年 東大安田講堂事件

 72年 連合赤軍あさま山荘事件。新左翼運動退潮へ

 2015年 学生団体「SEALDs(シールズ)」が安保法制反対運動で活躍

 ◆大学生編はこれで終わります。次回は事件編を掲載予定です。

 

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