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凸凹の輝く教育

音楽に打ち込んで成長 国立音楽院高等部

写真:音楽試験の合格証明書を手にする相原麻利奈さん=東京都世田谷区池尻3丁目の国立音楽院 拡大音楽試験の合格証明書を手にする相原麻利奈さん=東京都世田谷区池尻3丁目の国立音楽院

 楽器の演奏や修理法など、音楽を専門的に学べる国立(くにたち)音楽院(世田谷区)。その高等部は音楽を中心に学びながら高校卒業資格をめざす通信制サポート校だ。生徒たちは音楽漬けの日々を過ごし、社会で生きる自信や夢を育む。

 「この小節、主役になる手はどっちだ?」

 「右手」

 「じゃあ左手は優しく弾こうね」

 4月中旬の午後。2台のピアノが置かれた練習室で、高等部2年の相原麻利奈さん(16)が手ほどきを受けていた。

 相原さんは6歳の時、発達障害の一つ、「自閉症スペクトラム」と診断された。不慣れな相手とコミュニケーションを取ったり集団で行動したりするのが苦手で、小学3年から中学まで特別支援学級で過ごした。卒業後は、4歳から習うピアノの腕を伸ばそうと音楽理論や実技を中心に自由に時間割を作れる音楽院を選んだ。

 譜面どおりに弾くのを難しく感じているが、週2コマの授業では譜面の読み取りをあえて徹底し、手をたたいて正しいリズムをつかむ練習をする。講師の沢田若菜さんは「彼女にとって厳しい指導をしているが、力も意志もある」。相原さんが体調を崩して欠席した時期も定期的に連絡を取り続けたという。

 相原さんの夢はピアニスト。昨年は世界各国で実施されている実技試験「トリニティカレッジロンドングレード試験」に挑戦し、最も高い級に合格した。「大きな舞台に立ってたくさんの拍手をもらいたい」。それが頑張れる理由だ。

 音楽院は、学校教育法上の専修学校ではない音楽教育施設だ。器楽のほか、リトミックや音楽療法を専門的に学ぶ学科をいち早く設置した。10年前に高等部を開き、今年度は82人が在籍。障害がある人も多く受け入れている。

 人との関わり合いも大切な「教材」だ。音楽院の在籍者なら誰でも受講できる「インクルーシブ(包括的)クラス」では即興演奏や合奏を楽しむ。社会人や障害がある人ら、様々な背景を持つ人と関わって視野を広げるのがねらい。生徒の進路は音大進学や保育士、音楽関係のマネジメント事務所と幅広い。

 中には、いじめや不登校など過去につらい思いを経験した生徒もいる。音楽事業部の久保秋亮課長(35)は「それでも私たちは音楽と人によって救われて成長できる」。目標を見つけ、進んでいく生徒たちの姿が何よりの証拠だ。

 (横川結香)

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