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変わる進学

「国語4技能」小中学生から 

写真:「リベラル読解論述研究」の中1の授業では関連資料も見せて議論する=目黒区のY−SAPIX 拡大「リベラル読解論述研究」の中1の授業では関連資料も見せて議論する=目黒区のY−SAPIX

写真:市進学院では「国語力」をアピールするポスターも=千葉県市川市の同学院本八幡教室 拡大市進学院では「国語力」をアピールするポスターも=千葉県市川市の同学院本八幡教室

 読む、話す、聞く、書く――。「英語4技能」ならぬ、「国語4技能」の学習が広がりつつある。大学入試センター試験に代わる2021年の「大学入学共通テスト」から記述式問題が導入されるが、試行調査の記述式は正答率の低さが目立った。文章内容の読み取りだけでなく、きちんと思考を深め、論述の力もつける。小中学生から取り組みが始まっている。

 ■本を読み、討論重ね小論文に

 パンフレットに書かれた「大学入試改革対応」という文字――。中高生向けの進学塾「Y―SAPIX(ワイサピックス)」では、従来の教科別の講座とは別に、「リベラル読解論述研究」というオリジナル講座を設けている。

 4月下旬、目黒区にある自由が丘校で、中学受験を終えたばかりの新中1生ら十数人がこの講座を受けていた。テキストは、岩波ジュニア新書の「旅に出よう」(近藤雄生)。

 「みなさんは、旅に出たと思うのはどんな時ですか」と講師が問う。「飛行機に乗った瞬間」「違う国に行って、ゴミとか落ちているのを見ると、あ、旅に来たと思う」と答える。「何が違うの?」「当たり前だと思っている日常の世界じゃない」と、また違う子が言う。「非日常が日常を活性化させる」という意味について、討論が続く。

 この講座では、医療、IT、哲学、小説など、様々なジャンルの書籍を毎月1冊ずつテキストにし、丁寧に読み進める。単に読むだけでなく、読み取った内容を元に、関連資料なども提示して、話し、友達の意見を聞き、論点を浮かび上がらせて討論を重ねる。最後には、自分の意見や問題意識を小論文に書いてまとめる。

 「単なる読解授業ではありません。中高時代に優れた文章を読んで教養を高め、自分の問題意識を持つことは、その後のキャリアにもつながる。きちんとした表現もできるようにしたいと始めた。それが、新しい大学入試に対応する形になった」と、奥村直生事業本部長は話す。

 テキストの作品は、「世界の教科書でよむ〈宗教〉」(藤原聖子)、「死刑 その哲学的考察」(萱野稔人)、「ロボット創造学入門」(広瀬茂男)、「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ)、「夜と霧」(ヴィクトール・E・フランクル)……。同塾では、中学生向けの国語的講座はこれのみ。高校から現代文や古文、漢文など入試対策の国語講座が加わる。

 授業を受けていた私立中高一貫校に通う中1女子(13)は「入試はまだ先だけれど、医師になりたいと思っているので、いろんなことを知って考えられるところがいい」。同様に中高一貫校の男子(13)は「他の塾にはない授業だし、国語的な力にもなっておもしろい」と話す。

 ■「すべての教科の土台」養成

 文章を読んで正しい選択肢や言葉を選ぶ従来の国語の出題と違い、グラフや表まで読み取り、論述させる出題は、今年、最難関中学の一つ、開成中学(荒川区)の国語でも出題された。大学入試だけでなく中学入試も同じ方向に向かうと予想され、進学塾の市進学院(千葉県市川市)でも、「国語の4技能」の強化に力を入れている。

 塾では始業から5分間、生徒同士が意見を交わす「対話力向上タイム」を設けている。トピックは自由で、相手が話した内容やそれに対する意見をまとめた文章をプリントに書く。

 宿題では、気になったニュースについての作文や課題図書の読書など、幅広い知識を得るための意識を向ける。

 また、「速読力」を鍛える学習ソフトも活用。文章を追う目の動きを速める訓練をしたり、文章問題を制限時間内に解いたりするトレーニングを重ね、問題の長文化への対応力をつける。

 読む、話す、聞く、書くの4技能を鍛えた先に目指すのが、情報を読み解いて分析したり思考したりする「読解力」の養成だ。

 子どもの国語力の低下は著しいという。小説の時代背景を読み解く知識がない、文法の構造が正しく使えない、使う単語が幼い……。答案用紙には今、以前にはなかった誤答が目立つ。日常で使う国語は他教科に比べて苦手意識が明らかになりにくく、入塾時や受験期のテストで初めて自覚する生徒も少なくないという。

 同学院の原園明宏校長は「国語はすべての教科の土台。さらに言えば、人工知能(AI)と共存する時代では機械が単純作業をする。思考や想像を求められる私たち人間は、その基になる読解力をしっかり育てなければいけない」と話した。

 (横川結香、宮坂麻子)

 

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