メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

08月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

変わる進学

めざせ海外「英語塾」が人気

写真:「キャタル」の授業では、タブレット端末で生徒が音読する様子を撮影し、発音や抑揚などの確認をしていた=渋谷区 拡大「キャタル」の授業では、タブレット端末で生徒が音読する様子を撮影し、発音や抑揚などの確認をしていた=渋谷区

写真:「J PREP斉藤塾」の斉藤淳代表=東京都渋谷区 拡大「J PREP斉藤塾」の斉藤淳代表=東京都渋谷区

 ◆4技能きたえ 新共通テストも対応

 ◇小中学生からTOEFL対策

 2021年の新大学入学共通テストから、読む・書く・聞く・話すの4技能が問われ、TOEFLやTOEICなどの外部試験も導入される英語。首都圏の一部では、海外大学への進学も視野に、小中学生からTOEFL対策などをする塾の人気が上がり始めている。

 海外進学をめざす生徒向けの塾が集まる渋谷。「英語で考えるリーダー塾igsZ」渋谷校(渋谷区)には、6〜17歳の約100人が通う。「従来の塾・予備校とも、既存の英会話スクールとも違う、将来グローバルに活躍するリーダーをめざす小中高生のためのまったく新しい塾」とうたう。

 小1の娘を通わせる母親は、「夫も外資系で働き、私も海外の大学院を出た。もう日本だけを考える時代じゃない。海外進学も考え、上の娘もここに通わせました」と話す。

 元外資系資産運用会社の日本法人取締役で、一橋大大学院で「グローバル・リーダーシップ論」などを教える福原正大さんが、2010年に立ち上げた。海外の有名スクール進学をめざし、授業はすべて英語。小学生で4技能を鍛え、中学からTOEFL、SAT(大学進学適性試験)、エッセーなどの対策に取り組む。クリティカルシンキング(批判的思考)やリベラルアーツ(教養教育)、プレゼンテーション(意見発表)の教育も取り入れる。

 「小学校入学前のプレスクールから英語の教育を受けた子が急激に増えている感じがします。海外進学を考える小中学生の保護者からの問い合わせも多い」と後藤道代・ゼネラルマネジャー。昨年度の高3の8割は海外大に進んだという。

 すぐ近くに、米エール大学助教授だった元民主党衆院議員の斉藤淳さん(49)が代表を務める「J PREP斉藤塾」が今春、地上7階、地下1階の新校舎を建てた。1階のライブラリーには、習熟度別にそろえた洋書が数百冊並ぶ。生徒は自由に閲覧できる。

 キャッチコピーは「目指すなら世界の頂点」。毎年夏にはエール大学での研修を開催。選抜された10人は、同大教授の講義を受けた上で討論や作文に励む。

 また、自宅学習用の専用アプリも開発した。単語やパラグラフの音読を録画したものをアップロードし、講師に添削してもらう仕組みだ。「講義は人間と人間が交わる貴重な場。単語や発音など個人で学習できるものはオンラインに任せていきたい」と斉藤さん。

 小3〜高3の約500人が通う英語塾「キャタル」(渋谷区)も、多読やエッセーの執筆などで4技能を伸ばし、小学校のうちに英検1〜2級、中高生でTOEFL100点をめざす。以前は英語力を維持したい帰国生やインターナショナルスクール生が多かったが、最近、中高生の入塾が増えた。

 1回3時間のレッスンは全て英語でマンツーマン。授業では、女子生徒(13)が英文を音読し、その姿をタブレット端末のカメラで撮影していた。撮った動画を講師と一緒に見ながら、発音や抑揚をチェックする。「英作文を書けばすぐ添削してもらえるし、その場で英語のスキルが上がるのが楽しい」と話す。

 保護者からは「結局どういう英語教育をさせればいいか分からない」という不安の声も寄せられる。一方、高3でも大手受験塾に転塾せず、英語の力で慶応大や国際基督教大、上智大などの合格を目指す生徒も出てきた。三石郷史代表(44)は「4技能入試に対応できる『受験塾』としても広まりつつある」と話す。

 ■地域・経済環境で格差

 大手予備校なども、海外進学のニーズに応える専門コースを始めている。

 河合塾は、今年度から、社会人のMBA対策などで知られるアゴス・ジャパンと共同で「海外トップ大進学プログラム」を始めた。夏休みから中高生らを対象にした講座を開講する。国内外の大学の併願に対応する。担当者は「日本のトップ大学への進学を考える生徒層が、少しずつ海外をめざすようになってきた。国内にとどまらず視野を広げるためにもこうしたプログラムを始めた」と言う。

 ベネッセコーポレーションは、海外進学に挑戦する中高生を支援する「ルートH」(千代田区)を2008年に開校した。国内と海外の両方の有名大に合格させるなど実績を伸ばし、今春の卒業生もハーバード大、エール大、プリンストン大、スタンフォード大など名門大に合格した。

 首都圏の受験事情に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は「都会の教育熱心で経済的にも豊かな家庭はどんどん先を行く。特に英語教育は、地域格差、経済的格差が大きく、近くに塾などの環境がないと、意欲に格差が出る。機会均等は難しい」と話した。

 (横川結香、宮坂麻子)

 ■日本型教育への不満、留学の要因に 「J PREP斉藤塾」斉藤淳代表

 毎年、塾の卒業生の1割が米国の大学に進学します。ここ近年でじわりと増えてきた感覚で、留学に関する問い合わせも多い。

 大きな要因に、日本型教育への不満の高まりを感じます。研究予算は縮小傾向にあり、教授は雑務に追われて本分の論文が書けず、講義は教員が一方的に話すばかり……。大学関係者がいくら頑張っても、海外大学での教育と比べられ、優秀な受験生にそっぽを向かれる時代になったのです。

 米国の大学の授業は少人数のものが多く、リベラルアーツに主眼が置かれ、一生学び続ける基盤を築く体制が整っています。この21世紀は様々な情報を分析して判断を下す「知識集約型」の時代。時代に即して人材を選抜し育てる体制が、国内では脆弱(ぜいじゃく)です。

 文系・理系別の入試だって時代遅れ。人工知能(AI)が世の中を席巻し、統計学的思考がますます重要になっているのに、高校生のうちに数学を放棄してよいわけがありません。

 奨学金制度の充実や国内大学との併願が容易になってきているのも、海外進学者が増えた理由でしょう。

 新たな大学入試改革で4技能の英語外部試験が導入されるのも歓迎できる動きで、海外大と国内大の受験の垣根が無くなる方向にあります。これまで主に読解やリスニングで英語力を測ってきたのは大学側の怠慢です。国内の大学を批判したいわけではありません。

「外」と比べられることで、各大学でよりよい教育が行われることを望んでいるのです。

 (聞き手・横川結香)

 

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

東京総局からのお知らせ

東京総局では、都内の最新のニュース、企画、特集などをお届けしています。
身の回りで起きたちょっといい話をメールで「東京取材班」あてにお寄せください。メールはこちらから

朝日新聞 東京総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ