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変わる進学

「書く力」どう伸ばす 

写真:「ベネッセ文章表現教室」で学ぶ子どもたち。短い時間で文章を書き、グループごとに発表し合う=武蔵野市 拡大「ベネッセ文章表現教室」で学ぶ子どもたち。短い時間で文章を書き、グループごとに発表し合う=武蔵野市

 ◆記述式増に備え 小学生教室が人気

 2020年度から始まる大学入試改革で記述式問題が増えることに備えて、小学生から文章の書き方を学ぶ教室の人気が高まっている。子どもに書く力や表現力を身につけさせたいという保護者の意識も強い。「書く力」はどのように教えられるのだろうか。

 ■グループで表現磨く ベネッセ文章表現教室

 「『正』の漢字がつく言葉をたくさん使って、お話を作りましょう」

 ベネッセ文章表現教室吉祥寺教室(武蔵野市)の小3の子どもたちに、先生が声をかけた。まずは「正」の字を使った漢字を探す。正月、正門、正方形などノートに書く。見つけた言葉を発表し合ったあと、5分間で文章を作る。

 女の子が、書いた作文を読み上げた。

 「正月の朝、正ざをしてニュースを見ていると、わたしの小学校の正門でめずらしい正方形の石と正三角形の石があると聞きました。わたしは本当に正しいのかなと思いました」

 先生が「筋が通った話で面白いね」とほめると、みんなが拍手をした。「大入り作文」という手法で集めた言葉を数多く使い文章を作る。正解はない。お互いの作文を聞いて、ほめ合うことが大事だ。

 低学年では語彙(ごい)力を増やしながら、創作や説明をする。学年が上がると、調べたことを描写して、意見を言う書き方を学ぶ。

 武蔵野市の永井克典さん(49)は、次女(9)が「お水」など欲しい物を単語だけで言うのが気になっていて、小2の4月から通わせた。「相手にわかりやすく伝えるコミュニケーションの力が大事。受験でも必要だし、大人でもプレゼンなど意見を言う場が増え、書いて表現する力が求められている。自分の意見をきちんと言える子になって欲しい」

 同教室は、現在は東京個別指導学院が運営している。2007年に始まって、いまは15教室に広がり、約700人が通っている。同学院の田中由紀商品開発課長(56)は「書くことは自分の考えを伝える手段。グループで発表し合うことで、積極的に意見を表現しようというマインドも育てている」と話した。

 ■「鉄則」で型を覚える ふくしま国語塾

 横浜市にある「ふくしま国語塾」では、文章を書くために、「型を学ぶ」ことを指導している。

 塾を主宰する横浜国語研究所の福嶋隆史代表(46)は、書き方の型を身につける「ふくしま式200字メソッド」を提唱している。「自由に書く」ことは実は難しく、基準の型を学ぶと書きやすくなるという。

 福嶋代表が「今日は鉄則12(番目)。『世の主張という主張は逆説の構造を持っている』」と呼びかけると子どもたちが復唱した。

 続けて福嶋代表が言う。

 「この鉄則に従って、逆説の主張文を型どおり書いてください。例えば『けんかというのはA』。Aは一般常識。『しかし実際には、けんかは(2)であり、むしろB』。Bには逆説、つまり非常識なことを入れてください」

 子供たちの鉛筆がサッと動き始めた。文の中身は各自の発想力だ。

 小6女子が次の文章をあっという間に書いた。

 「チームプレーというのは、とても仲が深まることだ。しかし、実際にはチームプレーをすると、ミスをした時に責められることがあるため、むしろ仲が悪くなることである」

 杉並区から通う小6の岡田紗英さん(11)は「最初は全然書けなかったけれど、型があると頭にアイデアがいっぱい浮かんでくるようになった。記述問題のテストでも点数が取れるようになってきた」と話す。

 論理的思考力は、筋道を立てて整理し、分けて比べるという技術だという。型を身につければ、あとは膨らますだけ。800字の記述式問題でも自由な作文にも対応できる、本当の国語力が身につくとしている。

 福嶋代表は「子どもはいつも自由な発想で書けるというイメージが強いが、何もないところからオリジナリティーを求められても苦痛。型があった方が安心感を持って楽しそうに書き始める。型を学んで書くうちに、自然に個性がにじみ出てくる」と説明した。

 ■謎解きで興味高める 白藍塾の通信添削

 通信添削での文章教育もある。

 「白藍(はくらん)塾」は1991年から通信添削で小論文指導している。今年、大学入試改革の初年度にあたる高1生の申し込みが3倍に増えた。保護者から「入試新制度に対応出来る力をつけてもらいたい」「受験だけでなく自らの表現力を伸ばすツールとして取り組んで欲しい」との声が寄せられた。

 今年3月からは小学生の講座をリニューアルした。作文がまったく書けないという子どもが増え、面白く書く工夫を凝らした。読書感想文に苦しむ日本の子供たちを救う探偵「テクト」というキャラクターを作って、愛用のルーペで本のメインテーマを探すなど、興味を呼ぶ謎解きの作りにした。小学生から書く練習を重ねていけば、小論文も苦にならない。

 同塾でも「型」を大事にしている。「ホップ・ステップ・ジャンプ・着地」と呼んで、子どもにもわかりやすく起承転結の道しるべを示す。作文は構成力が大事だ。「自由に」というと、だらだらと書きがちだ。「ジャンプ」で面白く書くために条件が必要だ。同塾の和田圭史社長(53)は「型にはめるというより、型に従って書く。書く技術を高めて、大学合格というゴールだけでなくて、その先の、表現が得意になるという能力開発を目指している」と話した。

 (平岡妙子)

 ■「書くこと楽しい」体験、重要 女子聖学院中学校高等学校・筑田周一教諭

 「日本語表現力入試」を導入し、小学生向けのワークショップもしている女子聖学院中学校高等学校(北区)の国語担当、筑田周一教諭(55)は「大学受験を迎えるまでの小中学校で、書きたいことを自分で引き出す経験や、文章を書くことが楽しいと思える体験をどれだけしてきたかが何よりも大切」という。

 新大学入学共通テストの試行問題では、グラフや表などを読み取る問題も出題され、中学、高校入試でも規約などの出題も見受けられる。「大学入試直前になればテクニックも必要だし、その方が完成度も高まることは事実。しかし、早くから日常的に、自分の血が通った言葉を楽しく表現してきた生徒が、最後は強い」と話した。

 (宮坂麻子)

 ■ふくしま式200字メソッドの例

 ・アは、1なため、Aである。

  海は、波があるため、危険性が高い。

  【言いかえる力(同等関係)】

 ・しかし、イは、2なため、Bである。

  しかし、プールは、波がないため、危険性が低い。

  【比べる力(対比関係)】

 ・だから、アよりもイのほうがCであると言える。

  だから、海よりもプールのほうが、初心者が泳ぐ場所としては適していると言える。

  【たどる力(因果関係)】

 

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