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08月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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変わる進学

新聞活用「日本語力」高めよう

写真:朝から新聞を広げる生徒たち=世田谷区立駒沢中学 拡大朝から新聞を広げる生徒たち=世田谷区立駒沢中学

写真:世田谷区の小中学校で使用している教科「日本語」の教科書 拡大世田谷区の小中学校で使用している教科「日本語」の教科書

写真:水戸部修治・京都女子大教授 拡大水戸部修治・京都女子大教授

 ◆世田谷の区立中で取り組み

 ◇社説を要約意見をまとめる・学校に読む環境作り

 大学のみならず、高校や中学の入試でも記述力が重視されるようになってきた。そんな中、新聞記事を使って「日本語力」を高めようという取り組みが、世田谷区で進んでいる。小中高校の新しい学習指導要領でも、教科を問わず盛り込まれている新聞活用を通して、どんな力が伸びるのか。

 世田谷区の全29校の区立中では毎週1回、2年生全員に新聞の社説が載ったワークシートが配られる。生徒たちは10分〜15分かけて内容を要約し、社説について自分の意見をまとめる。時間内に完成しない場合は宿題などとして終わらせて提出し、区教委から委託された業者が添削して生徒に返す。

 世田谷区は2004年12月に内閣府の「世田谷『日本語』教育特区」に認定され、07年度から区独自の教科書を用いて小中学校で教科「日本語」の授業を行っている。08年度からは、全小中学生が毎週受けており、新聞活用のワークシートもこの一環。区教育委員会の担当者は「10年以上続けてきて、語彙(ごい)力、論理力、記述力、構成力などが、確実に上がってきたと感じています」と話す。

 今春、区立から高校進学した男子生徒(15)は「最初は面倒だったけど、受験時期になってからは、要旨をまとめたり、意見を書いたりする記述問題がそれほど苦にならずできた。中2の時のワークシートがすごく役立った」と語る。新しい大学入試で「記述重視」と言われても、それほど気にならないという。

 区教委によると、中3を抽出して実施した「語彙・読解力検定」ではおしなべて好成績を残し、全国学力・学習状況調査でも、国語の正答率が全国平均より高いという。16年度に行った意識調査では、小4の8割以上が教科の「日本語」が好きだと回答し、保護者の9割以上が教科で教えることに賛成していた。区教委は現在、教科書の改訂作業を進めており、幼児教育にも広げるほか、新学習指導要領で求められている新聞活用や表現の学習部分を拡大していく予定だという。

 朝から1人1部の新聞を読んでいる学校もある。

 7月に区立駒沢中学校をのぞくと、教室で全生徒が1人1部を広げて、読んでいた。月に1回、全生徒で行う「NIE(教育に新聞を)タイム」だ。

 職員室の廊下には新聞コーナーがあり、毎日数紙が手に取って読めるようにしてあった。その日のおもしろい記事は、桝田和明校長(57)が自ら壁に貼り出すことも。一つの教室で、「家で新聞を購読している人」を尋ねると約半数しかいなかったが、「読んでみると結構おもしろい」という生徒が多かった。読んだ後は、各自持ち帰る。

 桝田校長は「家庭では新聞を読まなくなっているが、学習指導要領の流れからいけば、情報を調べて新聞のような形でまとめる活動は教科を問わずに増える。様々な形で新聞活用を考えたい」と話す。

 全国新聞教育研究協議会会長も務める区立船橋希望中学校の菅野茂男校長(60)は校内の全クラスに毎日、新聞を置いている。効果について「夏休み中も、親から『学校に新聞があるんだから、読んでおいで』と言われたという生徒が来ていた。子どもの手元に、新聞のある環境を作ることが大切。新しい大学入試だけでなく、社会で生きていくためにも、この経験は力になるだろう」と語る。

 (宮坂麻子)

 ■(POINT!)題材設定・構成力…総合的に向上 水戸部修治・京都女子大教授

 新聞を活用した教育は、どんな力を伸ばすのか。昨春まで文部科学省の教科調査官(国語担当)を務めていた、水戸部修治・京都女子大教授に聞いた。

     ◇

 新しい学習指導要領では、題材を決め、情報を集め、構成を考え、考えを形成して記述し、推敲(すいこう)、共有するという過程に即して書く能力を整理している。新聞を習慣的に読む生徒はどの要素も、力が高まるのではないか。

 新聞は社会生活などの幅広い題材に触れることができるので、題材設定では書きたいことを多く持てる。情報収集力は、記事を読むことで格段に力がつく。5W1Hがはっきりしている報道記事の他、社説や批評文、コラムなど多様な文書を読むことで、文章の構成力にもつながる。

 新しい大学入試に役に立つ面もかなりあるだろう。語彙(ごい)力は記述力に直結し、多様な語句や表現に触れることで、言語感覚が鋭くなる。また、今後の入試は一つの情報を理解するだけでなく、複数の情報を組み合わせて考えを形成し、条件を踏まえて自分の意見を述べることが求められる。様々な記事を新聞で読み比べることで、こうした力も伸びることが期待される。

 

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