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Tokyo View

タクシー進化 五輪控え おもてなし向上

写真:東京タクシーセンターで行われる接遇講習。運転手たちは2人1組で運転手と外国人観光客の役に分かれて模擬演習をした=東京都江東区南砂7丁目 拡大東京タクシーセンターで行われる接遇講習。運転手たちは2人1組で運転手と外国人観光客の役に分かれて模擬演習をした=東京都江東区南砂7丁目

写真:ホスピタリティータクシーのステッカーを掲げたタクシーには、外国人観光客が次々乗り込んでいた=東京都大田区羽田空港2丁目 拡大ホスピタリティータクシーのステッカーを掲げたタクシーには、外国人観光客が次々乗り込んでいた=東京都大田区羽田空港2丁目

 ◆訪日客・お年寄りら 客層拡大狙う

 2年後の五輪・パラリンピックに向けて、東京都内のタクシー業界が変貌(へんぼう)している。延べ約9千人の運転手が英会話講習を受け、お年寄りも使いやすいワゴン型の新型車は法人タクシー車両の2割以上にまで増えた。中心だったビジネスマンから客層を広げ、苦境を打ち破りたい狙いがある。

 ◇英会話講習に延べ9000人・ワゴン型が2割に

 「Hospitality Taxi(ホスピタリティータクシー)」。羽田空港国際線ターミナル(東京都大田区)に、こんなステッカーを付けた車両が並ぶタクシー乗り場がある。運転手が外国人観光客らに「Where are you going?」などと英語で話しかけていた。

 業界団体・東京タクシーセンター(東京都江東区)などが2014年に設けた「英会話でおもてなしができる運転手が並ぶタクシー乗り場」だ。センターが12年に始めた英会話講習の修了者のみが利用できる専用レーンの設置でできた。高塚昌光・企画広報課長は「増え続ける外国人客へのサービス向上が目的」と話す。

 「『May I ask』を文頭につけると、『失礼ですが……』と丁寧な表現になります」

 7月、その講習をのぞいた。20〜50代の運転手30人が外国人講師らに教わりながら、運賃の説明文などを反復して声に出し、学んでいた。運転手と外国人客の役に分かれ、降車まで英語で話してみる模擬演習も。「クレジットカードが使えなかった時は?」「コースはどう確認を?」……。すぐに使える英語表現を身につけようと、3時間の講習の間、受講者の質問も続いた。

 「五輪開催が決まって外国人客が一気に増えた。2年後には最低でも日常会話はできるようにしたい」と受講した大川成一さん(57)。上野駅(東京都台東区)でいつも客を乗せるが、10年前に月1回ほどだった外国人客が今は1日約10人もいるという。センターによると、講習を受講した修了者は延べ約9千人に上っている。

 都によると、都内を訪れる外国人客は17年に推計約1377万人で、5年前の約2・5倍。これにとどまらず、都は五輪・パラリンピックが開催される20年までに2500万人まで増やす目標を掲げる。富裕層も多く、東京の公共交通網に慣れない外国人客を取り込もうと、タクシー業界は躍起だ。

 羽田空港国際線ターミナルでは、客を乗せるタクシーが1日平均1500台(今年6月現在)となり、専用レーンを設けた14年同月比で約2倍になった。センターは来年4月、さらに難易度の高い独自検定の合格者だけが使える専用レーンを同空港に設ける予定。今年度中に東京駅にも設置を検討している。8月には中国語講習も始めた。大手の「日の丸交通」(東京都文京区)は外国人運転手を増やしており、現在14カ国33人の在籍者数を、五輪までに100人にするという。

   *

 一方、車両の変化も進んでいる。主役は、トヨタが昨年10月、22年ぶりに発売したタクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」。ニューヨークの「イエローキャブ」のようなタクシーをめざし、車体の色は濃い藍色を強く打ち出す。

 トヨタによると、ジャパンタクシーの購入台数は8月末時点で6836台。半年間で法人タクシー計約3万台の20%以上にまで増えた。都内の9割の事業者が加盟する東京ハ

イヤー・タクシー協会(千代田区)は、20年までに計1万台の稼働をめざしている。

 車高が従来車より20センチ以上高い一方、床は低く、車内が広がった。スライド式ドアは狭い場所でも開閉しやすい。高齢者や大柄な外国人らもスムーズに乗り降りできるのが特長。国内タクシー車両のシェア約8割のトヨタは、この新型車を「国内タクシーの象徴」としたい考えだ。昨秋の披露会では、豊田章男社長が「五輪に向け、タクシーで東京の景色が変わる」と力を込めた。

 普及の背景には手厚い公金補助がある。この新型車など高齢者や身体障害者らが使いやすく、環境性能が高いユニバーサルデザイン車両の購入に対し、国と都が1台あたり最大計約100万円を助成している。「社会のバリアフリー化を進める中で、色々な方々が使えるタクシーを普及させるため」と国土交通省の担当者はいう。

 超高齢化社会を前に、業界は客層を広げるチャンスと捉える。同協会の太田祥平・広報委員長は言う。「長年、ビジネスマンの利用に頼りきりだった。いろんな方が使えるように進化しないと生き残れない。五輪開催はいい契機だ」

 ◆乗車実績悪化、料金収入大幅減 進む運転手高齢化

 タクシー業界は苦境に立っている。東京ハイヤー・タクシー協会によると、2017年度の都内(島部を除く)の乗車回数は計約2億3千万回で、バブル期だった1989年度と比べて約3割減った。客を乗せて走った距離も17年度は約9億キロで89年度の約58%にとどまり、料金収入は89年度より約570億円少ない計約4100億円だった。「景気の影響を直接受ける業界。バブル崩壊やリーマン・ショック後、経費削減のために利用を控える企業が増えた」と協会幹部はいう。

 法人タクシーの台数はリーマン・ショックがあった08年度から減り続け、17年度は約7千台少ない計約3万台。都内の運転手の平均年収は17年、全産業の男性労働者の平均より39%少ない約419万円にとどまる。一方、運転手の平均年齢は58・4歳(17年度)で、20年前より7・2歳上がった。

 業界は改善策として17年に初乗り運賃を変えた。23区と武蔵野市、三鷹市で従来の「2キロ730円」を「約1キロ410円」とし、短距離の「ちょい乗り」を増やそうとした。国土交通省の調査(都内19社の1193台を対象)によると、変更後の2カ月間で乗車回数が前年同期より18・7%多くなり、運賃収入も約3%増え、一定の効果があった。

 そのほか、予約時に運賃を決められたり、同じ方向の客が「割り勘」できたりする新たな仕組みを17年度に試行した。繁忙時と閑散時とで運賃を変える仕組み「ダイナミックプライシング」も今年度中に試す予定。多様な取り組みで生き残りを図っている。

 (金山隆之介)

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