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変わる進学

塾が養う思考力や表現力

写真:学んだ内容を生徒がホワイトボードに書いてプレゼンをする「ディアロ三鷹校」。先生はその様子も動画で撮影する=武蔵野市中町 拡大学んだ内容を生徒がホワイトボードに書いてプレゼンをする「ディアロ三鷹校」。先生はその様子も動画で撮影する=武蔵野市中町

大学入試改革に対応しようと、塾で新しい教え方が始まっている。プレゼンテーションやコーチングを採り入れ、生徒に思考力や表現力を身につけさせるため、模索が続く。

 (平岡妙子)

 ■予習、先生にプレゼン ディアロ

 「『not both』は部分否定で、『両方とも〜したわけではない』という意味になります」

 三鷹市の高3、五十嵐千佳さん(17)は英作文をホワイトボードに書き出し、大学受験塾「ディアロ三鷹校」の先生に向かって説明を始めた。

 ディアロの授業は、先生が教室で一方的に教える形式ではない。生徒が自宅で映像授業を見て予習し、教室では学んだ内容を踏まえて1対1で先生にプレゼンテーションをする、「反転授業」だ。先生に説明できるかどうかを通じて、理解が足りない部分が明らかになり、先生が重点的に指導する。

 昨年春から通う五十嵐さんは「最初はめっちゃ緊張したけれど、慣れてきた。自分で口に出すと頭に残りやすい。数学の公式や証明も、説明できるようになった」と話す。模試では記述式の点数が上がったという。

 ディアロは大学入試改革を視野に、受験指導大手の「Z会」と「栄光」が15年に設立した「ゼニス」という会社が運営し、現在は7カ所に広がっている。高星雅弘ディアロ開発部長(47)は「『わかったつもり』では話せず、書けないことを生徒自身が実感する。続けると生徒の顔つきや話し方も変わり、自信がつくようだ」と説明する。

 自分の考えや理解したことを人にわかりやすく伝えられるかどうかは、大学入試改革で特に重視されている力だ。反転授業は、生徒が自宅で勉強しないと成立しないが、プレゼンのプレッシャーがあるためか、予習しないで来る生徒はほとんどいないという。

 ■対話で答え引き出す 明光義塾

 個別指導の学習塾「明光義塾」では今年1月から、考える力を育てるための「MEIKO式コーチング」を採り入れている。生徒の考えを聞きながら、答えにたどり着く力を引き出すことが目的で、「自分で分かる」ことを重視している。

 授業の特徴の一つは「振り返りノート」を使うことだ。江戸川区の中2、坂本佳奈美さん(13)は講師と話しながら、それまでの授業でわかった点やつまずいた点を、色ペンを使ってノートにまとめた。対話しながら書くことで、理解が深まっていく。

 出題された問題を坂本さんが解くと、浜中伸也主任講師(32)が「どうやって解いたの? 教えて」と質問した。坂本さんが説明すると、「いいですね」とほめ、説明に詰まると「ここが苦手だったんだね」と解き方を教える。坂本さんは「ほめられると、自分もできているんだなと分かり、やる気が向上します」と話した。

 当初は、「進み方が遅くなるのでは」と対話式授業に懸念があった。だが知識を大量に与えるだけでは、新しい時代には対応できず、時間をかけても思考力を養うことが求められる。浜中講師は「生徒をほめると、心を開いてくれ、さらに本音が出てくる」と、対話の大切さを説明する。

 ■解決策話し合い発表 河合塾

 大手予備校の「河合塾」では今夏、ホテルの資料を読み込んで、経営課題を発見して解決策を考えるグループワークの講座を高1、2年向けに開いた。科目の枠を超えて、他者と協働して課題を解決する力が大学入試でも求められることを意識した取り組み。こうした力は多くの分野に共通するため「ジェネリックスキル(汎用的な能力)講座」と名付けた。

 講座では生徒たちが優先的、根本的に解決する課題を選び、解決策を話し合い、その結果を発表した。高1の久保田健太さん(16)は2020年度から始まる新しい大学入試を受けることになるが、具体的に何が変わるのかが分からず、不安だという。「チームで行動を考えるグループワークが良い経験になった。入試のイメージはまだわかないけれど、将来に役立つ、人としての強みを身につけたいです」と話した。

 講座は今回、新入試対策の特別イベントとして全国12校で無料で実施した。定期講座に組み込むかどうかも検討している。同塾教育研究部の伊熊俊貴さん(31)は「新しい大学入試で求められる力は、これからの社会に必要な力と共通する。総合的な力をどう育てるのか、研究を重ねている」という。

 ■(POINT!)学ぶ意欲、上げさせる方法も変化

 「森上教育研究所」の森上展安代表に、塾での新しい教え方が広がる背景を聞いた。

         ◇

 少子化が進み、現在は大学も高校も、より好みをしなければどこかには入れる。このため、受験勉強を通じて学ぶ意欲を上げることは難しくなっており、塾も昔ながらの、大教室で一斉に指導する形では成果につながりにくい。大人数の授業でついてくるのは、上位層だけだ。こうした事情を背景に、塾は約15人までの少人数のクラスが一般的になり、個別指導も増えている。

 また、今の子どもの多くは「承認欲求」が満たされることを通じてやる気を出す。このため、先生が一人ひとりの子どもをよく見てほめることも大切になっている。大学入試改革だけでなく、子どもの変化に合わせて、塾も変わらざるを得なくなっていると言える。

 

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