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変わる進学

中高一貫生、入学すぐ塾通い

写真:JR代々木駅前に建つ、鉄緑会東京本校。生徒数が増え、新宿にも分室を設けている=渋谷区代々木1丁目、同会提供 拡大JR代々木駅前に建つ、鉄緑会東京本校。生徒数が増え、新宿にも分室を設けている=渋谷区代々木1丁目、同会提供

 中学受験の合格発表日から大学入試を見据えて塾申し込み――。難関大学の受験を見据えた、首都圏の中高一貫校生の塾通いが早期化している。大学入試改革についての不安が保護者の間に広がるなか、塾側が上位校の生徒を獲得しようとする動きも加速している。

 (宮坂麻子)

 ■入試改革「学校だけでは不安」 鉄緑会

 JR代々木駅近くに東京校を構える「鉄緑会」は中高一貫校の生徒を対象とした「東京大学受験指導専門塾」。1983年に東京大の医学部、法学部の学生や卒業生によって設立され、名前は両学部の同窓会組織「鉄門倶楽部」と「緑会」にちなむ。2009年からベネッセコーポレーションの傘下に入り、いまも講師の9割以上が東京大生や院生。今年は東京校の高3約800人の半数近くが東京大に合格、国公立大医学部合格も260人を超えた。

 その鉄緑会に、中学校の合格発表直後から申し込む生徒が増えている。首都圏の難関中学校のうち、最初に入試がある渋谷教育学園幕張中学(千葉市)の合格発表日から予約の電話が鳴り出す。冨田賢太郎会長(51)は「できるだけ早い時期に申し込まないと、入会が本当に厳しくなってきています」と話す。現在、塾生の8割程度が中1から通い始めている。

 「中学受験をする保護者がより熱心になり、メディアやネットで早くから情報を集めるようになった。大学入試改革も不透明なため早くから安心を求めてくる」と冨田会長は指摘する。中学合格後すぐ申し込んだ保護者は「東大に入れたいというより入試改革もあり、学校だけでは心配。勉強させてくれる場を確保するためにもとりあえず入れた」と話す。

 鉄緑会は渋幕のほか、開成、桜蔭、麻布、豊島岡、栄光、聖光など「指定校」の生徒は中1の最初なら無条件で入会でき、その他の学校の生徒は3カ月に1回実施されるテストで基準点に達する必要がある。近年は都立中高一貫生や大学付属中から医学部や外部進学をめざす人の入会希望もあり、冨田会長によると、指定校以外でも2月の入会テストを受ける生徒が多い。

 年度途中の入会テストの方が枠が狭いという理由もあるが、授業のスピードも関係している。中1の授業は英語と数学の2教科だが、どちらも1年間で中学3年間の内容の大半を一通り終える。「途中から入会しても、ついていけずやめる生徒もいます」という。

 ■学ぶ楽しさを継続 グノーブル

 中1から大学受験を意識した通塾が増えているのは、鉄緑会だけではない。

 「中学合格後に行う『スタートダッシュ講座』だけで、新中1生の定員はあふれます」というのは、グノーブル・グループの中山伸幸代表(60)。「サピックス」を退社し、2006年に大学受験塾「グノーブル」を設立。新宿、渋谷からお茶の水など校舎を拡大し、10月にはたまプラーザ校(横浜市)も開校した。中学受験指導も行う。

 中山代表によると、中学受験で思考力を鍛え、「勉強のおもしろさ」が分かっても、生徒にとっての「学びの楽しさ」を継続できない学校が目立つという。「自由で楽しいだけでは基礎学力はつかない。中1から英語の耳と口を鍛え、公式を覚えるだけではない数学を教えないと、新大学入試はもちろん、大学や社会で生きる意欲的な学びにはつながらない」と話す。

 ただ、中高一貫校は元々、高校受験を気にせず、伸び伸びと教育できることが魅力の一つ。中1から大学受験を気にする動きに、懸念を示す学校も少なくない。ある中高一貫校では中学の入学者の説明会で「早くから塾に入れた結果、学校生活との両立ができず、つぶれてしまう子もいる」と説明する。「早くから塾に通うことが、いい結果につながるとは限らない」と伝える学校もあるという。

 ■中堅校、塾と連携も

 学校で塾と協力して指導をする中堅進学校もある。

 目白研心中学校(新宿区)は、個別指導「スクールトーマス」と提携して学習支援センターを設置。中学生は最大で午後7時、高校生は午後8時までセンターで個別学習し、映像講座を受けたり、プリント学習したりできる。朝学習のテストで基準点に達しなかった生徒は、放課後にスタッフから補習を受ける。国公立大や早慶上理、GMARCHを志望する生徒に、受講料の半額を学校が負担する「志望校別対策講座」も準備されている。

 「支援センターの効果は着実に出て、実績に結びついている。共働き家庭が増え、だれもいない家に帰って、空腹のまま机に向かえる生徒は多くない。友達も努力する姿を見て、内発的に勉強に向かう環境をつくる方が効率も上がる」と松下秀房校長(69)は話す。

 ■(POINT!)塾側が上位層生徒を囲い込み

 大学受験の準備の早期化について、安田教育研究所の安田理代表に聞いた。

 中1から塾通いをさせる家庭は以前からありましたが、近年は増えています。

 原因の一つは、親自身が中学受験を経験した世代になって、塾に抵抗感がないことでしょう。共働き家庭も増え、安全な時間を過ごさせるためにも幼いころから塾に通わせ、子どもに「勉強は塾で」という習慣がついてしまっている。さらに大きな要因が新大学入試でしょう。6年後にどうなるのかが見えないなか、「対応できる力を」「情報を得たい」と塾を求める。

 塾側も、実績を出す上位層を早くから囲い込もうとしています。大手予備校を含む多くの塾が、有名中学の合格発表日に校門前でチラシを配布し、無料の入学準備講座に勧誘し、特待生や授業料割引を行います。結果的に、塾や家庭教師を使って有名中学に合格した裕福な家庭の子は、中学高校時代も環境に恵まれ、難関大へ進むという循環が首都圏にはできています。

 本来は中高一貫だからこそ、学校の学習や部活などに打ち込める。力があれば高1から塾でも遅くない。6年間の塾通いで学校も塾も中途半端になり、大学受験までモチベーションが持たない子もいます。早期からの塾通いで伸びる子もいれば、つぶれる子もいます。

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