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変わる進学

中学受験へ、幼児期から準備

写真:「全国統一小学生テスト」を実施する塾「四谷大塚」=東京都中野区中野 拡大「全国統一小学生テスト」を実施する塾「四谷大塚」=東京都中野区中野

中学受験に向けた準備の低年齢化が加速している。大手塾「四谷大塚」は11月から、小学校に入学する前の「年長」の幼児を対象にした模試を始め、小学校低学年から受験を目指す塾に通う子どもも増えている。背景には、大学入試改革などを考慮し、中学受験を重視する保護者の考えもある。(平岡妙子)

 ■小学生の全国模試に「年長」枠 四谷大塚

 四谷大塚が主催する「全国統一小学生テスト」は今年から初めて、小学校に入学前の「年長」の幼児も参加できる。11月3日、全都道府県約2500会場で無料で実施する。

 年長も対象になるのは、保護者からの要望を受けてのことという。同塾は現在、小1から通える「リトルスクール」を首都圏の27校舎に設けており、2013年9月からは「新1年生入学準備講座」も開始している。そんななか、模試に年長を加えて欲しいという声が出てきた。いまのところ、申し込みは首都圏を中心に約3千人あるという。

 小学校受験をする家庭は以前から塾通いをしているが、模試は小学校受験の時期と重なり、受けるのはむしろ中学受験を見据えた家庭の子どもたちだ。大学入試改革をめぐって先行きが不透明になるなか、中学受験を検討する保護者が増えていることも影響しているとみられる。

 年長は、ひらがなや数字を教わっていない前提の出題となる。例えば「時計」「毛糸」「積み木」「月見」などの絵を見せ、同じ文字の組み合わせでできている言葉同士を線で結ぶといった問題を出す予定という。日常生活の中で、動物や花など身の回りの物に興味や関心を持ち、それらについて考えを深められるかを見るのが狙いだ。「できた」という気持ちを持ってもらおうと、正答率は高めに設定する方針で、結果の順位は伝えるものの、「偏差値」を出すかどうかは未定という。

 四谷大塚出版の井手正実編集本部長(58)は「早く学習に触れた方が早く伸びる。きっかけとしてテストを活用して、子どもの強みと弱点に気がついてもらいたい」と話す。

 ■小3教室すでに満室 サピックス

 中学受験に向けた通塾は一般的に、小3の3学期からスタートするカリキュラムとなっている。しかし、近年は準備の早期化が指摘されている。

 中学受験塾大手の「サピックス」では小3生の夏期講習から定員が埋まり、渋谷、白金高輪、茗荷谷校で新たな生徒の募集を停止した。広野雅明教育事業本部長(51)は「思考力や記述力を必要とする新しい入試に対して、特別な対策が必要なのではないかと、保護者が不安を感じているためだろう」と分析する。

  同塾では、低学年の通塾は週1回にとどめ、学習の先取りはしていない。その代わり、先生と生徒の双方向のやり取りを重視している。「低学年から受験勉強を始めないと間に合わないということはない。発達には個人差がある。小さい子どもは親と一緒に勉強することの方が大事で、家庭学習が出来ない子はあとで伸びない」と広野さんは話す。

 ■4歳から土台づくり 花まる学習会

 学習塾を展開する「こうゆう」(本社・さいたま市)は「花まる学習会」で4歳児から小学生までを対象に、数理的思考力や国語力を身につける授業をしている。小さいときに手を動かして木のパズルで図形に触れたり、考える力を育てたりすることが、あとで大きく伸びる力を育てると考え、授業を楽しむ中で、学習の土台づくりを目指す。

 「小1から小3」のクラスでは、なぞなぞのような形で図形の問題を出す。「家まで一番近い道をさがしましょう」という迷路のような問題を解く。正解すると子どもたちは「出来たー」と大きな声を上げる。先生は「やったね」と答えて、教室はにぎやかな声にあふれている。

 「小4から小6」クラスでは、より高度な思考力を鍛えるため、発展した問題を解いていく。しかし、中学受験の学習塾に行くため、小3の1月でやめる子どももいるという。最近では、小2で「塾に行くから」とやめてしまう子も出てくるようになった。

 こうゆうの高濱正伸代表は「小さいときに五感を使って没頭した体験こそが、あとで大伸びする力になる。最近の親は不安から焦ってしまう人が多く、出来たかどうかの数値を欲しがる。幼児期に大切な物を見誤らないでほしい」と話す。

 ■(POINT!)対策の早期化、不安あおる懸念も

 プロ家庭教師集団「名門指導会」の西村則康代表に、中学受験の準備早期化について聞いた。

 幼児期は身体感覚や生活知識を得る時期で、幅広い能力を学んでいる。それをペーパーテストにした瞬間、親は対策を考えてしまうが、テストで測れるのは能力のごく一部で、ささいな違いで点数も変わりやすい。早期化はニーズに応えるより、不安感をあおることにつながらないだろうか。

 塾は優秀な子どもを早く囲い込みたいだろう。だが、小学校低学年で、抽象的な思考を問う問題を粘り強く解ける子はごく一部。難しい問題が解けず、自信や意欲をなくしてしまう子もいる。

 一部の中学で入試問題は難しくなっているが、低学年から始めないと間に合わないことはない。「どの時期に何をやらせるか」ばかりを考える親が多いが、自分で頑張れる子を育てることが一番大切だ。成長の速度は子どもによって違い、勉強への適切な時期を見分けるのが親の役割だろう。

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